報道に依りますと、米商務省は、中国製の監視カメラの輸入を禁止する措置を発表しました。禁輸の対象となるのは中国企業28社と公安機関であり、これら企業と機関は、アメリカ製の部品やソフトウェア等を購入することはできなくなります。さらに、監視カメラ二大大手のハイクビジョンと浙江技術を含む民間8社に対しては、取引に商務省の許可を要する「エンティティ・リスト」に指定しています。
商務省の説明によれば、同禁輸措置の理由は、中国政府によるウイグル人弾圧にあります。香港でも、香港行政府や北京政府に対する抗議活動の一環として街路に設置されていた監視カメラが破壊されましたが、ITが発展した今日、監視カメラは、中国政府や一党独裁体制に対して批判的な個人を見つけ出す顔認識システムの端末として機能しているからです。撮影した映像データをコンピュータで解析すれば、いとも簡単に個人を割り出すことができます。既に多くのウイグル人が同システムによって収容所に送られており、監視カメラは、徹底した国民監視を支配の手段とする全体主義国家にあっては、秘密警察以上の威力を発揮するのです。
禁輸措置の表向きの説明理由はウイグル人弾圧なのでしょうが、上述したように商務省がブラックリストとも言える「エンティティ・リスト」に指定したところをみますと、中国企業に対するアメリカ企業からの調達禁止のみならず、逆方向の禁輸、即ち、中国企業によるアメリカへの輸出禁止にも含みを持たせているように思えます。ドイツ銀行のレポートに依れば、ハイクビジョンと浙江技術の二社のみで全世界の監視カメラ市場の3分の1を占めており、世界各国の企業、空港、学校、官公庁のみならず、アメリカでは陸軍基地、イギリスでは地下鉄や国会議事堂にも設置されているそうです。そして、ここで思い出されますのは、ファーウエイに対する禁輸理由です。
ファーウエイが禁輸措置を受けた理由は、同社製品にバックドア等の装置が組み込まれているとするスパイ疑惑、並びに、中国において2017年6月に施行された国家情報法にあります。合法、非合法の何れであれ、輸出先国を含めて膨大な情報を収集し得るIT大手は、自らが得た情報を中国政府に提供する法的義務を負っています。ハイクビジョンも浙江技術も立場はファーウエイと同じであり、既にアメリカでは、中国製監視カメラの禁輸を求める声が上がっているのです。すなわち、中国製カメラは、全米国市民にとりまして中国政府によって個々人の情報が掌握されるという深刻な脅威なのです。
アメリカでの相次ぐ中国製品禁止措置については、日本国内では、メディアを中心に米中貿易戦争の一環とする見方が広がっており、国会の場でも、中国製品に内在する安全保障、並びに、国民保護に関するリスクについて活発な議論がなされているわけではありません(2018年2月に野党側から質問主意書が政府に提出され、政府が答弁書として回答したことはある…)。中国がグローバリズムに乗じて世界支配を目論んでいる現状を考慮しますと、日本国政府もまた、中国の魔の手から国民を護るために、中国製品の輸出入や中国企業との取引に関する規制強化を含め、情報セキュリティーに万全を期するべきではないでしょうか。
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禁輸措置の表向きの説明理由はウイグル人弾圧なのでしょうが、上述したように商務省がブラックリストとも言える「エンティティ・リスト」に指定したところをみますと、中国企業に対するアメリカ企業からの調達禁止のみならず、逆方向の禁輸、即ち、中国企業によるアメリカへの輸出禁止にも含みを持たせているように思えます。ドイツ銀行のレポートに依れば、ハイクビジョンと浙江技術の二社のみで全世界の監視カメラ市場の3分の1を占めており、世界各国の企業、空港、学校、官公庁のみならず、アメリカでは陸軍基地、イギリスでは地下鉄や国会議事堂にも設置されているそうです。そして、ここで思い出されますのは、ファーウエイに対する禁輸理由です。
ファーウエイが禁輸措置を受けた理由は、同社製品にバックドア等の装置が組み込まれているとするスパイ疑惑、並びに、中国において2017年6月に施行された国家情報法にあります。合法、非合法の何れであれ、輸出先国を含めて膨大な情報を収集し得るIT大手は、自らが得た情報を中国政府に提供する法的義務を負っています。ハイクビジョンも浙江技術も立場はファーウエイと同じであり、既にアメリカでは、中国製監視カメラの禁輸を求める声が上がっているのです。すなわち、中国製カメラは、全米国市民にとりまして中国政府によって個々人の情報が掌握されるという深刻な脅威なのです。
アメリカでの相次ぐ中国製品禁止措置については、日本国内では、メディアを中心に米中貿易戦争の一環とする見方が広がっており、国会の場でも、中国製品に内在する安全保障、並びに、国民保護に関するリスクについて活発な議論がなされているわけではありません(2018年2月に野党側から質問主意書が政府に提出され、政府が答弁書として回答したことはある…)。中国がグローバリズムに乗じて世界支配を目論んでいる現状を考慮しますと、日本国政府もまた、中国の魔の手から国民を護るために、中国製品の輸出入や中国企業との取引に関する規制強化を含め、情報セキュリティーに万全を期するべきではないでしょうか。
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