石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2009年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇(3)

2009-07-16 | その他

HP「中東と石油」に(1)~(3)が一括掲載されています。

BPの「BP Statistical Report of World Energy 2009」をもとに本シリーズではこれまで石油及び天然ガスの埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したが、最後に石油と天然ガスを合わせた形でその埋蔵量、生産量及び消費量についての解説を試みる。なお天然ガスから石油への換算率は10億立方メートル=629万バレル(1兆立方メートル=62.9億バレル)である。

石油+天然ガス篇(3):世界の石油と天然ガスの消費量

1.2008年の石油と天然ガスの地域別合計国別消費量

   2008年の世界の石油消費量は日量8,446万バレル(以下B/D)であり、これに対して天然ガスの消費量は年間3兆187億立方メートル(以下㎥)であった。天然ガスの消費量を石油に換算すると5,202万B/Dとなり、従って石油と天然ガスを合わせた1日当りの消費量は1億3,648万B/Dとなる。両者の比率は石油62%、天然ガス38%でほぼ3:2の割合である。

  消費量を地域別に見ると(上図参照、拡大図はhttp://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-1-92Oil+GasConsumptionB.gif)、欧州・ユーラシアが最も多く石油換算で3,987万B/Dであり、これに次ぐのが北米の3,796万B/Dである。但し両地域を比較すると、欧州・ユーラシアは石油の消費量が2,016万B/Dに対して天然ガスの消費量は1,971万B/D(石油換算)であり、石油と天然ガスがほぼ同じであるが、北米は石油2,375万B/D、天然ガス1,421万B/D(石油換算)と石油の消費量が天然ガスの1.7倍に達している。

   欧州・ユーラシア、北米に続いて多いのはアジア・大洋州である。同地域の消費量は石油が2,534万B/D、天然ガスが836万B/D(石油換算)の合計3,370万B/Dであり、天然ガスは石油の3分の1に満たない。これら3地域の世界全体に占める割合は、欧州・ユーラシア29.2%、北米27.8%、アジア・大洋州24.7%であり、3地域を合わせると世界全体の81.7%に達する。残る3地域(中南米、中東、アフリカ)を併せても18.3%に過ぎず、石油及び天然ガスの消費が先進国及びアジアの新興工業地帯に集中していることがわかる。

2.国別消費量(上位20カ国)

   生産量を国別に見ると(詳細は表「石油と天然ガスの国別消費量上位20カ国(2008年)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/1-D-1-92Oil+GasConsumptionByCountries2008.htm参照)、世界で石油と天然ガスの合計消費量が最も多いのは米国である。同国の消費量は石油換算で3,074万B/D、実に世界の4分の1弱の石油と天然ガスを消費しているのである。2位のロシアですらその消費量は米国の3分の1以下であることに比べると、米国が如何にエネルギーを浪費しているかが解る。

   米国に次いで消費量が多いのはロシアの1,004万B/D(石油換算)である。同国は石油の消費量は世界5位であるが、天然ガスを石油の2.6倍消費している。第3位、第4位はそれぞれ中国(939万B/D)、日本(646万B/D)である。両国を比較すると、石油の消費量は中国が日本を上回っているのに対して天然ガスの消費量は日本の方が多い。

   5位のカナダ(石油換算402万B/D)以下はドイツ(392万B/D)、イラン(376万B/D)、インド(359万B/D)、サウジアラビア(357万B/D)、英国(332万B/D)と続いている。

3.1965年~2008年の消費量の推移

 1965年から2008年までの石油と天然ガスの合計消費量の推移を追ってみると(詳細は図「石油+天然ガス消費量(1965-2008年)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-1-95Oil+GasConsumption1.gif参照)、1965年(第一次オイルショック前)の石油と天然ガスの合計消費量は42百万B/D(石油換算、以下同じ)であったが、10年後の1975年には1.8倍の75百万B/Dに急増している。第二次オイルショック後の1980年代前半は消費が一時停滞したが、1985年(88百万B/D)以降は再び消費は一貫して増加しており、1990年には1億B/Dの大台を突破した(内訳:石油67百万B/D、天然ガス34百万B/D)。

   そして2000年には1.18億B/D(内訳:石油76百万B/D、天然ガス42百万B/D)、2008年には上記のとおり1.36億B/D(内訳:石油84百万B/D、天然ガス52百万B/D)に達している。2008年の消費量は1965年に比べて3.2倍であるが、石油と天然ガスそれぞれについては石油の伸び率が2.7倍に対し、天然ガスは4.6倍である。過去40年強の間に天然ガスの消費が石油を大きく上回っていることがわかる。

(石油+天然ガス篇第3回完)

(これまでの内容)

石油+天然ガス篇(2):世界の石油と天然ガスの生産量

石油+天然ガス篇(1):世界の石油と天然ガスの埋蔵量

(*)今回でBP統計解説シリーズは完結しました。各シリーズはHP「中東と石油」で一括してご覧いただけます。

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

前田 高行 〒183-0027

東京都府中市本町2-31-13-601

Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする