旅の最終日。
リク坊一家もペンションに一泊し、
お昼は、宇治に出向いて
川沿いの老舗料亭で
懐石弁当を頂いた。
お子様用も廉価でありながら、
透かし彫りの木製『松華堂』で
内容もお子様ランチとは
雲泥の差の本格京懐石であった。
…
先付けは、
鯵の南蛮漬け。
揚げ鯵を三杯酢で浸した
爽やかな酸味に
旨味がくっきりとしていた。
つづいて、八寸の倍もある
市松模様の陶器大皿に
茄子の炊いたん、
海老含め煮、揚げ麩、
出汁巻き玉子、鴨ロース…
お造りが、桜鯛、本鮪、紋甲烏賊…
物相飯には、てん茶が振ってある。
お椀は、
わか竹煮。
茶懐石で用いられる
青海千鳥の千筋椀には
目を見張った。
茶碗蒸しは
ゆるゆるの食感で、
飲めそうなほどだった。
極上の出汁の旨味に
百合根も銀杏も入った
真っ当な茶碗蒸しであった。
揚げ物は、
あられ揚げで、
海老の甘さが引き出され
パリリという食感も
まことに愉しげであった。
フキノトウは
仄かな春の苦味があり、
河畔の桜を観ながら
春爛漫の気分を満喫した。
〆の主菓子は
栗入り抹茶レアチーズケーキ
という手の込んだ美味に
奥方たちはご満悦だった。
どれもこれも
美味しかったので、
リク坊もひとつ残さず
完食して、みんなから
褒められていた。
🥹🌸
五日の京の旅で、
美濃吉↘熊彦↘らんざん……
と、日に日に
レベルが下りっぱなしだった処、
初めての店で、見事に、
逆転満塁ホームランに出くわした。
さすがに、創業百年の老舗は
伊達ではなかった。
サービスも洗練されており、
女将も如才なく、
次回の上洛時には、
真っ先に再訪したいものである。
⭐⭐⭐