8月29日、石垣島でまたも遭難事故が起きてしまった。今回は「ぶざま岳」だが、ここだけで今年に入って3件もの遭難事故が起きている(今回遭難したのは島在中者)。
警察も消防も以前から石垣市に対し注意喚起の看板設置等を提案していたが、なかなか同意が得られず、9月1日あらたな遭難事故が起こる事によって、ようやく今回の設置に至った。地元紙・八重山毎日新聞によると、石垣市農政経済課は「市は登山を想定していない。登山道も整備されておらず、遭難防止や人命保護の観点から入林する事は控えてほしい、と呼び掛けている」とあるが、観光文化課が発行「島人ぬ宝さがしマップ」には「古道・桴海越路を登る事1時間、川平湾絶景テラス、目の前に開ける至極の川平湾。絶景パノラマを満喫できる」と紹介されている。これは農政経済課の「入林する事は控えて欲しい」と言うのと全く相反する内容である。それを事故が起こってから行くなと言うのは余りにも無責任ではないだろうか。
ぶざま岳も山の専門サイトなどでは以前から紹介されてはいたが、野底岳(マーペ)や屋良部岳ほどSNSで紹介されたりするような場所では無かった。地元の人間でもこの場所を知るのは普段から山に入っている人や猟友会(20年ぐらい前はハング・グライダー関係者)など、一部の人だけではなかっただろうか。登山の専門サイトではもちろん長袖・長ズボンなど、ちゃんとした登山の格好をした人が画像で紹介されている。「島人ぬ宝さがしマップ」には難易度5つ星「登山道に目印が無いためフィールドツアーなどに参加するのがおすすめです」とは書いてはあるものの、先ほども書いたように道がある事や所要時間も書かれており、それを助長するようにSNSでも簡単に行けると紹介されている。「大丈夫だろう、行って見よう」と思うのは当然である。観光文化課も当然さらなる観光客誘致、広める為に掲載したのだろうから。
石垣市によって山への進入路に付けられた注意喚起の看板。撮影の後、周辺の方何人かに話を聞いて見る事にした。
「数年前から来る人が増え、ゴミが増えた。出入り口の前に車を停められ、自分の車を出す時に困る事があった。最近来るのはサンダルとか軽装で来て、服装を見るとちゃんとした登山の人と違うから直ぐわかる」「最初警察の大きい車が2台と消防の人が来て、何があったのかと驚いた。理由を聞いてからは、またかと思った」
(この時も進入路付近に飴の袋が幾つか落ちていたのを私は確認している)
ここから、今回の遭難事故とは違う話でだんだん話はそれていく、
「大きい網を持って虫取りに来ているのがいるさ。あれは捕まえられないの?」
「勝手に畑に入って来て、挨拶もしない」
「屋良部崎の海に何か造ろうとしてるさ、あれはダメだ、魚が減る。漁協は賛成したろ、何でかね?」
「ゴルフ場なんかあんな所に作ったらダメさ、あそこは一等の農地で、あんなの作ったら自然も畑も海も皆ダメになるさ。水を守らんといかん」
「裏の海が良く見える所にナイチャーが家を建ててるだろ、みんな数年でいなくなるさ、あんな所に住んでも北風が来て住みづらいだろ、山の陰に棲まんと」
かなり話がそれたが思わぬところで島人ならではのもっともな意見を多々聞く事が出来た。もともと島の人達は迷惑をかけられてもあまり表には出さない事が多いが、本音で話しを聞いていると、
「何が良くて何がいけない事なのか、ちゃんと分かっている」
そして観光客の為ではなく、子や孫の為に、今流行りの言葉で言えば「持続する~」の石垣島をそろそろ本気で考えなければいけない時が来ているのだ。
#石垣島 #遭難 #ぶざま岳