お笑いの芸能人である岡村隆史氏の新型コロナウイルス禍に関する発言が、目下、‘炎上’しているそうです。それもそのはず、「コロナが終息したら絶対面白いことがある」と述べた後に、「コロナが明けたら、なかなかのかわいい人が、美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」「短時間でお金を稼がないと苦しいですから」と語ったのですから。視聴者の多くは、笑うどころか、顔が引きつってしまったことでしょう。同発言に対する批判殺到は、日本国民の一般的な道徳観が未だ健全であることを示しており、少しばかりは安心するのですが、同氏の発言には、日本国民、否、全人類が置かれている危うい立場をも示唆しているように思えます。
岡村発言に対する批判の大半は、女性蔑視に向けられています。戦前には貧しさゆえに望まぬ職業に就かざるを得なくなる女性たちも少なくなく、こうした就業形態は、一般には‘身売り’とも呼ばれていました。岡村氏の発言は、悪習とされてきた貧困による‘身売り’を歓迎しているようにしか聞こえないのです。しかも、岡村氏は、コロナ禍によって自らが貧困に陥るとはつゆとも考えておらず、コロナ化によってどん底に突き落とされた人々の不幸を楽しもうとしています。自分自身はコロナ禍の埒外において、他人の不幸、否、日本国の貧困化を喜ぶのですから、同氏が袋叩きにあってしまうのも故なきことではないのです。
その一方で、貧困による‘身売り’は、女性に限ったことではありません。実のところ、企業もまた‘身売り’をせざるを得ない状況に追い込まれる可能性が高いのです。実際に、感染拡大防止のために都市封鎖に踏み切ったヨーロッパ諸国では、広範囲に亘る経済活動の停止により株価の大幅下落に見舞われました。この時、何が起きたのかと申しますと、資金力に優る中国系企業が安値となったヨーロッパ企業を手当たり次第に買い漁ろうと、買収攻勢をかけてきたのです。
新型コロナウイルスは中国の武漢発ですので、中国企業によるピラニア、ハイエナ、はたまたハゲタカのような行動がヨーロッパの人々の怒りと顰蹙を買ったことは言うまでもないのですが、この事例は、日本国においてもコロナ禍によって株価の下落や大量倒産が起きた場合、ヨーロッパの二の舞となることを示唆しています。すなわち、コロナ不況を買い時と見た中国系企業やファンドが、これをチャンスとばかりに日本国の企業を買い取ろうとするかもしれないのです。
おもわぬ展開に驚いたヨーロッパ諸国では、即座に買収を阻止するための外資規制の法案を成立させ、急ぎ企業防衛に走ったのですが、日本国は、大丈夫なのでしょうか。医療物資については外資規制を強化しましたが、その他の産業分野においても、何らかの外資規制強化は必要なように思えます。とりわけ‘グローバリズムの旗手’を任じる中国は、コロナ禍を覇権拡大の踏み台にしようと躍起になっており、‘焼け太り’戦略を遂行中です。日本国も、産業分野や事業規模の違いに拘わらず、あらゆる企業が買収のターゲットになりかねず、‘身売り’の危機が迫っていると言えましょう。アメリカでは、中国に対する報復措置を検討中とも報じられていますが、日本国政府は、中国の責任を厳しく問うどころか擁護しかねず、中国企業による日本企業の買い漁りも放置するかもしれません。
このように考えますと、民間企業は自社の防衛に努めると共に、日本国政府も、十分な資金供給や外資規制の強化を急ぐべきなのではないでしょうか。また、株価下落等による買収危機のみならず、コロナ禍は、一般の事業者に対して債務の負担増を強いてもいます。有望な融資先を探しあぐねていた金融にとりましては好機ともなるのですが、モラトリアムの容認や低利融資など、企業の社会的な責任として痛みを分かつ姿勢も求められるかもしれません(企業の善はSDGsのみではない…)。何れにせよ、岡村発言は、他者の不幸や混乱に乗じて利益を得ようとする者の本音を暴露したことにより、日本国の警戒レベル(免疫レベル?)を上げるという副次的な効果を、図らずももたらしたのではないかと思うのです。