雲南、見たり聞いたり感じたり

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雲南の病院6

2012-08-05 10:16:09 | Weblog
写真は、雲南北部の「シャングリラ」より車で3時間ほど奥に入った街にて。(2004年撮影。)観光客が訪れる街には、あまりどぎついペンキ書きのスローガンは書かれていないが、貧しい農村地帯に入ると、とたんに、このような生活に密着したスローガンが目に付くようになる。

【男の子の多い世界】
 一人っ子政策といえば、雲南の貧しい農村地帯に行くと、ペンキでよく書かれているのが
「男女一様好」。
日本語でいうと
「男でも女でも同じぐらいいいですよ。」

 そう。やはり、一人だけ産むなら男の子、の風潮は厳然としてあるのです。

 実際、以前、取り上げた雲南に多い赤ちゃんの誘拐では、男の子が圧倒的に多い。家を継がせる、農村なら力仕事などの労働力としても最適、というわけです。

 正常な場合、男の子の方がちょびっと生まれる率が高くて、女の子の1.03~1.07倍なのだそうですが、2005年の中国全土を対象とした人口調査によると、男女の出生差は1.186倍に。
 80年代は1.085倍だったそうですが、明らかに異常事態です。跡取り意識の特に強い広東省では、男女の出生比は1.3倍になっています(2007年4月広東省人口と計画出産委員会発表より)。
彼らが結婚適齢期を迎えた20年後には男性の5人に少なくとも1人はカップルの相手がいないのです。

 これほどまでに深刻な男女差をもたらしてしまったのが、文明の利器。B超と呼ばれる「超音波エコー」なのです。女の子とわかると、早々に見切りをつける人がけっして少なくないのです。もちろん、一人娘を大切に育てているご家庭も多いですが。

 一人っ子政策が続く限り、また価値観が変わらない限り、「婦産科」医院が街に溢れる光景は、残念ながら変わりそうもありません。
(超音波エコーの普及による世界規模の悲劇的な結末については『女性のいない世界―性比不均衡がもたらす恐怖のシナリオ』マーラ・ヴィステンドール著、講談社、2012年6月)。かなり衝撃的な内容です。最近、性比不均衡の問題がインド、中国の問題として日本の各新聞にも取り上げられていました。)
                                       (つづく)
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