雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

淡水魚の女王・桂魚2

2008-01-11 21:11:45 | Weblog
天津の中級レストランで出された「清蒸桂魚」。昆明のものと違い、身を薄切りしてから、炒められていた。接客の女性に「蒸でしょ」というと、「油通ししてから蒸しました」とのこと。手が込んでいる。昆明より安かったというのに。味も見た目より脂っこくなく、甘みがあった。

【魚の重さで決まる値段】
高級品と位置づけられている魚料理の価格は、外国人も通う上流レストランをのぞくと、一皿いくらではなく、魚の種類と重さで決まる。だからメニューには一斤(500グラムのこと)○○元、と表示されていることが多い。

まず、客は魚を注文すると生け簀場か厨房へと案内される。生け簀が多いのは冷蔵庫がまだ発達していないせいだろう。そこから網で引き上げ、吟味に吟味を重ねた後に料理人が重さを量って値段が決まる。客が納得して、ようやく調理開始となる。

雲南では魚料理というと蒸す、揚げる、煮る、刺身(日本の影響だと思うが、少数民族のなかには危険を承知で刺身を食べる文化はある)程度なので、調理法では値段の決めようがないのかもしれない。

 7年ほど前、北海道のみやげもの屋で、中国語を話す観光客の団体を見かけた。(当時、雪世界にあこがれる台湾からの観光客が大勢きていた。たぶん、その団。ちなみに台湾の人は、席を譲られたときにさりげなく「謝謝」といってほほえむなど、日本人が忘れてしまったような礼儀が身についた人を見かける頻度が高い。)

彼らは、水槽で展示されている活きた蟹や海老を見ると、迷うことなく自らの手を生け簀につっこみ、水から引き上げてはよくよく吟味して買い求めていた。店の人は驚いていたが、彼らの国の習慣としては、買う前の当然の儀式のようなものだったのだろう。

値段を聞いて手を引っ込める人も相当いたが、それでも、日本人よりも豪快に買い求める人が多かった。一度さわったものだから、という仁義よりも、そのおいしそうな食材を放っておくことができなかったように、私には見えた。このような彼らの食に対するあくなき探求心が、世界に冠たる中華料理を生み育てたのだろう。

 ところで桂魚の値段は昆明で、30センチほどの大きさのものが40~50元(約700円。)。他の料理が一皿20元以下なので、驚きの高級食材だ。北京に近く、物価も昆明よりは高い天津で同サイズの桂魚が30元以下だったので、昆明の桂魚が、ことのほか高いことがわかる。

ちなみに現在、魚は富裕層向けの高級食材として人気を高めており、川魚から海魚まで、価格が高騰し、ますます高級化の道をたどっている。(つづく)
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4 コメント

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Unknown ()
2008-01-11 23:31:17
確かに中国で現地の人と食事に行ったときは、彼らの魚を選ぶ目つきは真剣そのものでした。ぼくも彼らみたいにあーだこーだ言いながら選んでみたいです :-)
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Unknown (もっくん)
2008-01-12 11:25:21
料理店の材料から、これぞという食材を選び出し、味付けから調理法まで細やかに指示を出すのが、中級以下のレストランでは一般的だから、当初はすっかり参っちゃいました。よくわからない場合は店側の人の早口で語るおすすめ品に、よくわからなくてもうなずいていれば、そこそこのメニューは揃うのですが。

それらの指示が完璧でおいしい料理が円卓に並べられる人はあちらでも尊敬されるようです。私も、そうなりたいものです。
 
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非常にご無沙汰しております (しゅいえほん)
2008-01-14 19:57:04
杭州に住んでいるしゅいえほんです。
覚えていますか?(相方がお世話になっております)

桂魚、おいしいですよね。
他の魚とは全く格が違う(値段の格も)。

元旦の夜、同僚の招待で食事をしました。
その時にも桂魚が出たのですが、
同僚が「桂」と「貴」は同音だから、新年に食べるのはとても縁起がいい、と言っていましたね。

やはりこの魚、高貴なご身分でいらっしゃるようです。
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Unknown (もっくん)
2008-01-16 10:00:42
お久しぶりです。お元気ですか。
杭州は本当に食べ物がおいしいですよね。新年から桂魚とは、縁起がよろしいようで。昆明では桂魚の養殖は盛んなのですが、地元民が頻繁に通う市場では、旧正月前に増殖する魚売り場コーナーでさえ、売られていたのは鯉の類でした。外資系スーパーには並んでいましたが。やはり「高嶺(値?)の花」の魚のようです。
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