写真は昆明のスーパーの食用油コーナー。魚用、野菜用など、用途を示唆する油があったり、菜種油、米ぬか油、落花生油、アーモンド油トウモロコシ油、ごま油など様々な種類が当たり前のように売られている。雲南では菜種油が家庭用としては主流だった。いずれも日本では考えられないほどの大容量で売られている。
日本でも取り上げられる下水などから精製する、危険な地溝油は、食堂などで流通しているので、スーパーのものは別物だと信じたい。2005年当時の人々はスーパーのものや、なじみの市場のおばさんが目の前で搾ったものを桶に入れて売る店などが繁盛していた。食用油はデリケート名問題なので、また別の機会に取り上げたい。
(2010年夏撮影)
【60年以上前からヤハシ蜜に熱視線】
中国の文革が終わってまもなくの1979年に『雲南養蜂』(1979年第3期、雲南省農業科学院)に発表された論文に、ヤハシ蜜は雲南省の重要な野生蜜源植物と書かれていました。
なんと収入の80%をこの蜜が占める州すらあったとか。
さらにヤハシは菜の花同様に油が採れました。こちらは料理用というより香油です。両方とも市場で売られていたそうですが、ヤハシ蜜はヤハシ油の9倍以上の価格だったそうです。そのように重要な植物なのだから、今あるヤハシの根を掘り起こしたり、焚きつけに使ったりせずに収量を増やす努力をするべき、などと書かれていました。
この雑誌は役人の内部資料だったので、北京政府の方針に沿った研究の結果だったはずです。
2012年になって『雲南養蜂』の後継誌である『雲南農業大学学報』で山口喜久二氏がヤハシ蜜に着目し、論文としては彼も加わった研究チームがヤハシ蜜の分析を行ったのも、このような蓄積から生まれたのでしょう。
(話は逸れますが、中国で植樹をして沙漠化を食い止める日本のNPO団体「緑の地球ネットワーク」が大同でその活動を開始したのも、元はといえば、1950年代から文革期にかけて大同でポプラを大量に植樹する活動が中国共産党の指導の下で行われていたためだったと日本側の責任者に聞いたことがあります。〈http://www.k4.dion.ne.jp/~gentree/images/GEN03.pdf〉地元の人にわずかながらでも知識と経験があり、植樹の土壌があったため、最終的に地元主導でうまく緑の再生事業がうまく進んだ、というわけです。)
ただ、この論文では水分、蔗糖、ブドウ糖、アルカリ、酸などの大まかな分析にとどまり、いずれも中国の定めるハチミツの規定よりも粒ぞろいで優良の品質を確保していること、また抗生物質や農薬検査でもいずれも未検出だったということが技術的に述べられているだけでした(『雲南農業大学学報』2012年第27巻6期p914-p917)
「玉川大学ミツバチ科学研究センターがヤハシ蜜の成分分析を行い、結果、ニュージーランドのマヌカ蜜と同等の成分が含まれていた」
と中国のヤハシ蜜の広告文に見つけたのですが、日本のもので裏付けはできていません。(玉川大学のミツバチ科学研究所に問い合わせているのですが、一週間以上たっても連絡がつかないのです)
さて、日中あわせて、さすがに蜜源として集中しているのは雲南だけとあって、ヤハシ蜜に関する論文は雲南に集中していたのでした。
(つづく/次週はヤハシ蜜の効能です)
日本でも取り上げられる下水などから精製する、危険な地溝油は、食堂などで流通しているので、スーパーのものは別物だと信じたい。2005年当時の人々はスーパーのものや、なじみの市場のおばさんが目の前で搾ったものを桶に入れて売る店などが繁盛していた。食用油はデリケート名問題なので、また別の機会に取り上げたい。
(2010年夏撮影)
【60年以上前からヤハシ蜜に熱視線】
中国の文革が終わってまもなくの1979年に『雲南養蜂』(1979年第3期、雲南省農業科学院)に発表された論文に、ヤハシ蜜は雲南省の重要な野生蜜源植物と書かれていました。
なんと収入の80%をこの蜜が占める州すらあったとか。
さらにヤハシは菜の花同様に油が採れました。こちらは料理用というより香油です。両方とも市場で売られていたそうですが、ヤハシ蜜はヤハシ油の9倍以上の価格だったそうです。そのように重要な植物なのだから、今あるヤハシの根を掘り起こしたり、焚きつけに使ったりせずに収量を増やす努力をするべき、などと書かれていました。
この雑誌は役人の内部資料だったので、北京政府の方針に沿った研究の結果だったはずです。
2012年になって『雲南養蜂』の後継誌である『雲南農業大学学報』で山口喜久二氏がヤハシ蜜に着目し、論文としては彼も加わった研究チームがヤハシ蜜の分析を行ったのも、このような蓄積から生まれたのでしょう。
(話は逸れますが、中国で植樹をして沙漠化を食い止める日本のNPO団体「緑の地球ネットワーク」が大同でその活動を開始したのも、元はといえば、1950年代から文革期にかけて大同でポプラを大量に植樹する活動が中国共産党の指導の下で行われていたためだったと日本側の責任者に聞いたことがあります。〈http://www.k4.dion.ne.jp/~gentree/images/GEN03.pdf〉地元の人にわずかながらでも知識と経験があり、植樹の土壌があったため、最終的に地元主導でうまく緑の再生事業がうまく進んだ、というわけです。)
ただ、この論文では水分、蔗糖、ブドウ糖、アルカリ、酸などの大まかな分析にとどまり、いずれも中国の定めるハチミツの規定よりも粒ぞろいで優良の品質を確保していること、また抗生物質や農薬検査でもいずれも未検出だったということが技術的に述べられているだけでした(『雲南農業大学学報』2012年第27巻6期p914-p917)
「玉川大学ミツバチ科学研究センターがヤハシ蜜の成分分析を行い、結果、ニュージーランドのマヌカ蜜と同等の成分が含まれていた」
と中国のヤハシ蜜の広告文に見つけたのですが、日本のもので裏付けはできていません。(玉川大学のミツバチ科学研究所に問い合わせているのですが、一週間以上たっても連絡がつかないのです)
さて、日中あわせて、さすがに蜜源として集中しているのは雲南だけとあって、ヤハシ蜜に関する論文は雲南に集中していたのでした。
(つづく/次週はヤハシ蜜の効能です)