風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

(楽書き雑記「紅葉とサクラを楽しむ=愛知県緑化センター・昭和の森に立ち寄ってきました」)

2016-12-07 08:58:31 | 日記・エッセイ・コラム

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林の中のサザンカ

1979年の全国植樹祭で昭和天皇・皇后両陛下が植樹されたヒノキとハナノキ

可憐な花を咲かせた四季桜

  

名古屋から豊田方面へドライブに出掛け、豊田市北部の西中山にある愛知県緑化センターと、隣接する昭和の森に立ち寄ってきました。もうシーズンオフに入ったのだから、と期待はしていなっかたのですが、紅葉・紅葉、花や実のなる草木の彩りも結構楽しめました。

緑化センターは総面積約48㌶と広大。豊かな自然林が広がり、樹木見本林や花木展示林、ロックガーデン、日本庭園、オーストラリア庭園などがあります。
昭和の森は、昭和54年(1979)の第30回全国植樹祭で、昭和天皇がヒノキ、皇后がハナノキを3本ずつ植樹され、一帯は記念の森、野鳥の森、野外生活の森などといったゾーンが設けられています。
どちらも縦横に散策路が整備され、森林浴を楽しめるオアシスです。

それぞれの散策路を、厚さ数㌢に降り積もった落ち葉を踏みしめながら進むと、紅葉・黄葉、そして、白や赤のサザンカ、鮮やかな黄色のツワブキなどが次々に。直径が500円硬貨ほどの実をつけた千成柿(せんなりがき)や、名も知らぬ実をぶら下げた木も。
緑化センターの本館前では、小さな花を体いっぱいに咲かせた可憐な四季桜が迎えてくれました。

 

千成柿

 

 




楽書き雑記「名古屋で第16回全国障害者芸術・文化祭あいち大会の美術・文芸作品展始まる」

2016-12-06 14:09:37 | 日記・エッセイ・コラム





 

厚生労働省などが主催する第16回全国障害者芸術・文化祭あいち大会のプログラムのひとつ、美術・文芸作品展が6日、名古屋市民ギャラリーで始まりました。
全国の障害者自身や障害者を含むグーループなどから公募した作品で、絵画・写真・書道・陶芸・オブジェ・刺繍など美術作品と、短歌・俳句・川柳などの文芸作品合わせて約800点が、市民ギャラリー7階の全室を使って展示されています。会期は11日(日)まで。

会場に入って、それぞれの作品から伝わる豊かな感性と創作への意気込み、懸命さに圧倒される思いでした。
手のひらで大きな魚、指先で小さな魚を描いた絵。絵筆を口にくわえて創作した作品。色紙と糊だけで描いた絵・・・。教室の仲間たちや、大好きな犬とアンパンマンを描いた作品も。

「手のふるえを我慢して描きました」「色の仕組みを一から勉強して・・・」「電車に乗ってサッカーを見に行きたい気持ちを絵にしました」。コメントからも、思い思いに描き、楽しんだ様子がうかがえます。

力強い筆致の書道、粘って撮った写真、土を懸命に練り形にした陶芸、色とりどりのオブジェなども目を引きます。
大きなロボットや怪獣、美濃和紙で作った光アート、大漁旗、手編みのぞうり、食べたいものを詰め込んだお弁当。
仕事で出たゴミを丸めて作りました」というゴミたくさんのボール状に丸めたアートには、発想と出来栄えに驚くばかりでした。

ヘルパーさんや看護のみなさんも一緒に創作を楽しんだ数々。「笑いを創り、人と人のつながりを大切にしたい」「障害がある人もない人も、共に生きる社会を」。この思いが詰まった会場でした。










 


楽描き水彩画「信長の安土城天守跡へ最後の石段」

2016-12-04 09:16:46 | アート・文化

織田信長が居を構えた安土城(滋賀県近江八幡市)の天守跡を目指し、杖を頼りに大手道を一歩、一歩登ってきた石段も最後のコーナーへ。
一足先にたどり着いた仲間たちの声が聞こえます。石垣を覆っていた木々の間から差し込む日差し。「登りきったぞ」。ホッとした思いと満足感がわいてきました。

5重6階建てだったとされる天守の跡地に立ちました。
眼下の向こうに琵琶湖が見えます。湖畔に広がる水田と民家の集落。前日から立ち込めていた雲の合間からのぞく空の青。それがどんどん大きくなる様子に、帰り道への不安も和らぎました。
目にすることはできませんが、東方には信長のふるさとの尾張や手に入れてきた美濃、そして琵琶湖の向こうには信長が動向を気にしていた越前や加賀の地が広がっています。

信長の掲げた「天下布武」。ネットを開くと、この造語にはいろいろな解釈があるようです。読み方が『てんかふぶ』なのか『てんげふぶ』なのか、その意味も『武力をもって天下統一をはかる』なのか『民の安寧など総合的な力量をもって』なのか。「武ではなく歩である」といった意見も見受けます。
果たして信長自身はここに立ち、どのような思いを巡らせていたのでしょう。作品は10号です。


安土城址の天守跡から琵琶湖畔を臨む

 



楽書き雑記「いずれ『洋画』は『死語』に?=愛知県美術館の『日本で洋画、どこまで洋画?」展を見て」

2016-12-02 18:04:25 | 日記・エッセイ・コラム


高橋由一   《不忍池》

日本で洋画、どこまで洋画?」。こんなタイトルにひかれ、名古屋の愛知県美術館のコレクション企画展に出かけてきました。会期は12月18日(日)まで。
明治中期に日本画に対するように生まれた油彩や水彩で描く「洋画」。先駆けである高橋由一を皮切りに、日本の独自性を追求する一方で、既成画壇の反発や戦争の壁、自由と平和の中で芽生えたジャンルを超えた表現、そして奈良美智ら現代アートへと続く洋画の変遷を、同館のコレクションから選んだ約90点の作品とコメントでたどっています。

油彩技法をいち早く取り入れ、わが国最初の洋画家とされる高橋。以前、水彩画教室の仲間と東京芸大美術館を訪ね、代表作である「鮭」と「花魁」を見ましたが、今回は東京芸大そばの不忍の池を描いた風景画を見ることができました。

「グレーの洗濯場」で知られる浅井忠や黒田清輝らが続きます。彼らに立ちはだかったのは、絵画の既成概念でした。コメントによれば、評論には洋画に対して「植民地芸術」「無秩序」「無定見」などといった言葉が躍り、黒田の裸婦像には「醜怪である。社会の風俗に影響を及ぼす」との批判が浴びせられたそうです。

しかし、ヨーロッパから入ってきた油彩画、水彩画の「洋画」は、日本の独自性を出すなどで次第に浸透していきましたが、今度は戦争の壁。「裸体や享楽的な絵は好ましくない」と非難される一方で「戦争を写実的に書けば、国威発揚につながる」と戦争画を描かされる立場に。今回展では鬼頭鍋三郎の「機銃分隊習作」が展示されています。

戦後。自由と平和を謳歌するように洋画の世界も、大きく変化しました。
「紙本着色」といった日本画の手法が洋画にも出現。カンバスも四角形でなく変形カンバスが現れました。題名も無題とかアルファベットが並びます。
 

使用される絵具も、油彩や水彩絵の具だけではありません。展覧会場で洋画部門を見て回ると、アクリル、クレパス、木炭、ボールペン、砂、小石、鉄粉、板切れ、ブリキ・・・。100円ショップにあるようなキラキラした飾りだって目にします。
公募展の募集要項にもサイズや額装の決まりはあっても、絵の具などの制限はありませんから、ジャンルを横断した表現方法はさらに進むでしょう。

こうした流れを、地元・愛知県出身の日本画家で「異端の画家」「反骨の画家」と呼ばれた中村正義らの作品でたどり、最後は自由で軽快な創作へと進んだ結果として、現代アートの世界を奈良美智らの作品で締めくくっています。 

「どこまで洋画?」。まさに、その通りですが、この先はどうなるのでしょう。以前、大きな公募展の会場で耳にした年配夫婦の会話がよみがえります。
「洋画と日本画の違いってどういうこと?」
「そりゃあ、ヨーロッパの景色や人をなんかを描いてあるのが洋画、日本の景色なのが日本画だろう」
ジョークでしょうが、僕もしばらく前に、展覧会場を回っていて部屋の表示を見ずに隣の部屋に移り、何点か見るまで展示部門が変わったことに気づかなかったこともあります。

先日、現役時代の仲間が集う会合で、僕と同様にお絵かきを趣味にしている元同僚が言いました。「IT技術で加工までして出展しているのを知って、この世界はどうなってしまうのだろうと面喰ったよ」と。
この夏の現代アート展「あいちトリエンナーレ」の会場巡りでも、さまざまな表現に接して感じたことですが、いずれ「洋画」という言葉そのものが「死語」になるのではないか、とさえ思います。

洋画と対になっていた日本画だって、あやしいものです。
岩絵の具、膠(にかわ)、紙本、絹本、墨、胡粉などといった従来の日本画が、揺らいでいるではないでしょうか。直接板に描いたり、石膏や砂、板切れなどでマチエールされた作品を目にすると、首をかしげたくなります。
先日、院展の展覧会場であったトークショーで田渕俊夫理事長が口にされた「日本画とは何かを考え、追求して欲しい」という言葉は印象的でした。


安井曽太郎  《承徳喇嘛廟》
     
林武  《夫人像》              小林孝亘   《Stairs》
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北川民次  《砂の工場》

 
小出楢重 《蔬菜静物》

 

 


楽描き水彩画「スケッチ会で名古屋港水族館や南極観測船『ふじ』へ」

2016-12-01 07:48:21 | アート・文化













3か月ごとにある水絵画教室の野外スケッチ会。今回は名古屋港にある名古屋港水族館と、港内に博物館として係留されている南極観測船「ふじ」へ。僕は名古屋港には何度か出かけていますが、自然風景や神社仏閣などとは全く異なる画題の取材は結構楽しめました。

名古屋港水族館で飼育されている生き物はざっと500種。絵にするとなると絞るしかなく、僕はイルカ、シャチ、コブダイ、ウミガメ、カニなどを選びました。
しかし、巨大な水槽を動き回るか、カニのようにじっとしていて動かないか、それに水槽内を撮るのは難しく容易ではありませんでしたが、水槽に潜った職員が壁の水垢取る作業も目にできました。

「ふじ」は1965年に進水した2代目の南極観測船。以前、吹雪の中の姿を絵にしましたが、今回は船内を回り、操舵室や観測隊員らが生活していた部屋、雪上車などを取材。船外に展示してある観測車などもカメラに収めてきました。