写真は昆明の郊外の小売店街にあるハチミツ専門店(2010年夏撮影)
【ブーゲンビリアの香り】
昆明のいわゆる高級住宅街近くの町を歩くと、牛乳スタンドや食料品店と並んだ小さな店舗街のなかに蜂蜜専門店を見かけることがよくありました。ボトルに詰められて白濁したハチミツが、清潔そうな棚に等間隔に大事そうに並び、その脇でひまそうに店員が座っていました。その店員の後ろの床には農場などからそのまま運ばれてきたような、プラスチックの大きな桶が置かれていて、そこからすくって瓶づめ(多くはプラスチック製)されているのだな、とわかるところもありました。
カルフールなどの大型スーパーにも雲南特産品コーナーには雲南のハチミツは置かれてはいましたが、私の見たかぎり、ロイヤルゼリーなどのミツバチ由来の貴重なものはハチミツ専門店ならでは、のようでした。
我が家では、ハチミツ専門店で菜の花蜜や百花蜜などを買っては朝食のパンに塗ったり、ヨーグルトにかけたりして雲南ではお気に入りの食材アイテムとしてかかせない存在となっていました。なんといっても適度にドロリと白濁し、冬にはカチコチに固まるところが私のお気に入りでした。
小さいころ、群馬の祖父母の家には、いつでも舌がしびれるほど甘くて、白く固まっていて、子供心に格が違うおいしさのハチミツがありました。そういうわけでスプーンでガリガリと削り取るように使うハチミツこそ高級でホンモノだ、と子供心に刷り込まれてしまったわけです。のちに聞くと、私の母方の祖母が群馬県水上市出身だったため、地元産のハチミツが常備されていたとのことでした。
実際には白く固まるから高級、といったことではなく、ブドウ糖の割合が多く(菜の花ハチミツや、珍しいところではウドの花蜜)、花粉など固まるための核が含まれている(不純物を厳密に取り除かない、つまり自家製に近いもの)、といった要素によるものなのだとか。(農林水産省消費者相談よりhttp://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/0802/04.html)水上のハチミツはズバリ、自家製に近くてブドウ糖の多い菜の花やウドの系統だったのでしょう。
さて、雲南のハチミツも、じっさいに山野草からのものと菜の花のものが多く、花粉なども含まれる素朴なものが多いのです。これについては次回より詳しく述べます。
ただ、不思議なことに雲南では毎日、違和感なく食べていたのに、日本だと、なかなか減らないこと。
考えるに、雲南独自の高原植物主体の花の蜜となるため、独特の風味があるのです。雲南に住んでいるときは当然ながら雲南の作物や調味料を食べていたため、それらとうまくマッチしてハチミツの味も日本と同じように普通に味わえたのでした。
ところが、日本のさっぱりとした食事だと、ハチミツの風味が日本料理とは全然別の方向に、なんというかさっぱりごはんにブーゲンビリアの香料を振りまいたようなミスマッチ感が際立って、どうにもバランスの悪い味となってしまったのでした。 (つづく)
※明けましておめでとうございます。いよいよ、今年で一段落つけられるように内容のあるものにしていきたいと思います。よろしくお願いします。
【ブーゲンビリアの香り】
昆明のいわゆる高級住宅街近くの町を歩くと、牛乳スタンドや食料品店と並んだ小さな店舗街のなかに蜂蜜専門店を見かけることがよくありました。ボトルに詰められて白濁したハチミツが、清潔そうな棚に等間隔に大事そうに並び、その脇でひまそうに店員が座っていました。その店員の後ろの床には農場などからそのまま運ばれてきたような、プラスチックの大きな桶が置かれていて、そこからすくって瓶づめ(多くはプラスチック製)されているのだな、とわかるところもありました。
カルフールなどの大型スーパーにも雲南特産品コーナーには雲南のハチミツは置かれてはいましたが、私の見たかぎり、ロイヤルゼリーなどのミツバチ由来の貴重なものはハチミツ専門店ならでは、のようでした。
我が家では、ハチミツ専門店で菜の花蜜や百花蜜などを買っては朝食のパンに塗ったり、ヨーグルトにかけたりして雲南ではお気に入りの食材アイテムとしてかかせない存在となっていました。なんといっても適度にドロリと白濁し、冬にはカチコチに固まるところが私のお気に入りでした。
小さいころ、群馬の祖父母の家には、いつでも舌がしびれるほど甘くて、白く固まっていて、子供心に格が違うおいしさのハチミツがありました。そういうわけでスプーンでガリガリと削り取るように使うハチミツこそ高級でホンモノだ、と子供心に刷り込まれてしまったわけです。のちに聞くと、私の母方の祖母が群馬県水上市出身だったため、地元産のハチミツが常備されていたとのことでした。
実際には白く固まるから高級、といったことではなく、ブドウ糖の割合が多く(菜の花ハチミツや、珍しいところではウドの花蜜)、花粉など固まるための核が含まれている(不純物を厳密に取り除かない、つまり自家製に近いもの)、といった要素によるものなのだとか。(農林水産省消費者相談よりhttp://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/0802/04.html)水上のハチミツはズバリ、自家製に近くてブドウ糖の多い菜の花やウドの系統だったのでしょう。
さて、雲南のハチミツも、じっさいに山野草からのものと菜の花のものが多く、花粉なども含まれる素朴なものが多いのです。これについては次回より詳しく述べます。
ただ、不思議なことに雲南では毎日、違和感なく食べていたのに、日本だと、なかなか減らないこと。
考えるに、雲南独自の高原植物主体の花の蜜となるため、独特の風味があるのです。雲南に住んでいるときは当然ながら雲南の作物や調味料を食べていたため、それらとうまくマッチしてハチミツの味も日本と同じように普通に味わえたのでした。
ところが、日本のさっぱりとした食事だと、ハチミツの風味が日本料理とは全然別の方向に、なんというかさっぱりごはんにブーゲンビリアの香料を振りまいたようなミスマッチ感が際立って、どうにもバランスの悪い味となってしまったのでした。 (つづく)
※明けましておめでとうございます。いよいよ、今年で一段落つけられるように内容のあるものにしていきたいと思います。よろしくお願いします。