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『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

爺じい旅 14 ― 最高の懐石弁当の巻― 

2025-03-26 21:47:28 | 懐石

 

旅の最終日。 

リク坊一家もペンションに一泊し、
お昼は、宇治に出向いて
川沿いの老舗料亭で
懐石弁当を頂いた。

 

お子様用も廉価でありながら、
透かし彫りの木製『松華堂』で
内容もお子様ランチとは
雲泥の差の本格京懐石であった。

 

先付けは、
鯵の南蛮漬け。

揚げ鯵を三杯酢で浸した
爽やかな酸味に
旨味がくっきりとしていた。

 

つづいて、八寸の倍もある
市松模様の陶器大皿に
茄子の炊いたん、
海老含め煮、揚げ麩、
出汁巻き玉子、鴨ロース…
お造りが、桜鯛、本鮪、紋甲烏賊…
物相飯には、てん茶が振ってある。

 

お椀は、
わか竹煮。
茶懐石で用いられる
青海千鳥の千筋椀には
目を見張った。

 

茶碗蒸しは
ゆるゆるの食感で、
飲めそうなほどだった。

極上の出汁の旨味に
百合根も銀杏も入った
真っ当な茶碗蒸しであった。

 

揚げ物は、
あられ揚げで、
海老の甘さが引き出され
パリリという食感も
まことに愉しげであった。

 

フキノトウは
仄かな春の苦味があり、
河畔の桜を観ながら
春爛漫の気分を満喫した。

〆の主菓子は
栗入り抹茶レアチーズケーキ
という手の込んだ美味に
奥方たちはご満悦だった。

どれもこれも
美味しかったので、
リク坊もひとつ残さず
完食して、みんなから
褒められていた。
🥹🌸

五日の京の旅で、
美濃吉↘熊彦↘らんざん……
と、日に日に
レベルが下りっぱなしだった処、
初めての店で、見事に、
逆転満塁ホームランに出くわした。

さすがに、創業百年の老舗は
伊達ではなかった。

サービスも洗練されており、
女将も如才なく、
次回の上洛時には、
真っ先に再訪したいものである。

⭐⭐⭐

 

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爺じい旅 8 ― 『熊彦』再訪の巻―

2025-03-24 16:29:33 | 懐石

三日目の昼は、
桂川河畔にある
懐石の名店『熊彦』を
昨年の霜月来の再訪である。

予約なしの飛び込みだったが、
平日の正午とあって空いており、
川沿いの上席ではなく
裏庭に面した席だった。

ま、眺めを喰むわけでもなし…。
😅

外の景色に季節感がないだけに、
煮物椀や八寸に描かれた
春の風情が愉しめた。

先付けは、
生湯葉、胡麻豆腐。

初日の美濃吉に続いての
精進物である。

身を潔斎してから、
生物を頂くようになる。

 

煮物椀は、
海老真蒸の碓氷仕立て。

丸大根の桂剝きが
半透明の薄氷を表している。

春先なので、
往く冬の名残りの情趣である。

 

お造りは、
明石鯛に本鮪。

鯛は、やはり、
関西でおますなぁ…。😍🌸

直に開花する頃の
桜鯛である。

鳴門の渦潮に揉まれ、
伊勢海老を喰っているという
ゴージャスなやつである。🤣

かのフレンチの巨匠
ロブションは、
蛸嫌いだったが、
『次郎』でトライした時に
「Ça a le goût de langouste…」
(ロブスターの味がする)
と言ったと言う。

実際にその餌が
伊勢海老だったと言う。

八寸は目にも楽しい
懐石のお花畑である。

鱒の白味噌焼きは
家庭では真似しようのない
職人仕事の逸品であった。

鴨のロースも
フレンチのロティとは
異なる技法で、
血の風味がする
野趣に富んだ野禽の旨味を
引き出していた。

強肴は…
野菜の炊いたん。

若竹煮、穴子、丸大根、
海老芋などが、
二番出汁でほっこりと炊かれた
上品味の煮物だった。

〆は、
唐墨の振り掛け鯛飯。  

しみじみとした
深い味わいのご飯であった。

主菓子には、
わらび餅と
グレープフルーツのゼリー。

……

昼餐は、
夜の懐石の半額で
予約要らずだが、
器が全く違っており、
作家物なぞ一つもなく、
すべて量産の数物なので、
料理の見映えと格が
グンと堕ちている。

やはり、
きちんとしたものを頂くには、
晩餐のそれなりの懐石でないと
唸るような物には
お目にかかれないようだ。

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『爺じい旅 3』 ☆☆

2025-03-22 17:31:44 | 懐石
  1.  

京都に着いて、
早速、駅に隣接する
グランビア・ホテルの美濃吉にて
お昼懐石を頂いた。

去年の11月以来なので、
早春の筍尽くしである。

先付けは、
胡麻豆腐に筍の木の芽和え。

食前酒には、
淡路の辛口本醸造が供された。

 

椀物は、
鯛あられ揚げ、揚げ麩、
白味噌仕立て。

さすがに、京のはんなり味やった。
(京都弁モードに自動オン😅)

 

お造りは、
シマアジ、タイ、
カツオ、アオリイカを
藻塩と生醤油で…。

京都は内陸だが、
懐石のお造りの質は
流石のものである。

若い美人のお運びさんが
ビールをお酌してくれたのはいいが、
お造りを説明するのに、
「左のやつが…」
「や、やつぅ…⁉️」😳💔
と、驚くと
ハッとして…
拝み手をして…🙏
「す、すみません…ン〜」
と赤面恐縮していた。🤣💦

見れば、まだ、たどたどしい
新人さんやったわ。

強肴は、
山菜の天麩羅に
牛ヘレのロースト。

フキノトウの仄かな苦味が
春の味らしく、
しかも、健胃作用がありそうだった。

 

小鉢には、
若竹煮に木の芽。

蓋を開けるや
山椒の香りがフワリと
立ち上がって
鼻腔をくすぐった。

 

〆は、筍ごはん。
若竹が甘く、
香りが上品至極。

 

主菓子は
わらび餅、黒蜜、餡。

お運びさんたちの
生粋の京都弁は耳に優しく、
丁寧なオ・モ・テ・ナ・シは、
さすがに心地よく過ごすことが出来た。

幸先の良い
京の旅の
皮切りであった。

🤩✨👍

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コガネムシは金持ちだぁ~♪

2024-12-08 07:00:47 | 懐石

吾妻の山々も
雪化粧をし、
すっかり冬めいてきた。

巷では、
コロナ、インフル、マイコの
“トリプルデミック”が
流行っており、
身内の者も罹って
難儀をしたという。

*

きのうは、
叔母・叔父さんたちと
常連の三星懐石での
会食会だった。

叔母二人とは
幼い頃、同居していた
気心の通う間柄なので、
二時間のあいだ
笑いっぱなしだった。

特に、八十になったばかりの
タカちゃんは、
ピン芸人顔負けのオシャベリなので、
ハラが捩れるほどに
笑わされた。

常連店の座敷ならではの
無礼講だったから、
哄笑でもって
愉快な叔母の笑劇場を満喫できた。





先付けは、
揚げ胡麻豆腐。

お喋りの叔母さんが
いきなり山葵でむせて
ヒヤリとしたが、
気だけは若いので
「婆さん。あるあるだねぇ…」
と、自虐ネタで
笑わせてくれた。

スーパーでも
胡麻豆腐は買えるものだが、
それを片栗粉をつけて
「揚げ出汁豆腐」にする
という発想はなかなか
家庭では浮かばないが、
今度、やってみようと思った。





八寸は、
焼き白子、烏賊の黄身焼き、
海老の含め煮、生麩田楽、
干柿の天麩羅。

先月のフレンチ同様、
鱈の白子に
まったく臭みがないので、
それなりの下拵えが
施されているのだろう。

烏賊はお造りでも出された
身のぶ厚い樽烏賊で
モッチリと噛み応えがあった。

先日の京都での
『美濃吉』『熊彦』『錦水亭』の
八寸にも引けを取らぬものであった。





煮物椀は、
錦真蒸、紅葉麩、
黄柚子・・・の牛乳仕立て。

最高の一番出汁に
わずかに牛乳が加わって
モダン且つ華やいだ
吸い地であった。





お造りは、
縞鯵、樽烏賊、紅葉鯛、鮪。

シマアジは、
透明な身に
銀皮の跡が残り
美しく見栄えも佳かった。





蒸し物は、
鮟肝、生麩、トリュフの
餡かけ茶碗蒸し。

蛸唐草の碗蓋を取ると
ふわりとトリュフの艶冶な香りが
立ち昇った。

まったりした味わいの鮟肝は
恰もフォアグラのような食感だった。

翡翠のような銀杏も
碗の底に潜んでいた。





焼き物は、
寒ブリに寒大根の
バルサミコ仕立て。

鰤ダイコンは
鉄板の取り合わせである。

バルサミコもモダンな
風味である。




〆は、
香り豊かな
切干大根のご飯。

叔母曰く
「ちょっとずつ、
ゆっくり食べると
おなか一杯になるねぇ・・・」

まさに、同感。





主菓子は、
紫芋と手亡(白隠元豆)の羊羹。

穏やかな甘味に癒され、
そこに、お薄を喫すると
法悦の心地よさに
陶然となった。

**

今回は、
年長叔母の
ご馳走振舞いだったので、
「ゴチになりやす!!」だった。

持つべきものは、
ケチでない“小金持ち”の
叔母さんたちである(笑)。

「2000万の通帳が
どっかいっちゃった・・・」
だの、
「手元にいつでも使える200万、
現金で隠してある・・・」
だの言うので、
「死んだら、家(や)探ししよーッ!!」
と、年少叔母と大笑いになった。

 

 

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京都入り「初日」

2024-11-30 07:22:20 | 懐石

きのうは、
カミさんに送ってもらい
駅に着いたら、
通勤の人たちは皆
コートにジャンパー姿だった。

自分だけジャケパン・スタイルで
寒々としたかっこで
馬鹿みたいに見えた。

そっか、季節は冬だったんだぁ…と、
馬鹿みたいに、人々の防寒スタイルで
気がついた。

幸い、新幹線に乗ったら
暖房でポカポカだったので助かったが、
カラダが芯まで冷えて
風邪ぇ引かなきゃいいんだけど…
と懸念された。

🤧💦
(夜から頭痛になった)

東京まで93分。
京都まで131分。
およそ3,5時間で行けるようになり、
新幹線もスピードアップしている。

ただ350キロの猛スピードだと、
地形のアップ・ダウンや
カーブのバンクで減速・加速すると
落下するような重力加速度を
感じる箇所が数カ所ある。

京都には11時半に着いたので

隣接するホテル・グランヴィア内の
『美濃吉』で昼懐石をした。

自家製の胡麻豆腐の揚げ出汁は、深味のある餡と共に美味しく頂いた。

 

京都は白味噌。はんなり、こっくりした煮物椀。

 

明石の鯛は、関西ならではである。

 

海老芋と蕪の炊合せ。

 

サワラの焼き物とマイタケ、三度豆の天麩羅。パウダー状の雪塩が供された。

 

ご飯には、ちりめんじゃこが…。

 

〆の甘味は、胡麻風味の白玉善哉。

 


京阪→叡山電鉄で
八瀬比叡山口の瑠璃光院まで
脚を伸ばした。

 

早々と、クリスマスツリーが

飾られていた。

 

文知摺觀音でも見た
床もみじの本場の京都版がある。

在京中にはなかった名所で
かつての料亭を大阪のお寺さんが
買い上げて、観光寺院に仕立てたと
タクシーの運転手さんから伺った。

北野白梅町からは
嵐電に乗って、嵐山まで赴いた。

ペンションでひとっ風呂浴びてから
30年前の在京中に行った
『熊彦』で夕懐石を頂いた。

夜の渡月橋も風情があった。

 

平日の夕餉だったので、
さすかの老舗も
広間には中国人アベックと
自分一人のみだった。

(この二人は
クチャクチャ食べ音が激しく、
文化の違いとはいえ、
品がないなぁ…と、
ゲンナリした)

女将さんが挨拶に来られたので、
30年前に『玉締め炮烙膳』を
頂いたことを話したら、
なつかしがって下さり
「まだ、うちが娘の頃どした」
と、生粋の京都弁で言うので、
【東(あづま)男に京女】
の格言を思い出し、出来るだけ
ハキハキした東言葉で応じた。

かつて、京都出身の女の先生に
「センセの話しぶりは
男らしおますなぁ…」
と言われた事がある。

そしたら、
『男はつらいよ』の中でも
寅さんの話しぶりに
京都の芸妓たちが
「おたくはんの話し言葉は
惚れ惚れしまんなぁ~」
と、うっとりするシーンがあった。

そんな不思議な相性が、
両者にはあるのやもしれぬ

 

豪華な前菜。

 

海老真丈の煮物椀。

 

サワラの焼き物。古備前風のお皿が見事だった。

 

炊合せは、美濃吉と同じ、蕪と海老芋。

 

酢の物は、鯖の砧巻き。龍紋の黒楽平碗が見事なものだった。

 

茸ご飯。奨め上手の中居さんが「お代わりをどうぞ」と言うので、頂いた。

 

〆は、紅葉狩りを彷彿させるグレープフルーツのゼリー。

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