【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

海に刻まれたドラマ

2011-02-19 16:10:37 | 心の宝石箱


   4日振りに雲一つない
  快晴の朝を迎えました。

   それでも早い時間には霞が・・。
  春が近い事を教えてくれて
  いるのかも知れません。

   そんな晴れた空に立つ霞の事を
  晴烟せいえん と言うのだそうですね。

   お昼の空も、こんな刷毛で
  ス~ッと描いたような空になりました。



   さて、三浦綾子著 『海嶺(下)』(全3巻) を読み終えました。
  最後まで読み終え、時代の運命に翻弄された彼らが可哀想で・・呆然としています。
  
   「海嶺」 とは、作者自身によれば “大洋底に聳(そび)える山脈上の高まり” とか。
  人目に触れずとも、大海の底には厳然と聳える山が静まり返っている・・。
  
   すなわち自分自身は知らないながらも日本の歴史に深く関わった、
  音吉達3人を、この 「海嶺」 になぞらえていたのですね。

   それにしても故国に帰る事だけを願い、
  懸命に生きて来た彼らの気持ちを思うと、胸が痛みます。
  (この巻では別に漂流して助けられた九州、肥後組4人も加わります)

   尤も、このような結末の予測は、
  巻頭に示されていた航路地図で容易に想像出来ました。
  
   それでも、ひょっとしたら・・と淡い期待も抱いていたものです。
  いいえ、願望と言った方がいいかも知れません。

   前回も申しましたが、この本は実話を元にした小説です。
  音吉達の乗った船が遭難したのが、1832年11月。
  
   イギリスの船(イーグル号)に助けられ、最後はアメリカの船(モリソン号)・・と、
  変遷を辿るのですが、浦賀に接近したのが1837年7月30日。
  遭難から5年も経っています。
  
   そして、ペリー浦賀来航の30年も前なのですね。
  折しも、世は天保の飢饉(ききん)で騒乱の最中。
  大坂で、「大塩平八郎の乱」 が起こったのもこの年です。

   彼らを連れて来たモリソン号は、幕府に気を遣い大砲を片付け、
  文書を携え、民間の船として入港したものの、聞く耳どころか大砲で追いやられる始末。
  やむなく薩摩藩に再度働きかけるも、同様の扱い。
  
   ここでは最初、岩吉からも薩摩藩の武士が事情を聞き、
  肉親の元に帰れると約束したものですから、それが覆されたどころか、
  大砲の仕打ちですから(期待が大きかっただけに)もっと悲惨です。

   あとがきに7人のその後が記してありましたが、
  2度と故国の土を踏む事はなかったようです。

   そうそう、今日のテーブル周りは青い海を感じて。
  カップも深い海の色を。背景には古い世界地図も配して見ました。
  
   北アメリカからハワイ、ロンドン、アフリカ、マカオ、日本。
  あれから170年経った今でも地図では遠いです。


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2 コメント

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『海嶺』 (きたあかり)
2011-02-19 21:38:15
リラさん、こんばんは。
私も『海嶺』を読み終えました。
まさに、リラさんのタイトルどうりだなあと思いました。

巻頭の地図の日本の部分をしっかりみていなかったのですが、鹿児島まで来た時になんとなくいやな予感がしたので地図を見直してみたところ、上陸できたような気配がなかったのですが、それでもいつかは彼らの願いがかなうのではないかと、期待して読みつづけたのですが…彼らの絶望に胸が痛みました。運命の残酷さ、人生の苦悩を思い知らされたような気がしました。
せめて、生きていることだけでも家族に教えてあげたかったです。
今では誰でも簡単に外国にも行くことができますし、海で遭難しても1年以上も漂流することはあまりないと思いますが、海って広いのだなあと改めて感じました。

それから、お写真のガラス、素敵ですね~
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事実は小説よりも奇なり (リラ)
2011-02-20 15:33:29
  きたあかり様

 こんにちは~!  きたあかりさん~☆
いつも温かいコメント、有り難う~。

 きたあかりさんも、この本、お読みになられたのですね~!
最後は、本当に可哀想でした~。

 でも、冷静になると様々な事が浮かび上がって来ます。
それにしても 「事実は小説より奇なり」 って、本当にそうですね~!

 又、彼らは神に選ばれたのかも知れない・・~なんて、
思えて来たりして。良く分かりませんけれど。(笑)
それにしても三浦綾子の小説、面白いです~!!
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