映画『北のカナリアたち』予告編
解説 (goo映画より)
東映創立60周年記念として製作された本作は、湊かなえのミステリー「往復書簡」に収められている「二十年後の宿題」を原案に、20年前に起こった“ある事故”の謎に翻弄されるひとりの女性の姿を描いた、サスペンス仕立てのドラマ。日本を代表する女優・吉永小百合を主演に迎え、『大鹿村騒動記』や『闇の子供たち』など細かな人間描写で定評のある阪本順治監督がメガホンをとった。撮影監督・木村大作のカメラによる北の離島の美しい自然も作品のアクセントのひとつ。脇を固める共演陣も柴田恭兵、仲村トオル、里見浩太朗、宮崎あおい、満島ひかりと実力と人気を備えた役者がずらりと並んで、見応え十分な作品となっている。
あらすじ(goo映画より)
夫・川島行夫(柴田恭兵)と共に北海道の離島にやってきた小学校教師、はる(吉永小百合)が受け持つことになったのは6人の生徒たち、鈴木信人(小笠原弘晃)、戸田真奈美(渡辺真帆)、生島直樹(相良飛鷹)、安藤結花(飯田汐音)、藤本七重(佐藤純美音)、松田勇(菊池銀河)だった。彼らの歌の才能に気付いたはるは、合唱を通してその心を明るく照らしていく。「先生が来るまで学校がつまらなかった」とこぼしていた子供たちの顔にも笑顔が溢れるようになり、大自然に響き渡るその歌声は島の人々の心も優しく包み込んでいった。そんな時、担当した事件が原因で心に傷を抱えた警察官・阿部(仲村トオル)が島へやってくる。人知れず悩みを持っていたはるは、陰のある阿部と自分を重ねるかのように心動かされていく。ある夏の日、生徒たちと行ったバーベキューで、悲しい事故が一同を襲う。子供たちは心に深い傷を負い、はるは心配する父(里見浩太朗)を一人置いて、追われるように島を出ることになる。だが、島を離れた後も心に残るのは6人の生徒たちのことだった……。20年後、東京で図書館司書として暮らすはるに生徒の一人が起こした事件の知らせが届く。その真相を知るため、はるは6人の生徒たち(森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平)との再会を心に決め、北へ向かう。久しぶりに再会した彼らの口から語られるのは、20年間言えずにいた想いだった。それぞれが抱えていた後悔が大きな傷となり、今も心に残っていることを知ったはる。そして自身もまた、心に閉じ込めていた想いを6人に明かすのだった……。
「のぼうの城」と並んで評価が高い「北のカナリアたち」をやっと見ることができた。何といっても大女優吉永小百合主演とあらば、見ておいて損はない。そして、撮影があの「剱岳点の記」で圧倒的な映像美を撮影した木村大作とあらば、映像にも期待ができる。
映画館に入ると、やはり年配の人が多い。やはりサユリストと呼ばれる年代の人が多いのだろうか。原作は、湊かなえということで、暗いイメージを予想していた。冒頭から吉永小百合扮するはるに少年が石を投げつけるというシーンがあって、ショッキングな展開だった。その後、教え子が殺人事件で追われているという話から始まって、はるが昔の教え子を訪ねる旅が始まる。
はるが、離島での教師を辞めて20年ぶりに昔の教え子を訪ね歩くうちに、20年前の事件の真相が少しずつ明らかになってくる。原作の「往復書簡」を読んでいないので、何の情報もないまま映画を見に行ったのだが、教え子との会話ではるが島を去ることになった理由が見えてきた。原作とは違う部分もあるそうだが、映画としてもクオリティのある内容だったと思えた。
映画は、20年前と現在とが交互に挿入され、小学生の子供たちが成人してどうなったかが交互に描かれているので分かりやすい。この映画で、特に素晴らしいと感じたのは子供たちの歌声だ。はるが、子供たちに歌を教えこみ、観客の前でコーラスを指揮するシーンは圧巻である。2カ月におよぶオーディションを行い、全国約3100人のなかから選び出されたという6人の子役たちの歌声は、まさに“天使の歌声”だった。
そして、成人の役は森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平といういまや日本を代表する豪華な俳優陣である。それぞれ、見ごたえのある演技でうまいなあと思った。また、はるの夫が柴田恭平、はるの不倫相手が仲村トオルというのも、面白い。この二人は、「あぶない刑事」シリーズでの先輩と後輩という役が思い出される。この映画では、それぞれ皮肉な役回りではあるが…。
しかし、一番の見所といえば吉永小百合であろう。60代後半にもなろうかというのに、いまだ40代くらいにしか見えないというのはすごい。この人は永遠にこのままでいてほしいと思うばかりだ。ただ、20年前の役と現在の役のどちらも歳の違いが分からないというあたりが吉永小百合という女優に許される特権であろう。とにかく何時までも若くて美しいままでいて欲しい女優さんである。
そして、最後に成人した6人の生徒たちとはるが分校の教室に集まって20年ぶりに合唱するシーンでは、涙が溢れ出してとまらなかった。歌を忘れた北のカナリアたちが、ふたたび歌を思い出したのである。ミステリーぽい展開でどうなるかと思っていたが、感動的な終わり方で救われたという気がした。ストーリーはうまく繋がっており、人の情感やつながりをうまく描いていたと思える。そして、心憎いことにはるが全ての結末を見通していたというのが、してヤラレタという感想だった。
映像といえば、利尻富士の秀麗さが忘れられない。山を撮るなら木村大作である。ますます利尻にも行きたくなった。
解説 (goo映画より)
東映創立60周年記念として製作された本作は、湊かなえのミステリー「往復書簡」に収められている「二十年後の宿題」を原案に、20年前に起こった“ある事故”の謎に翻弄されるひとりの女性の姿を描いた、サスペンス仕立てのドラマ。日本を代表する女優・吉永小百合を主演に迎え、『大鹿村騒動記』や『闇の子供たち』など細かな人間描写で定評のある阪本順治監督がメガホンをとった。撮影監督・木村大作のカメラによる北の離島の美しい自然も作品のアクセントのひとつ。脇を固める共演陣も柴田恭兵、仲村トオル、里見浩太朗、宮崎あおい、満島ひかりと実力と人気を備えた役者がずらりと並んで、見応え十分な作品となっている。
あらすじ(goo映画より)
夫・川島行夫(柴田恭兵)と共に北海道の離島にやってきた小学校教師、はる(吉永小百合)が受け持つことになったのは6人の生徒たち、鈴木信人(小笠原弘晃)、戸田真奈美(渡辺真帆)、生島直樹(相良飛鷹)、安藤結花(飯田汐音)、藤本七重(佐藤純美音)、松田勇(菊池銀河)だった。彼らの歌の才能に気付いたはるは、合唱を通してその心を明るく照らしていく。「先生が来るまで学校がつまらなかった」とこぼしていた子供たちの顔にも笑顔が溢れるようになり、大自然に響き渡るその歌声は島の人々の心も優しく包み込んでいった。そんな時、担当した事件が原因で心に傷を抱えた警察官・阿部(仲村トオル)が島へやってくる。人知れず悩みを持っていたはるは、陰のある阿部と自分を重ねるかのように心動かされていく。ある夏の日、生徒たちと行ったバーベキューで、悲しい事故が一同を襲う。子供たちは心に深い傷を負い、はるは心配する父(里見浩太朗)を一人置いて、追われるように島を出ることになる。だが、島を離れた後も心に残るのは6人の生徒たちのことだった……。20年後、東京で図書館司書として暮らすはるに生徒の一人が起こした事件の知らせが届く。その真相を知るため、はるは6人の生徒たち(森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平)との再会を心に決め、北へ向かう。久しぶりに再会した彼らの口から語られるのは、20年間言えずにいた想いだった。それぞれが抱えていた後悔が大きな傷となり、今も心に残っていることを知ったはる。そして自身もまた、心に閉じ込めていた想いを6人に明かすのだった……。
「のぼうの城」と並んで評価が高い「北のカナリアたち」をやっと見ることができた。何といっても大女優吉永小百合主演とあらば、見ておいて損はない。そして、撮影があの「剱岳点の記」で圧倒的な映像美を撮影した木村大作とあらば、映像にも期待ができる。
映画館に入ると、やはり年配の人が多い。やはりサユリストと呼ばれる年代の人が多いのだろうか。原作は、湊かなえということで、暗いイメージを予想していた。冒頭から吉永小百合扮するはるに少年が石を投げつけるというシーンがあって、ショッキングな展開だった。その後、教え子が殺人事件で追われているという話から始まって、はるが昔の教え子を訪ねる旅が始まる。
はるが、離島での教師を辞めて20年ぶりに昔の教え子を訪ね歩くうちに、20年前の事件の真相が少しずつ明らかになってくる。原作の「往復書簡」を読んでいないので、何の情報もないまま映画を見に行ったのだが、教え子との会話ではるが島を去ることになった理由が見えてきた。原作とは違う部分もあるそうだが、映画としてもクオリティのある内容だったと思えた。
映画は、20年前と現在とが交互に挿入され、小学生の子供たちが成人してどうなったかが交互に描かれているので分かりやすい。この映画で、特に素晴らしいと感じたのは子供たちの歌声だ。はるが、子供たちに歌を教えこみ、観客の前でコーラスを指揮するシーンは圧巻である。2カ月におよぶオーディションを行い、全国約3100人のなかから選び出されたという6人の子役たちの歌声は、まさに“天使の歌声”だった。
そして、成人の役は森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平といういまや日本を代表する豪華な俳優陣である。それぞれ、見ごたえのある演技でうまいなあと思った。また、はるの夫が柴田恭平、はるの不倫相手が仲村トオルというのも、面白い。この二人は、「あぶない刑事」シリーズでの先輩と後輩という役が思い出される。この映画では、それぞれ皮肉な役回りではあるが…。
しかし、一番の見所といえば吉永小百合であろう。60代後半にもなろうかというのに、いまだ40代くらいにしか見えないというのはすごい。この人は永遠にこのままでいてほしいと思うばかりだ。ただ、20年前の役と現在の役のどちらも歳の違いが分からないというあたりが吉永小百合という女優に許される特権であろう。とにかく何時までも若くて美しいままでいて欲しい女優さんである。
そして、最後に成人した6人の生徒たちとはるが分校の教室に集まって20年ぶりに合唱するシーンでは、涙が溢れ出してとまらなかった。歌を忘れた北のカナリアたちが、ふたたび歌を思い出したのである。ミステリーぽい展開でどうなるかと思っていたが、感動的な終わり方で救われたという気がした。ストーリーはうまく繋がっており、人の情感やつながりをうまく描いていたと思える。そして、心憎いことにはるが全ての結末を見通していたというのが、してヤラレタという感想だった。
映像といえば、利尻富士の秀麗さが忘れられない。山を撮るなら木村大作である。ますます利尻にも行きたくなった。