風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽書き雑記「志国高知で開催中の2年間のロング博『幕末維新博』を覗いてきました」

2017-08-08 07:31:06 | 日記・エッセイ・コラム

新しく見つかった龍馬の手紙。この5日後に暗殺された



日本史の一大転機となった大政奉還(1867年=慶応3年)から150年。その中で核的役割を果たした旧土佐藩の高知県で、誇りと威信をかけた博覧会がこの春から2年間にわたるロング博として催されています。

タイトルは「志国高知 幕末維新博」。念のため、志国は四国の間違いではありません。数多くの志士たちを生み出したように強い志(こころざし)を持つ国という意味でしょう。僕が卒業した高知市にある高校の同窓会に出席したのを機に、メーン会場である高知城歴史博物館を覗いてきました。

博覧会は2幕に分割。第1幕は来年3月末まで、第2幕は現在改装中の坂本龍馬記念館もメーン会場に加わって来年4月1日から翌年3月末まで、維新にゆかりのある県内23の会場で開かれます。

高知城大手門の向かいにある、今春完成したばかりの高知城歴史博物館の展示は、いわば総論編。
戦国時代からの土佐の歴史をたどり、大政奉還・明治維新へと奔走した坂本龍馬や中岡慎太郎、朝廷への政権移行を求める大政奉還建白書を出した後藤象二郎たちの動きなど、壮大なドラマを振り返っています。

漁師として漂流後にアメリカで世界情勢の現実をつかみ、龍馬の思想形成にも大きな影響を与えたとされるジョン万次郎。
後藤象二郎の建白書を採用して徳川慶喜に大政奉還を進言した土佐藩主の山内容堂。龍馬の海援隊を支え、のちに三菱グループの楚を築いた岩崎弥太郎。
時代を動かし、日本を変えた男たちの夢とロマンに包まれます。

展示品の中には、新しく見つかった坂本龍馬の手紙も。
朝廷中心の新政権樹立に対する財政的尽力を求めて、慶応3年11月10日付で福井藩士の中根雪江宛てに出したもので、中には「新国家」という言葉が出てきます。
龍馬はその5日後に近江屋で暗殺されており、最後まで新国家樹立に向けて奮闘していたことが伺えます。

龍馬の手紙は、姉の坂本乙女や後藤象二郎に宛てたのも展示。
これらの資料に加え、土佐の捕鯨文化や各種産業などについても改めて知ることができました。

余談ですが、同窓会で出掛けたので、当然ながら60年前の仲間たちとの酒席も。
そのひとつ、高知へ旅されてご存知の方も多いと思いますが、高知城近くの居酒屋など約60店舗からなる屋台広場「ひろめ市場」に出向くと、観光客も加わって超満員。夜が更けるのも知らず、150年前の龍馬らもそうであっただろう「談論風発」を楽しんでいました。

しばらく待って座席を確保。こちらも負けてはおれないと、酔鯨や土佐鶴を一升瓶からコップに注いで酌み交わし、時が経つのもどこへやら。酒に強くないので「土佐人として恥ずかしいぞ」と、からかわれてきた僕ですが、久々の酒量を味わいました。

欧米の実状を知るため取り寄せたドイツ製の天体望遠鏡

龍馬が姉の坂本乙女に送った手紙


幕末維新博のメーン会場。高知城歴史博物館