今月の22日、日本国では即位礼正殿の儀がおこなわれます。この日、世界各国から参列者が訪れる予定ですが、報道によりますと、トルコのエルドアン大統領は、シリアにおける軍事行動を理由として訪日を中止するそうです。この一件は、以下の諸点から日本国の皇室行事の在り方をも問うているように思えます。
第1の問題は、新天皇即位の儀式は、あくまでも日本国内の行事である点です。現在の儀式は、基本的には明治時代に創作されたものです(正殿の前に地球儀を置くという奇妙な演出も創作されていた)。江戸時代以前にあっては、大嘗祭において真床御衾に包まれて瓊瓊杵尊が天孫降臨する場面を再現した儀式がメインであり、高御座から新天皇が即位を宣言するという形態ではありませでした。もちろん、江戸時代までは海外からの参列者もなく、また、内外に向けて積極的に発信するべき事柄ではなく、宮中における神事として粛々ととりおこなわれたのです。内外の賓客を招待して華々しく戴冠式を行うのはヨーロッパの君主制の伝統なのでしょうが、日本国が、西欧の慣習を真似る必要はないように思えます。
第2の理由は、日本国憲法では、天皇に対して政治的権能を認めていない点を挙げることができます。海外からの出席者の顔ぶれをみますと、王室が存在しない諸国からは主として政治家が参列します。各国の要人が東京に集うため、日本国政府も、即位の礼を外交に利用する方針のようですが、政治家による‘皇室利用’ あるいは、批判も強い‘皇室外交’の機会となる恐れがあります。
第3の理由は、相手国に対する配慮です。今般、エルドアン大統領は、自国の政治事情を優先して訪日を見送りましたが、即位の礼への参列は、諸外国の政治に多かれ少なかれ政治的空白を作り、相手国にマイナスの影響を与える可能性があります。数日間ではあれ、相手国において重大な事件が発生しないとも限らず、特に大統領といった国家の最高責任者であればあるほどこのリスクは格段と高まります。
第4に挙げるべき点は、海外諸国から参列者を招きますと、相当の費用を要する点です。今般の経費は平成時を上回るそうですが、日本国が公式に招待する以上、宿泊所から食事まで最高の‘おもてなし’を準備せざるを得なくなります。今般も二度の水害により甚大な被害を受けましたが、日本国は自然災害の多い国ですので、即位の礼に多額の予算を費やすことには声なき批判もあるはずです(本来、天皇は、天神地祇に祈りを捧げて災害を防ぐ役割がある…)。
即位の礼の招待状は既に諸外国に向けて送られており、予定を変更することはできないのでしょうが、今後の皇室行事については護るべき日本古来の伝統とは何かを踏まえ、以上の諸点から再考を試みてもよいのではないかと思うのです。
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第1の問題は、新天皇即位の儀式は、あくまでも日本国内の行事である点です。現在の儀式は、基本的には明治時代に創作されたものです(正殿の前に地球儀を置くという奇妙な演出も創作されていた)。江戸時代以前にあっては、大嘗祭において真床御衾に包まれて瓊瓊杵尊が天孫降臨する場面を再現した儀式がメインであり、高御座から新天皇が即位を宣言するという形態ではありませでした。もちろん、江戸時代までは海外からの参列者もなく、また、内外に向けて積極的に発信するべき事柄ではなく、宮中における神事として粛々ととりおこなわれたのです。内外の賓客を招待して華々しく戴冠式を行うのはヨーロッパの君主制の伝統なのでしょうが、日本国が、西欧の慣習を真似る必要はないように思えます。
第2の理由は、日本国憲法では、天皇に対して政治的権能を認めていない点を挙げることができます。海外からの出席者の顔ぶれをみますと、王室が存在しない諸国からは主として政治家が参列します。各国の要人が東京に集うため、日本国政府も、即位の礼を外交に利用する方針のようですが、政治家による‘皇室利用’ あるいは、批判も強い‘皇室外交’の機会となる恐れがあります。
第3の理由は、相手国に対する配慮です。今般、エルドアン大統領は、自国の政治事情を優先して訪日を見送りましたが、即位の礼への参列は、諸外国の政治に多かれ少なかれ政治的空白を作り、相手国にマイナスの影響を与える可能性があります。数日間ではあれ、相手国において重大な事件が発生しないとも限らず、特に大統領といった国家の最高責任者であればあるほどこのリスクは格段と高まります。
第4に挙げるべき点は、海外諸国から参列者を招きますと、相当の費用を要する点です。今般の経費は平成時を上回るそうですが、日本国が公式に招待する以上、宿泊所から食事まで最高の‘おもてなし’を準備せざるを得なくなります。今般も二度の水害により甚大な被害を受けましたが、日本国は自然災害の多い国ですので、即位の礼に多額の予算を費やすことには声なき批判もあるはずです(本来、天皇は、天神地祇に祈りを捧げて災害を防ぐ役割がある…)。
即位の礼の招待状は既に諸外国に向けて送られており、予定を変更することはできないのでしょうが、今後の皇室行事については護るべき日本古来の伝統とは何かを踏まえ、以上の諸点から再考を試みてもよいのではないかと思うのです。
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