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気になる南米の野菜たち3 ヒョウタン 下

2018-07-20 11:13:53 | Weblog

写真上はメキシコの雑貨市場でみかけたヒョウタン。棒をさしてマラカスのように振って使うらしい。

そして写真下は雲南のヒョウタン笛。竹が3本以上ついていて、真ん中の竹についている穴をふさいだりして音階を出し、横についた竹の棒を補助の音として響かせ、和音とする。
雲南各地のお土産屋で吹きながらのんびり客引きをしていたが、本格的な楽器屋で、きちんと調律された楽器もある。その道の名人の笛の音は、やわらかで、明るく心地よい響きをしていた。
(昆明の楽器屋で音楽家でもある店主に指導を受ける。)

【納得! 生命力】
前回引用した『資源植物事典』縄文土器文化研究序説(江坂てるや著 六甲出版、1982年)にはヒョウタンはアフリカ原産。海流に乗って、早い段階でアメリカ大陸にも渡り、メキシコでも古い遺跡から出ている、と書かれています。

一方、田中 修『植物は人類最強の相棒である』(PHP新書、2014年)には、ヒョウタンを「世界最古の栽培植物といわれる」とし、原産地の一つとされるペルーでは一万年以上前から栽培されていた、と書かれています。つまりあまりにも世界中に伝播しているためか、原産地を一カ所に認定できないほど、場所を選ばず、気候も選ばぬというじつに生命力の強い植物のようです。このように一万年以上の間、人類の役に立っている植物は、他にないでしょう。

日本でも昔から存在し、いろいろなモチーフに使われました。豊臣秀吉の馬印は、たくさんのヒョウタンがついた千成瓢箪です。

日本以上にヒョウタンの伝承が多いのが中国。西遊記では孫悟空がうっかり返事をして閉じ込められ、うっかり溶かされてしまう危険な目にあったところがヒョウタンでした。雲南でもヒョウタンのモニュメントはよく見かけました。

雲南の西北部の彝族の村に行ったときは、各家の屋根の上には陶器で作られたらしいヒョウタンのモニュメントが飴色に輝いていました。家の繁栄を願う意味があるようです。また、タイ族やラオスの神話では人類はひょうたんから生まれた、とされています。

タイ族が使う、やわらかい音色の笙のような楽器のヒョウタン笛(葫芦絲)はいまでも人気で、なんと、調べてみたら、アマゾンで2000円弱でいまでは日本でも気軽に購入できるようです。

つまり、ヒョウタンは南米原産ではないが、アステカ文明を支えた重要作物。そして日本でも、雲南でも、アステカ文明に負けじともおとらぬほど古くから存在し、今なお人のかたわらに存在し続ける、地球上でも唯一無比の驚くべき作物、ということがわかりました。私も今回、メキシコに行ったことで、この事実を知るきっかけをつかむことができました。
(つづく)
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