風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽描き水彩画「旅と絵描きの定年後=名古屋の佐藤英機さん、14回目の水彩画個展」

2016-06-28 15:46:29 | アート・文化

      





      



  
  

           

定年後は、あちこちに出かけて、スケッチを楽しみ、年に1度は個展を開く――。
こんな目標を実践している佐藤英機さん(名古屋市緑区在住)の14回目の水彩画個展が、名古屋・栄の市民ギャラリー栄で開かれています。7月3日まで。

佐藤さんは75歳。「トシを感じるようになりましたが、まだまだやります。新しいことにも挑戦して・・・」
会場に展示された8号前後の作品32点からも、その意気込みを裏付ける作品が何枚か並んでいます。

例えば、霜が降りた朝や花畑の風景画。「以前は、こんなものは描けない、と逃げていました。でも、描いてみなければ始まらない、と考えるようになりました」と話します。

霜が降りた風景では霜を画用紙の白だけでなく、ガッシュの白を効果的に使うことで寒さや光の具合も表現。観光客でにぎわう大きな花畑は、手前の花にマスキングを使うなどして描き、遠近感を出すことで、奥行きのある風景にしています。


テレビの旅番組などの画面を素材にした作品もあります。
絵を描かれる方の中には「テレビ画面を描くなんて方法は、ありなの?」と思われる方が少なくないと思います。でも、僕は「あり」と考えます。
ただし、僕のような未熟者がやれば、写真にとらわれた味も素っ気もない絵になりかねませんが。

しかし、佐藤さんのように、この15年間、西に東に旅を重ね、現場でのスケッチを何百回も繰り返し、空気感や光、影の変化などを見つめ、描いてきていれば挑戦する力がついている、と思うからです。
小説だって、現場を歩き体験豊かな作家と、そうでない作家とでは全く違いますからね。

佐藤さんも、その辺のことを理解してもらうために、展示作品にはTVからの素材であることを明示するとともに、TV画面の写真を添付しています。見比べれば納得されるでしょう。


「疲れが溜まるようになって、旅先も近場になってきましたが、描くことの楽しさに変化はありません」と佐藤さん。来年が楽しみです。