写真上は茫漠としたエンクハウゼンのゾイデル海屋外博物館のほんの一部。学校や小間物屋、畑などが点在している。建物の中の様子も当時を忠実に再現していて、見応えがある。時間がいくつあっても足りない。
写真下は屋外博物館の建物の一つ、粉屋の売り場の後ろに置かれていた茶の袋。日本髪を結った女性の絵の上にロンドンインポート(輸入)と書かれた文字が見える。オランダは16世紀、日本が唯一認めた交易国として日本との通商で大いに利益を上げた。
【じゃが、にしん、キャベツ】
クロケットを食べた町外れのホテルの近くには巨大な屋外博物館があります。エンクハウゼンはもともと北海とつながり、オランダ東インド会社の重要な港の一つがありました。長崎にも船を送っていたそうです。
ところが1932年に北海とエンクハウゼンの間に大堤防を築いて目の前の海が湖となってしまい、街の産業が一変することとなりました。
そこで、当時の施設を保存しようと、海とともに暮らした当時の建物を街ごと移築して、実際に職人さんが作業する風景も見せる、という明治村のような博物館ができあがりました。広さは15エーカー。東京ドーム約1.5個分の敷地と目の前の湖が一体となり、よりいっそう広く感じます。
屋内の博物館もあり、そこではかつてのエンクハウゼンの村の賑わいの記録映像や暮らし方、服、刺繍、食べ物、船の原寸大模型などなどが、これでもか、というばかりに丁寧に展示されていました。充実の展示と施設で、ざっと見ても1日、たっぷりかかります。食べ物は、素手でじゃがいもを掘り、網でニシンを捕り、あとはキャベツ。キャベツはスープに入れたり、ピクルスにしたり。
この3種類でたいていの食をまかなうシンプルな食生活。ポテトだらけの食事は街の伝統であり必然なのです。値段もとてもリーズナブルでした。
ちなみに屋外博物館にもレストランはあります。社食のようにトレーを持って、フライドポテトやクロケット、サンドイッチなどをゲットして、最後にお会計。ただ、たいへん混んでいたので、博物館の敷地を出て食事に行ったのでした。
(つづく)