『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

『街とその不確かな壁』

2023-04-17 09:32:35 | 

 

毎朝のルーティンである
体重チェックをして、
驚いた。

金曜日から
なんと2㎏も体重が
増えていた(笑)。

思い当たることは・・・
金曜の給食で
カレーライスをがっつりやり、
この日は連絡ボックスに入ってた
様々なお菓子を平らげた。

なので、
夕飯は抜くことにして、
代わりに、燻製茹で卵2ケと
コロッケ1ケで済ませた。

土日と、
村上春樹の新刊本を
日がな一日、外出もせず
ベッドに横になって
読みふけっていた。

その際、僻地校の麓にある
『とんやの里』で買ってきた
「クルミ柚餅子」やら
「歌舞伎揚げ」やら
「バウムクーヘン」なぞを
ブランチと三時にやって、
喰っちゃあ寝していた(笑)。

夕飯も普通に食べてたら、
今朝、いきなりの
2㎏増で魂消てしまった(笑)。

まったく動かずに
横んなって飲み食いしながら
読書してると、
こんなにもカラダに
食べ物が溜まってしまうんだ(笑)。

とっさに、
また、眼底出血するのでは・・・と、
警戒アラームと
赤信号が点滅するのを感じた。

なので、今日のベントは
ご飯抜きの「野菜」のみ
にするつもりである。

カミさんが
タイマーセットしといてくれてた
ご飯は、夕飯にまわし、
夕飯も自分は
「ご飯抜き」にしようと思う。

『16時間ダイエット』なる
“朝食抜き”を2ケ月近く
続けてきたが、自分には
ちぃーとも効果がなかった。

やっぱ、やや不健康ながらも、
「炭水化物ダイエット」の方が
効果がありそうだ。

とにかく、
A1C=6.2で
尿酸値もクレアチニン値も、
ほとんどが境界値で
寸止まりしてるので、
今がまさに踵を返さねば、
「糖尿だよ、オッカサン」
になる(笑)。

一度だけ、痛風の痛みもあり、
CKD(慢性腎臓病)も中等度を超した。

眼底出血は完治するも、
時折、ピカピカ光りが見える
『光視症』のまんまなので、
網膜剥離が起こる危惧もある。

顎関節症痛は、
そのためのアラームだったのに、
あいかわらず、
口卑しく、食べるものに固執している。

役目柄、
OBコンサートの打ち上げやら、
元ギター部マドンナたちとの
恒例の食事会なぞの
世話役もやらねばである。

喰わずば生きていけない
生き物の定めだが、
喰い方を考えないと
寿命を縮める厄介な
成人病となってしまう。

*

650頁もの
長編を金曜の夜から
月曜の今朝にかけて、
やっと読了した。

土日と、外出したいと
思わせぬほどに
物語世界に没入できた。

その間、BGMとして、ずっと
パウル・ヴラニツキーの
『弦楽三重奏曲』を
リピートして聞いていた。

これが、読書の邪魔にならず、
しかも、物語世界のシーンに
効果的な色彩を添えてくれた。

ヴラニツキーは、
モラヴィア出身の作曲家で、
20歳の時にウィーンに移住し、
ハイドンやモーツァルトとも交流があり、
ウィーン楽壇においては、
名のある作曲家となった。

皇帝フランツ2世の妻
マリア・テレジアのお気に入りとなり、
彼女からしばしば宮廷の祝典音楽や、
舞台作品の作曲を依頼されている。

*

『街とその不確かな壁』の
第二部は、なんと、
会津若松からローカル線に乗った
山間の地区、というのが
舞台になっている。

とすれば、
只見線しかないので、
おそらくは、
新潟との県境にある
『大白川』か『入広瀬』辺りが
想定されていそうである。

どちらも、訪ねたことはないが、
まさに、山深い内陸部である。

*

一読感は、
まさに、ハルキ・ワールド的な
ファンタジーだなぁ・・・
というものだった。

深層心理学の「影」や
「自我境界」「ペルソナ(外的人格)」
「魂」「自己実現」・・・
といった要素と、
量子力学的な
「パラレルワールド」「重ね合わせ」
「エンタングルメント(量子もつれ)」
「量子トンネル」「無時間性」
といった要素とが、
巧みな筆致でファンタジー化されている。

 

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読書三昧

2023-04-16 07:47:46 | 

Amazonに大量に
発注した書籍類が、
毎日のように届き、
楽しみながら読んでいる。

最近は、
ほとんどテレビや映画を
見なくなり、
その興味もなくなってきた。

次から次と製作される
バラエティーや
ドラマやら映画やら
軽薄短小な内容ばかりで
辟易させられ、とうとう
愛想をつかしたのかもしれない。

やはり、人生の最後は
【温故知新】で
古典に回帰するのかもれしない。

*

漫画の聖地と言われる
『トキワ壮』時代の
上田トシコの
『フイチンさん』を
はじめて読んでみた。

赤塚不二夫や「ちばてつや」ほか
著名な漫画家たちの多くが過ごした
満州で上田も育ち、
子どもの頃は中国語と日本語を
チャンポンで使っていたという。

なので、
姑娘(クーニャン)の主人公
フイチンさんも
吹き出しではそのような
チャンポン語で話す。

どこか昭和初期の
『サザエさん』のような雰囲気があるが、
舞台が満州時代の中国なので、
異国情緒がある。

奇しくも、
80年代末期に
中国に修学旅行の引率で
蘇州・常州などを訪れた折、
経済成長以前の貧しく
古めかしい中国に驚いた時の
印象に近い背景描写である。

*

この作品へのオマージュとして
村上もとかは
『フイチンさん再見』
という上田トシコの伝記作品を
創作している。

*

大島やすいちの
『剣客商売』の新刊も届いた。

池波正太郎の原作により、
確固たる世界観が構築されており、
読者は、タイムスリップして
江戸時代の剣劇活劇を
覗きみるようなパラレルワールド感を
味わう楽しみがある。

小説・映画とは違った
物語世界を味わえるのは
劇画という表現媒体ならではである。

*

自称“ハルキスト”ではない、
と言いながらも、
その全作品を読んできた。

その新刊は
『騎士団長殺し』以来の長編で、
昨日、投函されてから
すぐさま頁を繰り始めた。

660頁もの分厚さだが、
半日で100頁ほどまで読んだ。

いつに変わらぬ
「ハルキ・ワールド」だが、
今回は、「影」や「夢」「壁」
といった深層心理学的な
キーワードを巡って描かれているので、
読後、興味が湧けば、
その象徴性について、
また、分析してみたいとも思った。

70過ぎの爺様が
16歳の少女と17歳の少年の
初恋を描きながらも、
そこに人間の持つ
存在の深み・重みと
世界の本質・実相を
描こうと試みているように
読み出しの部分からは感じられた。

 

 

 

 

 

 

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『かがみの孤城』

2022-10-02 06:45:00 | 

茶懐石用の
会津塗りの四つ椀を、
だいぶ以前にヤフオクで
落札して、日常的にも
夕餉の膳として用いている。

本来、飯椀と蓋、
汁椀と蓋、の組み合わせだが、
それぞれの蓋を
小椀としても使用でき、
四つを一つに兼ねて
収納も出来るようになっている。

 

ごく侘びた、簡素化した
茶懐石では、これらの蓋をも
活用して、向付と香の物用として
用いられることがあり、
我が家の夕餉でも
時折、そのスタイルの素食を
供している。

*

 

"ぼっちフレンチ"用にこしらえた
ムース類も、備前に盛ると
また違った趣きに見える。

徳利とぐい呑みは
趣味として30年来蒐集してるので、
専用の酒器棚から
どの組み合わせにするか
楽しみながら選んでいる。

*

 

 

中学生とのカウンセリングで、
本屋大賞にもなり
今年の冬休みに劇場アニメになるという
『かがみの孤城』の話がでたので、
『本屋大賞』物は
漏れなく買って読んでいるカミさんに
「うちにある?」
と尋ねたら、その年(2018)だけ、
タイトルと内容を見てスルーしたという。

「なんだ・・・」
と、ちっとガッカリしてたら、
一昨日、買ってきたらしく、
たたんだ洗濯物の上に
ポンと置かれてた。

けっこう分厚くて
600頁ちかくあったが、
手に取ってみると、
ライトノベル風でスイスイ読み進み、
半日で読めてしまった。

「不登校/いじめ/闘い/
異界物/通過儀礼/
死と再生/仲間との絆」
というのがキーワードで、
ドラマなどでも
学校物は商売柄、見たくない、
と言ってたカミサンの心理が
よく解かるような気もした。

初めて読むこの作者は、
直木賞受賞作家だけあり、
ストーリーテリングが巧みで、
終盤のクライマックス部分では、
文章間に効果的なブランクを用いて
ライトノベル風な視覚的効果も
仕掛けられていた。

たしかに、
不登校やHSC(繊細さん)の
知的なJCが好みそうな作品で、
アニメ化すれば
そこそこの話題にはなりそうである。

 

 

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クロスセクションの面白さ

2022-09-28 06:59:13 | 

 

きのうの勤務も
けっこう多忙を極めて、
帰ってから入浴、夕食を済ませ、
マッサージ機で凝りをほぐしてたら、
激しい眠気におそわれて
8時半くらいに寝落ちしてしまった(笑)。

どうも、勤務日とオフ日との
オン・オフが激しくて、
加えて、季節の変わり目なので
カラダが自律神経を調整するのに
エネルギーを要しているようである。

PCの調子がわるく、
ルーティンのブログ書きにも
支障を来しているので、
買い替えを検討しているが、
その前に、いちど、
「初期化」をしてみたら、
メール以外はサクサクと
機能回復してくれた。

それでも、
時折、ファンがブンブンうなるので、
どうも、ハード的な問題が
あるような気がする。

2009年のWindows7の時に
買い替えて来、
「10」までヴァージョン・アップして
自分でSSD換装やら
CPU交換、メモリー増設、
グラボ増設をして
カスタマイズしてきたが、
なにせマザーボードが
古いまんまなので
「Windows11」にはアップできないでいる。

今日から「私的五連休」なので、
『PC工房』で安価な新製品を
探してみようと思っている。

*

古楽器工房の室内整理を進めているが、
ボール盤を乗せている木製椅子に
キャスターを付けて、
移動しやすいようにした。

この椅子は、
中一の時の図工の授業で
製作したのもので、
50年以上も経って、
さすがにガタがきてるので、
金具で補強もした。

*

昨晩は、
楽器製作で用いる
ライニングというパーツが
注文先から届いた。

この私的五連休中にも
製作を進めていきたいと思っている。

*

 

市立図書館から
『コンチキ号漂流記』を
借りてきたついでに、
旧版の『クロスセクション』と
新刊のものを借りてきた。

この『断面図シリーズ』が好きで、
同じものを既に幾度も借りている。

自分ちには
『ヨーロッパの古城』がある。

今回の新刊では、
見開きで、
ビッグバンから現代まで・・・
という驚きのスケールの
変遷図があり、
これはなかなかの見物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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怪談『山小屋の一夜』

2022-08-14 09:48:05 | 

 これは私の兄が、大学の山岳部で実際に体験した話だそうです。
 

 ある年の冬山登山で、4人のパーティーが下山途中に猛吹雪に遭い、危うく遭難しかかりました。
 1年生だった兄は心中
(ヤバイかも・・・)
 と思ったそうです。
 視界が1メートルもないほどの吹雪に遭い、あたりが白一色になるとホワイト・アウトといって、
自分がどこにいるのかわからなくなる方向喪失感や恐怖感に襲われるそうです。
 

 4年生の部長でリーダーのMさんは、さすがにベテランらしく、そのあたりを心得ていたので、
まだ1年生だった兄を声で励まし、パニクらないようにしてくれた、といいます。
 一行は進退窮まったその地点で雪洞を堀って数時間を凌ぎました。
 

 しばらくすると、吹雪の中に日の光が薄っすら射してきて稜線が見えてきたので、リーダーは雪洞から出て前進する決断をしたんです。
 4人は腰紐で互いに連結しながら一歩一歩と吹雪のなかを進みました。
 視界はあいかわらず悪く、ひとつ間違えば全員が稜線から滑落して命を落としかねません。
 すべては先頭を歩くリーダーのMさんに託されていました。
 

 兄は、なんとか日没まで下山しないと4人とも凍死する・・・と、祈るような気持ちで歩いた、といいます。
 どれぐらい経ってからか、先頭のMさんが
「おい、もう大丈夫だ・・・」
 と、無精ヒゲを真っ白に凍らせた顔を振り向いて微笑みました。
 兄がMさんの指さす方を見ると長兵衛小屋という小さな非難小屋が吹雪のなかにボンヤリと見えたのです。
(助かった・・・)
 と兄は安堵したそうです。
 

 4人はやっとの思いで非難小屋に入りました。
 その後も、吹雪はやむ気配がなく、荒れ狂う風で小屋がミシミシ揺れたそうです。
 Mさんが、
「今夜は、ここで夜明かしするほかないな・・・」
 と一同に告げました。
 日没の闇が迫っていたのです。
 日帰り登山の計画でしたが、天候の急変で山で一泊することになったのです。
 でも、マイナス20度ほどの屋外での野営ではなく、山小屋だったのが幸いでした。
 命拾いした・・・と、素直に兄は思ったそうです。
 

      

 

 長兵衛小屋は広さが八畳ほどの真四角の板張りでした。
 もともと日帰り計画だったので暖を取るものは何一つなく、灯かりさえともすことが出来ずに次第に外は闇につつまれていきました。
 小屋にたどり着いてからずっと4人は固まってモゾモゾとうごめきながら互いの体温で暖めあって何とか寒さを凌ぎました。
 室内でもマイナス10度ほどはあるのでうっかり静止したままでいると凍傷になりかねません。
 そうなると、その部分が真っ黒に壊死して落ちてしまいます。
 

 リーダーが腕時計を見ると9時を過ぎていました。

 普段なら、まだまだ宵の口でしたが疲れと緊張のピークを越えた4人には睡魔が襲ってきやすいことをMさんは経験で知っていました。
 万が一、4人とも固まったままで寝てしまったら全員が凍死する危険性もあるとMさんは判断しました。
 そこで、みんなにこう提案したのです。
「ひとつ、いい方法を思いついたんで聞いてくれるか?」
 

 兄は懸命に眠気と闘っていた時、その声でハッと我に返ったといいます。
 リーダーは冷静な声で続けました。
「このまま4人とも固まって寝てしまったら危ないと思うんだ。
 だから、4人とも、部屋の四隅に散らばって、
俺から順番に次のやつを起こすから、起こされたやつは、次の角へ行ってそいつを起こすんだ」
 

 兄は疲労と寒さと空腹でなかばボンヤリしながらリーダーの不思議な指示を聞いたそうです。
「そうして一晩中ぐるぐる回っていれば、起こされるまでは、ほんの少し眠れるし、何度も立って歩くから凍死せずにすむだろう・・・」
 一同はリーダーの妙案に感心しました。
 3年のSさんが
「さすが、リーダー」
 と茶化すと、一同はやっと笑い合いました。

 そして、鼻をつままれても分からないほど真っ暗闇の小屋のそれぞれ四方に四人は這いずるように散らばりました。
 それから、リーダーを皮切りにそれぞれが闇の中を手さぐりで壁伝いに数歩進みながら、一晩中グルグルぐるぐると生きるための「サークル・ゲーム」をはじめました。
 

 兄は真っ暗な角っこに体育座りでウトウトしているとSさんが来て肩をポンポンと叩いて起こしてくれました。
 そして、今度は自分がMさんのいる角を目がけて闇の中を手さぐりで壁伝いに行きました。
 その「サークル・ゲーム」は奇跡的に一晩中続いたそうです。
 リーダーは7時を過ぎた頃に雪に深く閉ざされた木戸をほんの少しだけ開けてみると目がくらむほどの直線の光の束がほの暗い小屋のなかにガツンと射しました。

「オーイッ!
 やんでるぞ! 

 吹雪がやんだぞーッ!」

 とMさんはほとんど絶叫したそうです。

 死んだ魚のような目をした三人も、その声でまた生気を取り戻しました。
 一同は、慌ててしたくをすると小屋を離れ、真っ青に晴れ渡る空の下、ビカビカに反射する雪面に抗してサングラスをかけながら腰紐もなしに容易に下山しました。
 

 スマホもケータイもなかった1970年代のことで、遭難先から連絡の入れようがなかった一行は、ふもとに降りるや否や、登山事務所にまっすぐ向かって全員無事に下山できたことを報告しました。
 昨晩は、天候の回復後、消防団や青年団が山に出向く打ち合わせをした、という話も聞きました。
 やれやれ・・・と、その場の山岳関係者一同は安堵の笑いにつつまれて、兄たちは駅から家路につきました。

 電車のなかで、駅弁をむさぼるように食べ終えた一行に、ホッとして、ふたたび心地よい眠気が訪れようとしていた時でした。
 2年生のKさんが突然、寝入ろうとしていた三人に向かって
「エーッ!・・・」
 と悲鳴のような声をあげたんです。
 

 何事かと、兄はビクッとしてKさんの青ざめた顔を見たそうです。
 Kさんはリーダーの顔を見ながら
「おかしくないですか?
 ねっ、先輩・・・。
 おかしいですよ・・・。
 おかしいよぉ~。
 ぜったい・・・」
 と言葉を振るわせたそうです。
 

 一同はひとりでビビッているKさんが何に怯えているのか、かいもく見当がつきませんでした。
「どうしたの? 加藤・・・」
 Sさんが訝しげに尋ねました。
「何が、おかしいんだ?」
 リーダーがたまりかねた様子で口を挟みました。
 

 Kさんは震えながら息を呑み・・・。
「だって、いいですか・・・。
 ゆうべ、あの小屋には僕たち四人しかいなかったんですよ」
「そうだな・・・」
「それが変なんですよ・・・」
「どこがだ?」
「だって、考えてみて下さい」
 

 そう言うと、Kさんは食べ終えたばかりの弁当箱をひっくり返して、底の四つ角のひとつを指さしました。
「ここに、僕がいるとしますね。
 そして、次の角がSさんで、その次の角がY(兄)でしょ、で、次がMさん・・・」
 一同は、ポカンとして震えるKさんの説明を聞いていました。

「まだ、わからないんですか?」
 Kさんは、この先、ひと言も言いたくないというような口ぶりで切り出しました。
「真っ暗闇だったから、気づかなかったんですよ・・・」
「何を?」
 

 Kさんは意を決したように泣き顔で言ったそうです。
「まず、リーダーが壁を手探りで伝わってきて僕の肩を叩くでしょ。
 すると、僕が目を覚まして、次の角まで行って
Sさんを起こします・・・」
「うん」
「するとSさんは、Yのいる角に行って彼を起こします・・・」
「だな・・・」
 

 そこで、兄は凍てついたそうです。
 Kさんは兄の固まった表情を見て取って
「だろ?・・・」
 と言いました。
「なんで、一晩もサークル・ゲームが続くんだよ~・・・」

 

 

*

 

   

 

 

 

 

 

 

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