今日のアメリカと中国との関係は、米中貿易戦争に象徴されるように対立関係として捉えられています。米ソ間の冷戦に擬えて‘新冷戦’という言葉も聞かれるようになりましたが、両国の対立は、経済分野に限らず、世界観、あるいは、価値観の相違も相まって政治・軍事レベルにまで及んでします。しかしながら、その一方で、ロシアを含めた米中ロの三か国の関係に注目しますと、そこには、奇妙な三つ巴を見出すことができます。
アメリカとロシアとの関係については、少なくともトランプ大統領に関しては、同氏が勝利を収めた前回の大統領選挙戦において既に疑惑が寄せられていました。同大統領とロシアとの協力関係、並びに、ロシアの選挙介入の真偽のほどは分からないのですが、個人的な感情であれ、トランプ大統領がロシアに好意的であるのは確かなことのようです。先日、全世界を驚かせたシリアからの米軍撤退の決定も、もしかしますとロシアへの配慮である可能性も否定はできないように思えます。今日の国際社会にあって米ロが鋭く対立する場面は殆ど見られず、米ロの両国は一先ずは良好な関係を維持しているようなのです。
次に、ロシアと中国との関係を見ますと、対米共闘を目的とする軍事同盟の可能性さえ囁かれるほどに、近年、政治・軍事面での協力を深めています。両国は直接的な軍事同盟条約は結んではいないものの、1996年4月に中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの上海ファイブと称される5ヶ国を原加盟国として発足した上海協力機構が、両国の絆を強める枠組みとして機能しています。そして、最近に至り、日本国近海において実戦を想定した共同軍事訓練も実施され、中ロ関係は新たな段階に入ったとする説も唱えられています。
かくして、米中ロの三大軍事大国は、アメリカ対中国・ロシアの国家体制を軸とした対立構図の輪郭を見せながらも、きれいに二つの陣営に分かれているとは言い難く、三国が絡み合う三つ巴のようにも見えます。しかも米中関係も、しばしばトランプ大統領が習近平国家主席に対して親近感を示しているように、大統領の一存で軟化する可能性も残しているのです。いわば、三国間の複雑な三つ巴が、国際社会を不安定化していると言っても過言ではありません。
そして、ここで思い出されるのがジョージ・オーウェルの著した『1984年』というディストピア小説です。同作品については、近年のITの発展を背景に、テレスクリーンといった高度なテクノロジーを用いた国民監視システムとの類似性が指摘されてきました。その一方で、『1984年』には、全世界が何者かによってコントロールされている様子をも描かれています。主人公であるウィンストンはオセアニアの国民ですが、同小説では、全世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの三つの国によって三分割されています。これらの三者は頻繁に同盟を組み換えており、‘昨日の敵は今日の友’の状態が続いています。常に防衛体制が敷かれており、これを理由にオセアニアにも、得体のしれないビッグ・ブラザーが独裁者として君臨しているのです。全世界を俯瞰しますと、ビッグ・ブラザー、並びに、他の二国の指導者も‘操り人形’に過ぎず(その実在すら疑わしい…)、背後には、これら三国を操って人類を巧みに支配している何者かの存在が窺われるのです。
テクノロジーの発展が『1984年』の世界を髣髴させるのと軌を同じくして、全世界もまた同小説に描かれた状況に似通ってきているのは偶然の一致なのでしょうか。三すくみの米中ロの三大国がその底流において気脈を通じているとしますと、人類にとりましては、危機の時代の到来となるかもしれません。全世界が全体主義化されるという…。ディストピアを実現させないためにも、自由を奪われかねない一般の人々こそ、詐術の罠を見抜き、そこから脱するための知恵を働かせなければならないのではないかと思うのです。
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アメリカとロシアとの関係については、少なくともトランプ大統領に関しては、同氏が勝利を収めた前回の大統領選挙戦において既に疑惑が寄せられていました。同大統領とロシアとの協力関係、並びに、ロシアの選挙介入の真偽のほどは分からないのですが、個人的な感情であれ、トランプ大統領がロシアに好意的であるのは確かなことのようです。先日、全世界を驚かせたシリアからの米軍撤退の決定も、もしかしますとロシアへの配慮である可能性も否定はできないように思えます。今日の国際社会にあって米ロが鋭く対立する場面は殆ど見られず、米ロの両国は一先ずは良好な関係を維持しているようなのです。
次に、ロシアと中国との関係を見ますと、対米共闘を目的とする軍事同盟の可能性さえ囁かれるほどに、近年、政治・軍事面での協力を深めています。両国は直接的な軍事同盟条約は結んではいないものの、1996年4月に中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの上海ファイブと称される5ヶ国を原加盟国として発足した上海協力機構が、両国の絆を強める枠組みとして機能しています。そして、最近に至り、日本国近海において実戦を想定した共同軍事訓練も実施され、中ロ関係は新たな段階に入ったとする説も唱えられています。
かくして、米中ロの三大軍事大国は、アメリカ対中国・ロシアの国家体制を軸とした対立構図の輪郭を見せながらも、きれいに二つの陣営に分かれているとは言い難く、三国が絡み合う三つ巴のようにも見えます。しかも米中関係も、しばしばトランプ大統領が習近平国家主席に対して親近感を示しているように、大統領の一存で軟化する可能性も残しているのです。いわば、三国間の複雑な三つ巴が、国際社会を不安定化していると言っても過言ではありません。
そして、ここで思い出されるのがジョージ・オーウェルの著した『1984年』というディストピア小説です。同作品については、近年のITの発展を背景に、テレスクリーンといった高度なテクノロジーを用いた国民監視システムとの類似性が指摘されてきました。その一方で、『1984年』には、全世界が何者かによってコントロールされている様子をも描かれています。主人公であるウィンストンはオセアニアの国民ですが、同小説では、全世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの三つの国によって三分割されています。これらの三者は頻繁に同盟を組み換えており、‘昨日の敵は今日の友’の状態が続いています。常に防衛体制が敷かれており、これを理由にオセアニアにも、得体のしれないビッグ・ブラザーが独裁者として君臨しているのです。全世界を俯瞰しますと、ビッグ・ブラザー、並びに、他の二国の指導者も‘操り人形’に過ぎず(その実在すら疑わしい…)、背後には、これら三国を操って人類を巧みに支配している何者かの存在が窺われるのです。
テクノロジーの発展が『1984年』の世界を髣髴させるのと軌を同じくして、全世界もまた同小説に描かれた状況に似通ってきているのは偶然の一致なのでしょうか。三すくみの米中ロの三大国がその底流において気脈を通じているとしますと、人類にとりましては、危機の時代の到来となるかもしれません。全世界が全体主義化されるという…。ディストピアを実現させないためにも、自由を奪われかねない一般の人々こそ、詐術の罠を見抜き、そこから脱するための知恵を働かせなければならないのではないかと思うのです。
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