とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

電子書籍は紙媒体を越えられるのか?

2012-11-23 17:30:19 | 読書
このところハードウェアである電子ブックリーダーが格安で発売されるようになり、電子書籍がますます脚光を浴びるようになってきている。電子書籍とは、紙とインクを利用した印刷物ではなく、 文字、記号、図画や音声、動画等を含めて電子的な情報として流通させたものである。欧米では、かなり普及しているらしいが日本ではどうなんだろう。

電子書籍のいい点といえば、辞書とか参考書の類は電子辞書でキーワードを探すと非常に簡単に探し出すことができる。数十冊の辞書に相当する膨大なデータが1台のリーダーの中に納まっているから、重い本を積み重ねる事もなく場所を取らず必要な情報を瞬く間に取り出すことが出来るから便利だ。

また、マニュアル類も最初から最後まで読む必要はなく、知りたい時に知りたいことだけ検索できるから電子書籍になっていたほうが便利である。

また、小さい文字でもタッチ操作で拡大したりできるから、老眼の人でも困らないという点は素晴らしい。特に地図がデジタル化されたのは、非常にありがたい。簡単な操作で、知らない場所の行き方や住所を検索できるから今やなくてはならないものになっているともいえる。カーナビなんかは広い意味での電子書籍と言ってもいいだろう。

さて、ここまでいい点をあげたが、これで電子書籍が紙媒体の本を越えるかといったら果たして疑問だ。急速に普及が進みつつあるが、本がなくなる事はないと思うというか、思いたい!

本好きな自分としては、本には思い入れがある。本には電子書籍にない温かみがある。画面に映った文字や写真、イラストは電子的に単なる記号でしかすぎない。しかし、紙に印刷された文字やイラストは、それぞれが何かを主張しているのである。本を読むという行為は、人間の五感である視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のうち味覚を除いた視覚、聴覚、触覚、嗅覚をフルに発揮して読んでいるのである。視覚では、新品の本の白さ、古ぼけた本の黄ばんだ様子、表紙や挿絵のイラストを楽しむことなどがある。聴覚では、ページをめくる音や本を積み重ねた時の音で厚さを感じたりする。触覚で、紙のザラザラ感を感じたり、ページをめくる指先の感触を味わうのもいい。嗅覚では、インクの匂いや、古い本の埃っぽい匂いを感じる。

スマホやパソコンで電子書籍を読む機会も最近増えたが、あくまでも情報を得るための手段として使っているだけで、本を読むという行為には当らない。本とは、帯や表紙、裏表紙等のデザイン等の装丁を含めたもので、紙に文字が書き連らねたものであると思っている。そして、本棚に並んでいるのを見るのがたまらなく愛おしくなるものである。これは、決して電子書籍では味わうことが出来ないものだ。

欧米では、電子書籍が普及しているというが、繊細な日本人の感性には電子書籍は無粋で何の感動も得られない。雑誌やカタログといった内容が直ぐに古くなってしまうものは、電子書籍でもいいが、文学作品は紙に印刷された本で何時までも読みたいのである。