万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

新型コロナウイルスとコンピューター・ウイルス

2020年05月11日 10時04分05秒 | 国際政治

 未知のウイルスである新型コロナウイルスのパンデミック化により、どの国にあっても国民の最大の関心事は同ウイルス問題となりました。感染者数、死亡者数、政府の対策、勤務先への影響等から日常のお買い物まで、コロナ情報なくしては過ごすことができません。治療方法もワクチンも確立しておらず、人々の不安は募るばかりなのですが、著名人の中には積極的な支援に名乗りを上げる人も現れるようになりました。巨額の支援金拠出を以ってコロナ禍の‘救世主’の役割を買って出た人物の一人に、マイクロソフト社の創始者であるビル・ゲイツ氏がおります。

 同氏は、ビル&メリンダ財団を設立し、以前から途上国等でワクチン普及活動に取り組んでいる慈善家でもあります。医療体制の不備から命を落としてきた多くの子供たちを感染症から救っているのですから、同氏の活動内容自体は誰もが認めるところなのでしょう。しかしながら、その一方で、同氏に対しては疑問を呈する向きもあり、必ずしも称賛一辺倒ではありません。それでは、何故、私財を投げうち、ボランティア精神でワクチン普及にかくも献身しながら、同氏は、人々から疑いの眼差しを向けられているのでしょうか。

 まずもってその理由となるのは、ネット上で散見される陰謀論です。かつては胡散臭い響きがあった陰謀論も、今日では、中国が誰にでも分かるような露骨な陰謀をめぐらすため、公然の秘密、否、歴史的事実として検証すべき対象と化した感があります。また、近年の科学的調査によって過去の陰謀が暴かれるケースもありますし、歴史上の謎や未解決事件の多くも陰謀の存在証明と言っても過言ではありません。このため、同氏をめぐる陰謀論も無碍には否定できず、真偽不明のビル・ゲイツ陰謀論を信じる人も少なくないのです。

流布されている陰謀論とは、同氏が接種を遂行しているワクチンには、人類の監視とコントロールを目的としたミクロ(micro:マイクロ)チップが含まれているというものです。つまり、ワクチン接種の真の目的は感染症の予防ではなく、感染病の人為的拡大による人口削減計画をも伴う人類の家畜化であるというのですから、誰もが眉をしかめてしまいます。既に、体内埋め込み式のチップは開発されていますし、現在のナノテクノロジーのレベルを以ってすれば、ワクチンへの混入もあり得ます。この説に従えば、今般の新型コロナウイルス禍も、親中派とされる同氏が一枚噛んでいるとする推測も成り立つのです(コロナ禍で最も‘得’をしたのは、この機に徹底したIT型国民監視体制を広げたい中国政府、並びに、GAFAMや中国IT大手とも…)。

そして、このストーリーは、もう一つのウイルス問題をも思い起こさせます。それは、コンピューター・ウイルスの問題です。同問題についても有力な陰謀説があり、今日、多くの人々を悩ませているウイルスは、ハッカーといった犯罪集団によるものではなく、実のところ、マイクロソフト社といったIT大手が意図的に拡散させているというものです。その目的は、パソコン等のコンピュータへのウイルス感染リスクがあれば、誰もが感染防止のためのソフトを購入したり、‘防疫サービス’に頼らざるを得なくなるからです。つまり、コンピューター・ウイルス問題は、ビジネスのためのマッチポンプであるというのです。

この説についても真偽は分からないのですが、ビル・ゲイツ氏は、仮想空間で行われてきたコンピューター・ウイルスの散布から発想を得て、現実の世界におけるワクチン接種活動を思いついたのかもしれません。そして、仮にその真の目的が、人々の命を救うという表向きの目的とは真逆にあるとすれば、全世界の人々は、ワクチンの強制接種化の流れには用心しなければならないということになりましょう。あるいは、真にビル・ゲイツ氏に人類を救おうとする善意があるならば、本業に返り、未だに誰も実現していない、いかなるコンピューター・ウイルスに対しても強力な免疫作用を発揮するコンピューター・ワクチンを開発すべきなのではないでしょうか(マッチポンプであれば、ワクチンを開発しなくとも解決されるかもしれない…)。

コメント (9)
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