写真は焼豆腐と、乳酸発酵させた漬け物の残り汁でといた付けだれ
建水の町のあちらこちらにあるメガネ井戸。住民はひものついたバケツを投げ入れて器用に水を引き上げる。
【ニガリいらずの魔法の水?】
水にも特徴がある。建水では「水売り店」が栄えるほど、地元の人は独特の水を誇りにしている。その水にも2種類あり、井戸によっては、不思議なことに、普通はニガリを加えて豆乳を豆腐へと固めるのだが、ここらの水は、その水のもつマグネシウムなどの成分だけで固まってしまうものもあるのである。石屏も同様だ。日本と違って「硬水」が当たり前の大陸、その中で豆腐を作るのに適した成分が水に含まれていて、人工的なニガリよりも雑味がないどころか丸みがあり、しかも安いとなれば栄えない方が不思議なくらいであろう。
【西門豆腐店】
そこで建水で有名な焼豆腐となる「臭豆腐」製造工場を訪ねることにした。建水県が臨安府と呼ばれていたころ、清代中後期から一貫して名を挙げ続ける工場が今も、最高品質のものを作り続けている、と聞いては居ても立ってもいられない。
場所が分からないので町で聞く。「それなら西門だ。」「西の周さんだよ。」皆、口を揃えて教えてくれるのだが、かつて町を囲っていた建水城の城郭の西の付近をいくら探しても見あたらない。それもそのはず、町は区画整理でアチコチを壊しまくり、西の工場も崩れた土壁の間の影にひっそりとたたずんでいた。 (西門豆腐の項、つづく)
*次号、この不思議な焼豆腐の製法が明らかに!