石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(10月5日)

2010-10-05 | 今日のニュース

・イラク、石油埋蔵量を25%アップ。イランを抜き世界3位に。OPEC割当増量が目的か。

*拙稿「BPエネルギー統計レポート2010年版解説シリーズ:石油篇」参照。

 

 

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これからが正念場のBP(2)

2010-10-05 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本シリーズは「マイ・ライブラリー」に一括掲載されています。

2.史上最大の原油の漏出とその補償費用
 4月22日に始まったメキシコ湾MC252号井からの原油漏出はBP及び掘削会社の必死の努力により、海底の破断個所にキャップをかぶせパイプ内にMud(泥水)を注入することにより7月には新たな流出は止まった。そして事故後の5月4日に掘削を開始した救助井(relief well) が9月19日、海底下のMC252号井を捉えてセメントを注入し同井は永久に封印された 。MC525号井は完全に死んだ(kill the well)のである。

今回の暴墳によりメキシコ湾にどれほどの量の石油と天然ガスが流出したか正確に計測することは不可能である。事故当初は種々の観測値が報道されたが、現在では原油流出量2億6百万ガロンと言うのが最大公約数的な数値のようである 。バレルに換算すると490万バレル、日本が1日に消費する石油とほぼ同じ量である 。過去の海洋石油汚染事故を見ると、1989年にExxonMobil(当時Exxon)の原油タンカーがアラスカ沿岸で座礁した時に流出した原油の量が26~75万バレルと言われており、また1997年に日本海沖で座礁したナホトカ号の総流出量が4万バレル程度であったことと比べ今回の流出量が如何に大きかったかということが解るであろう。

事態を重く見た米国のオバマ大統領は事故直後、立て続けに4回にわたり現地を視察、BPに対して徹底的な事故原因の究明と、予想される被害に対する全面的な賠償措置を要求した。「米国民の税金は1セントたりとも使わない」と主張するオバマ大統領のパフォーマンスに対して英国の一部では反米論調も見られ、最大の同盟国の米英関係にもひびが入りかねない様相を見せるほどであった。その後オバマ大統領はホワイトハウスにBPのヘイワード会長を呼びつけ、200億ドルの補償基金を設立することを呑ませた 。

名にし負う訴訟社会の米国である。事故の直後から賠償請求が続発、6月中旬にはBPの支払額は1億ドルを超えた 。米国政府が州兵を動員した費用2.2億ドルの請求書を出すなど、7月中旬までにBPには11万4千件の補償請求があり、BPはそのうち3万2千件2億ドル相当を支払っている 。BP発表ではこの額はその後さらに膨らみ7月下旬に2.56億ドル、8月初めには3億ドル、同下旬には4億ドルを超えている 。

これまでBPが支払った補償額はあくまでも流出事故による直接的な被害額もしくは環境調査のための費用に過ぎない。沿岸漁業者たちの逸失利益などは今後の法廷闘争の結果如何であり、果たしてBPの補償額が最終的にどの程度の規模になるかは全く見通しが立たない。さらにBPに重くのしかかりそうなのが原油流出に対する罰金である。米国連邦法では流出量1バレル当たり1,100ドルが科され、重大な過失と認められた場合はそれが4,300ドルに跳ね上がる 。もし重大な過失と認定されれば罰金は1兆5千億円を超えることになる。


(続く)

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