ハイドパーク南側にあるエリザベスゲートを出て、少し南にいくと、地下鉄ナイツブリッジ駅があり、ハロッズがすぐそばにある。その間を埋めるかのように続くスロン・ストリートとその路地裏には高級ブランドショップから小さなパブやショップまでが密に軒を連ねる。のどやかさの漂うノッティングヒルとは違った景色が広がっていた。
写真は、その路地裏にあるパブにて。
【隣人との軽やかなコミュニケーション】
当ブログの二度目のロンドン58でも少し触れましたが(https://blog.goo.ne.jp/madoka1994/e/f73a914a8cbbc90c644cefb69035104b)ビクトリア公園から148番バスで帰宅しようとしたときのこと。なぜか、途中で道が片側封鎖の憂き目にあい、あらぬ方向で降ろされてしまいました。そして別のバスに集団で乗り換えました。
いつものことなのか慌てる客は一人もおらず。後ろの席のコロンビア出身のおばさんとジャマイカ出身のおじさんの世間話が聞こえてきて楽しい時間を過ごせました。
内容は「どこ出身なの?」という会話なのですが
(別のバスに乗ったときも、乗り合わせた隣同士で「Where are you from?」とやっていたので、そういうお国柄なのか?)
その会話の弾み方がすごい。
ファミリーヒストリーをお互いに話しはじめ、最後には意気投合。まるでセッションのようなリズムでした。
音楽ってこうやって生まれるのかもしれないな、などと思いつつ、数日後に行ったノッティングヒルズのポートベロー道路沿いに繰り広げられるフェステバル北側の最終地。音楽会場に、なんと、あのバスでお目にかかったジャマイカのおじさんがいたのです。ほんもののミュージシャンで、たゆたうようなレゲエを披露していました。
音楽の生まれる街! ちょっと雰囲気的には吉祥寺などの中央線界隈の匂いがします。
そこからバスで南下。ケンジントン宮殿脇のヴィクトリア時代の風情の薫るブティック通りを横目でみて、ハロッズ周辺の入り組んだ路地裏に行きました。
パブが立ち並ぶ一角でフライドポテトとコロッケと牛肉のワイン煮と黒ビールを注文。シェアハウス近くのいつものパブより、値段も高く、メニューも張り込んだわりには、ぼやけた味で、ビールで流し込む感じとなりました。
でも場所がいいのか、雰囲気がいいのかお客さんでほぼ満席です。店内も古くからのパブのしつらえが残っていて雰囲気は重厚。犬連れで散歩中に立ち寄った方も複数いました。
ワンちゃんかわいいな、と、目を細めていたら、隣に座って食事をされていた常連らしきおばさまが、私に向かって軽やかに
「エンジョイ!」
と声をかけて立ち去っていきました。
びっくりしました。
一陣の風が通り過ぎていくようなさわやかさ。こういう心遣いは、沁みます。
見ず知らずのお隣さんに気軽に声をかけるフレンドリーさとあたたかな気遣い。島国にたくさんの民族の攻防があったからこそ生まれた文化なのでしょうか? いや、昔の日本もそうだった?
ともかく、ごく普通の人々のこういうなにげないふるまいに気品を感じました。
(つづく)