きのうの王将戦の初日には、
波乱があった。
43手目まで
後手の羽生「永世七冠」が押して
ソーちゃんが「やや不利」になったが、
そこで、2時間もの長考によって、
奇抜な「勝負手」を放った。
ネットのコメント欄には、
対局開始の直前に、
お茶をこぼしたのが、
不吉な前兆じゃなかったか・・・
というファンの声も多かったが(笑)、
その勝負手が放たれて、
みんな固唾をのんだ。
YouTubeで
中村 太地七段が、
「藤井五冠を分析して判った事・・・」
として、《関門》設定という
キーワードを挙げていた。
すなわち、
相手に選択を誤ると
「負け」になる手を
多く繰り出しているという。
きのうの一戦でも
44手目で早々と
その超難解な《関門》が
優位に立つ「永世七冠」に対して
放たれた。
AIの数億手の読み筋では、
唯一「3七歩」のみが
「勝ち筋」だったが、
解説者の話では
それは人間的には
あまりにも怖い手で、
尚且つ、膨大な読みが
必要になる・・・との事だった。
五冠が2時間長考して放った
奇手に対して、
同じく2時間もの長考をしたが、
結局、永世七冠は
最善手を指せなかった。
自身の座右の銘でもある
【勝利の女神は勇者に微笑む】
どおりであったら、
針の孔を通すような勝機が
掴めていただろう・・・という
解説者の嘆息が漏れた。
それほどに、
大天才「五冠」が
捻りだした《関門》は
「奇手」であり
不利な時の「勝負手」であった。
俗には、
「ソータの毒饅頭」
「藤井マジック」
「罠」
とも喩えられるが、
これが、その魅力の一つでもある。
もっとも、
タイトル99期獲得で
前人未踏の「永世七冠」が
このまま易々と押し切られるとも
考えられないが、
しかし、相手は
「400年にひとりの超天才」
と棋界が称賛する大棋士でもある。
将棋というゲームは
最善手を逃すと、
次第に、悪い方へ悪い方へと
流れるゲームに見え、
反対に相手側には
良い手がたくさん生じるようである。
「運命の女神」に見放される、
という表現があたかも
その通りのような展開になるものである。
それ故に、
「勇気を持って踏み込む」
という、将棋独特の
表現がしばしば用いられ、
先日の対トヨピー戦でも
「死中に活を求めた」
ソーちゃんに対し、
絶対有利の相手側が
信じられない凡ミスをやらかして
勝機が転がり込んできた。
石田のトッツァンの言うように、
「こうなると、
藤井さんは、絶対に逃さないし、
間違わない・・・」
ので、今日の「先手番」も
勝つことは間違いないだろう。
*
きのうは
前夜から、
(あしたは、『くら島』で
かつ丼でも喰ってくるべぇか・・・)
と、寝床で考えていたので(笑)、
さっそく、開店時を狙って
赴いてみた。
以前は、
最上の『前田ポークのかつ丼』
(2300円)をやったので、
今回は、「並」にした。
それでも、
とんかつ専門店なので
1.300円もする。
半分、遊び気分で、
詳細な食レポをするつもりで、
よっくと味わい、
分析、言語化してみようと
考えながら食した。
それは、ブロガーとしての
訓練にもなり、感覚・直感を
言語化して相手に伝える
臨床家としても有用な
トレーニングにもなる。
すでに4組ほど先客がいたが、
注文して、10分以内に
運ばれてきたのは
「快速」であった。
お運びの女性陣ふたりも
そつがない。
味噌汁・お新香・小鉢の
「見栄え」もよし。
ソーちゃんの
「初手お茶」に見習って(笑)、
いきなり、丼にはガッツかず、
まずは、味噌汁を一口ジルル。
まあまあのアッサリ出汁加減。
ほんでもって、
かつ丼の端っこで
イジケテるような(笑)、
整列からはみ出た
端っこから口中へ。
「並」は80gのロースだが、
端っこには脂の含有量が
多かったようで、
その甘味と香りが広がった。
でも、やや、味のインパクトは
弱めである。
よく言や、上品。
換言すれば、コク不足。
かつ丼は、もちっと、
その名の通り
「ドンッ!」とした
攻め感・重量感・押し感が
ほしーよなー・・・と、
思わないでもなかった。
ご飯は、よく炊けており、
粒が立っていた。
時折、悲惨な店では、
ベッショリしてたり、
団子飯になってる
不幸な目に遭うこともある(笑)。
ツユは丼底まで
潤びてはいるが、
かと言って、汁飯にはなっていない、
ほどよい潤び加減である。
玉子のとじ加減も佳し。
玉ねぎの煮え具合も佳い。
お新香の胡瓜に
強めの糠の香りがしたが、
それも、また佳しではあった。
小鉢の
人参・大根・油揚げの
あっさり煮物は
かなり佳かった。
お新香ともども、
いい箸休めになってくれた。
【丼物はワッシワッシ掻っ込む】
というのを
信条としているので、
クロールの息吸いみたいにしながら、
果敢に黙食にいそしむ。
つねづね、食卓では、
カミさんに「速喰い」を
戒められているが、
食事にはリズムというのがある。
出来立てのかつ丼を前に
おちょぼ口で、
しずしずとなんて
やってられない、
ってなもんである。
食分析に重要な点として、
完食後の「満足度」と
「リピータブルか」
というのがある。
お椀類が、
「椀」でも「碗」でもなく、
プラッぽかったのは、
老舗としては、
いささか残念であった。
全体的に
味が「おとなし目」で、
かつ丼のワイルドさ、
インパクトが薄いもので、
もっかい食べたいとは
ならなかった。
1300円の値段も考えると、
やや、ローコスパの
60点くらいかなぁ・・・。
*
Amazonから
『あたりまえの贅沢』の
新刊が届いたので、
将棋の長考時間に
楽しんでいた。
新刊書が届くたびに、
その書香を嗅ぐのが
習慣になっており、
真ん中あたりをバッと開いて
鼻をつけてクンクンやる(笑)。
そーすると、
刷りたてのインクの仄かな香りが
プンとして陶然となる(笑)。
ボンビーな“昭和人間”の
物のなかった頃の
楽しみ方の残渣なのかもしれない。
「手仕事」を大事にしている
という作者の言葉に
古楽器創りを日常にしている身として、
(そーだよなー・・・)
と、共感させられた。
作者の描く食べ物は
どこかハートウォーミングで
美しく、滋味がある。
*
今月、二本目の
ルネッサンスギターが完成した。
試奏してみたら、
まずまずの音質と鳴りに
仕上がっていた。
ただ、製作精度が低く、
「売り」に出すとしたら
「スチューデント・タイプ」の
「アウトレット品」として
いいとこ3万くらいかもしれない。
失敗した箇所が
今後、修正できれば、
3倍の10万弱でも
出せるのだが・・・。
どうも、まだまだ、
技量が未熟で、
死ぬまで修行である。