とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

映画『のぼうの城』

2012-11-05 22:04:38 | 映画


話題作の「のぼうの城」を日曜日の午後早速見てきた。映画館の中は、久しぶりに超満員だった。2時間25分とかなり長い映画だったが、飽きることなく最後まで楽しく見ることができた。とりあえず、映画の概要は下記のとおりだ。

<チェック>
戦国末期、豊臣秀吉、石田三成勢の2万人の大軍に屈せず、たった500名の兵で抗戦、勝利した実在の武将・成田長親の姿を描く時代劇。『ゼロの焦点』の犬童一心と『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』の樋口真嗣が異色のダブル監督に挑み、第29回城戸賞を受賞した和田竜のオリジナル脚本を映像化。“のぼう様”と呼ばれたヒロイックな主人公を野村萬斎が熱演するほか、佐藤浩市、山口智充、成宮寛貴らが城を守る侍大将を演じる。底知れぬ人気で人心を掌握した主人公の魅力や、豊臣・石田軍による水攻めシーンなど、見どころ満載の歴史大作だ。(シネマトゥデイより)

<ストーリー>
天下統一を目指す豊臣秀吉は関東の雄・北条家に大軍を投じるも、その中には最後まで落ちなかった武州・忍城(おしじょう)と呼ばれる支城があった。その城には領民からでくのぼうをやゆした“のぼう様”と呼ばれ、誰も及ばぬ人気で人心を掌握する成田長親(野村萬斎)という城代がいた。秀吉は20,000の軍勢で攻撃を開始するが、将に求められる智も仁も勇もない、文字通りのでくのぼうのような男の長親は、その40分の1の軍勢で迎え討とうとする。(シネマトゥデイより)

<キャスト>
野村萬斎 (成田長親)
榮倉奈々 (甲斐姫)
成宮寛貴 (酒巻靭負)
山口智充 (柴崎和泉守)
上地雄輔 (石田三成)
山田孝之 (大谷吉継)
市村正親 (豊臣秀吉)
佐藤浩市 (正木丹波守利英) 他


この話は、既に原作を読んでいたので、ストーリーは分かっていたが、原作と違いはあるのか?どんなふうに映像化されているのか?キャストは原作のイメージとあっているのか?といった点に興味があって楽しみにしていた話題作だった。

まず、ストーリーはほぼ原作に忠実に描かれていたといっていい。まあ、原作者の和田竜氏は映画化を前提に執筆したということでもあり、脚本も本人が書いているので原作どおりになるのが当たり前なのだが…。しかし、このお話は史実に基づくというのだから、痛快でもある。20000人の石田三成率いる秀吉軍に対して500人の軍勢で立ち向かった成田長親という城代が見事秀吉軍に勝ったという。こんな話は今まで歴史本やテレビでもあまり紹介されていなかったと思う。戦国時代の映画やドラマというと、合戦シーンが残酷だったり、やたらに武将が出てきて、誰が誰だかよくわからないようなものが多かったような気がする。それに引き換え、この映画は今までの戦国時代映画と比べるとずっと判りやすい。しかも、のぼう様をはじめ個性的な人物が多く、それぞれの人物に興味が惹かれた。日本史に興味がなかった人にも入り込みやすい内容だったといえる。

映像的には、水攻めのシーンは見所である。東日本大震災の津波を彷彿させるとしてしばらく公開が見送られたというだけあって迫力がある。また、水で覆われた城から秀吉軍前まで船を繰り出し、のぼう様が船上で踊る田楽踊りは、まったく腹をかかえるほど面白い。この田楽踊りこそ、のぼう様の最後の秘策だったのである。敵も味方も腹を抱えて笑いだし戦どころでなくなってしまう。そのあと、どうやってのぼう様の城が守られたのかは、実際映画を見てもらったほうがいいだろう。

キャストについて言えば、原作ではのぼう様は図体がでかく動作もにぶいように描かれていたが、野村萬斎では、ちょっとやさ男すぎてキャラが違うような感じがしていた。しかし、あのひょうひょうとしたキャラクターは、まさにのぼう様には適役だった。田楽踊りも、野村萬斎がほとんど自分でアレンジしたものらしい。たぶん、この役が出来るのは他にはだれも居なかったであろう。また、甲斐姫を演じた榮倉奈々は、まさにピッタリである。男勝りで長親にくってかかったりのしかかるという役どころで彼女の魅力が充分発揮されていたといっていい。他にも酒巻靭負役の成宮寛貴、柴崎和泉守役の山口智充、石田光成役の上地雄輔、正木丹波守利英役の佐藤浩市等、魅力的なキャラクターが揃っていた。

そして、戦国時代の戦の仕方というのが、意外とルールどおりに行なわれていたというのが面白かった。大将同士が戦う場合は、兵隊は邪魔せず静観していたり、戦う前にはいちいち名乗りをあげてから戦いはじめる、武士でない百姓に手をかけたものには厳罰に処す等といった仁義に基づいた戦をしていたのが興味深い。まるで運動会のようでもあり、お互い殲滅するまで戦うわけではない。戦国時代の武士は正々堂々と戦をしていたのである。

こんな視点から、この映画を見ると非常に面白いのではないだろうか。お薦めの映画である。