(注)本レポートはHP「中東と石油」の「B10 ExxonMobil社の2008年業績分析」に一括全文掲載されています。
2. 生産と販売量の分析:バランスの取れた地域別石油生産量
ExxonMobil社の2008年の生産量(一日あたり)は、石油(天然ガソリン等を含む)2,405千バレル(以下kbd)、天然ガス9,095千立方フィート(以下mcfd)であった。石油と天然ガスの合計生産量は石油換算(6mcf=1mバレル)で3,921kbdであり、その比率は石油61%、天然ガス39%である。石油と天然ガスの生産量を07年と比較すると、石油は-8.1%、天然ガス-3.1%といずれも前年を下回っているが、石油の減産幅が天然ガスよりも大きい。
石油及び天然ガスの地域別内訳を見ると、まず石油ではアフリカが652kbdと生産量全体の27%を占めており、ついでアジア・中東地域(506kbd, 21%)、ヨーロッパ(428kbd, 18%)、米国(367kbd, 15%)、カナダ・南米(292kbd, 12%)、ロシア・カスピ海地域(160kbd, 7%)となっており、ExxonMobil社は全世界でバランスの取れた生産を行なっていることがわかる。一方、天然ガスについてはヨーロッパが3,949mcfdで全生産量の4割強を占めており、ついでアジア・中東地域が3,114mcfdと、この両地域で全社の生産量の78%に達している。石油と天然ガスをあわせた合計生産量の地域別分布を示したものが図2である。
上記生産量に対してExxonMobilが自社の製油所で処理した石油の量(Refinery throughput)は5,416kbdとなっており、石油生産量(2,405kbd)との差3,011kbdは産油国の国営石油会社或いは他の民間石油会社から調達したことを示している。また同年中の石油製品の販売量は6,761kbdとなっており、130万B/D強の石油製品を他社から調達し自社の販売ルートにのせたことになる。このように生産量と販売量のギャップは大きいが、これは世界の民間石油企業に共通した現象であり、自社原油比率が36%に達する同社は、自社原油を持たず原油のほぼ全量を外部に依存している日本の石油精製企業とは大きく異なっている。自社原油比率が高いことにより、既に前項1で述べた通りExxonMobil社は巨額の利益と強固な財務体質を維持しているのである。
(続く)
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