(砂丘を守るため、砂が飛んでしまうのを防ぐ堆砂垣です)
ずいぶん痩せたなあ――。ほぼ20年ぶりに静岡県浜松市の中田島砂丘を訪ねての印象でした。僕の記憶にあった、ふくよかな女性の裸体が幾つも横たわっているような砂丘が、ずいぶん寂しく見えたのです。砂が大量に減っている、と新聞などで伝え聞いてはいたのですが。<o:p></o:p>
鳥取砂丘などと並ぶ三大砂丘といわれ、ウミガメの産卵でも知られる東西4キロの中田島砂丘をつくったのは、天竜川が運んだ土砂。中央アルプス、南アルプスを水源とする本・支流が流域の脆い岩質を削った土砂が遠州灘に流れ込み、遠州灘からの強風が長い時間をかけて形成したのです。
豊かな砂の起伏では、サンドスキーが楽しめたほどだったそうです。
ところが、天竜川の本・支流に佐久間(1956年竣工)をはじめとするダムができて状況は一変しました。
土砂がダムに堆積して、遠州灘に流れ込む砂の量が激減。その結果、中田島砂丘の砂は減り続け、海岸も毎年数メートル単位で浸食されているというのです。
写真の砂の上に並ぶ垣根は堆砂垣(たいさがき)です。風で飛ぶ砂をこの垣で止め、溜まった砂が高くなると上に垣を追加して砂丘を高くしていこう、というわけです。また、砂防林に飛んできて溜まった砂を浸食の激しいところに移す試みもされたようです。
根本的な解決策ではありませんが、少しでも豊かな起伏が戻るように、こうした延命策にも期待したいですね。
(海岸の浸食も進んでいるそうです)