久々にパリへ行ってきました。これまで2回のパリ詣では団体ツアーで数日立ち寄っただけでしたが、今回は伴侶とだけの実質5日間のパリ滞在。乏しい語学力への不安はあったものの「余裕をもち、無理せず、欲張らない」をモットーに、晩秋のパリを楽しんできました。
費用面での余裕を生み出したのは、旅費・宿泊費の安いシーズンオフを選んだこと。高級レストランやオペラ鑑賞などもパスして、もっぱら美術館や街歩き中心のメニューにしました。
精神的な余裕を持つには語学力をつけるのが一番でしょう。でも、三日坊主では無理なので、下調べと「ノート」作りをしました。
例えばオルセー美術館は3度目でしたが、今回は添乗員さんの引率がないのでガイドブックで調べた作品の展示個所、開館・閉館時刻、休刊日、館内レストランの有無などを「パリ歩きノート」に記録。初めて行く施設は周辺の案内地図を添付。いくつかの美術館を回るのにお得で便利な美術館パスがあるのも知り,パリ初日に手に入れました。
ノートにはパスポートはもちろん、カードや傷害保険などの紛失・盗難、緊急時のパリ市内の連絡先も。まさに自分が添乗員になったつもりでの備えです。
ガイドブックや外務省の海外安全ホームページなどの注意情報を一読したことも、心の余裕になったようです。ノートや地図を広げたとたん、どこからか親切顔で寄ってくる男。署名運動を装って声を掛けてくる若者グループ。どれもマニュアル通りに無視することができました。
宿泊はパリ1区内の比較的安いホテルに。まるごと世界遺産のパリで歴史もあるホテルなので設備も古く、ネットでの評判は芳しくありませんが、僕にとっては本来のパリを味わえました。
それに何よりルーブル美術館まで歩いて2分。国立近代美術館やオルセー美術館、オペラ座、コンコルド広場、ノートルダム大聖堂なども散歩圏という絶好の位置です。4号大ほどのフェルメールの絵から60平方メートルもある絵画に陶酔したり、コンビニ風スーパーでの買い物。スタバでパリジャンやパリジェンヌたちに囲まれてのコーヒータイム・・・。
伴侶の希望だったパサージュ(アーケード街)も徒歩圏に5、6カ所あり、散策できました。
何年か前、早起きしてカルチェラタン地区などを歩き回った時の楽しさを、存分に再現できた5日間。
万歩計は連日1万歩以上、うち2日間は2万歩を超えていました。もっとも伴侶は、タクシーを使わずに地下鉄の2駅や3駅は歩こうとすることには不満だったようで、僕も少し無理をしたかな、と反省しています。
誤算や失敗もありました。
覚悟はしていたのですが、まず日没時間。午後9時を過ぎても明るい夏場に比べ、今は5時を回れば暗くなります。活動時間が限られるので、毎日朝早くからの「出動」となりました。
また今年は、パリも「暖秋」らしく、持参したコートは着用しないまま。楽しみにしていた街路樹の色づき、落葉もまだ十分ではありませんでした。
ホテルの朝食での失敗。緑茶パックをコップに入れ、勢いよく湯を注いだつもりが、実はミルク。「これが抹茶ミルクだ」と飲み干したのですが
・・・。ワインのコルクを持参した道具では開けられなかったこともありました。
パリ名物の地下鉄。利用した経験はあっても都心を離れた街での駅探しにはひと苦労でした。夕方近く、降りしきる雨の中で広げた地図はびしょ濡れになり、通りを示す小さな文字は判読できず迷子に。
目的地周辺の地図はコピーで部分拡大して持っていくべきだった、と反省するとともに日本の地下鉄駅表示に感心したものです。
一方で、フランス語がほとんどできない2人のために、雨に濡れながら懸命に道案内をしてくれた地元の人たちの優しさ。今回の旅の最大の感動でした。
余談をもう一つ。
名古屋=パリの往復で初めて利用した旅客機(フィンランド航空=ヘルシンキ経由)を降りる時に気付いたのですが、乗客が離れた席の周辺が大変きれいだったのです。帰りも同じでした。
国際線の利用経験がさほど多くない僕の体験ではデータにはならないかもしれませんが、東京(成田)からの便を含めビジネス・エコノミーを問わず、客席や床に菓子袋や新聞紙、膝かけ、紙コップ、イヤホンなどが散乱していたことが珍しくなかったのです。だから、乗り込んだ時と変わらないほどの今回の状態に驚いたのです。
乗務員が飲み干したコップなどを比較的こまめに集めているようでしたが、そんな姿が客の心に伝わったのでしょうか。でも、コップの回収は他機でも行われていますよね。
ただ、帰りの便で、どの国のグループか分かりませんが一人が紙袋を回して、ゴミを入れるように呼びかけている光景を目にしました。今回の旅での思い出のひとつです。
(セーヌ河畔の並木の色づきは (ノートルダム大聖堂を黄葉ごしに)
まだまだのようでした)
(雨の中でもモンマントルの顔描き広場 (パッサージュ)
は賑わっていました)
(国立近代美術館横の現代アートが並ぶ池)
(映画「ポン・ヌフの恋人」の舞台)