(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0342ImfWeoApr2015.pdf
(少しずつ伸びる世界、低下し続ける中国!)
4.世界および主要地域・国のGDP成長率の推移(2012~2016年)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-B-2-11.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-B-2-04.pdf参照)
(1)世界および主要な地域・国
2012年から2016年までの5年間の経済成長率の推移を見ると世界全体では2012年から昨年までは年率3.4%の成長を続けており、今年は3.5%、来年は3.8%と成長率が上向くとみられている。
地域別で見るとEUは2012年は0.4%のマイナス成長であったが、2013年には0.1%とわずかではあるがプラス成長に転じ、2014年以降は1.4%(14年)→1.8%(15年)→1.9%(16年)と成長率に弾みがつくと予測されている。2012年に6.1%の成長率を達成したASEAN-5か国はその後も5%前後の安定した成長を続ける見通しである。産油国を多く抱えたMENA地域は2012年の成長率は4.9%であったが、翌年には2.3%に低下、その後今年まで2%台の成長にとどまっている。これは同地域で2011年の「アラブの春」の騒乱終結後も社会の不安定が収まらず経済が低迷しているためと考えられる。IMFは来年の成長率を3.7%と予測しており政治の混乱から抜け出せると期待しているようである。
主要な国では日本の成長率は2012年の1.8%から2014年にはー0.1%とマイナス成長に落ち込んでいるが、今年、来年は1~1.2%のプラス成長が見込まれる。米国の経済は先進国の中でも特に好調であり5年間を通じて前半の3年間は2%台のプラス成長であり、後半の今年、来年の2年間はさらに加速して3.1%の成長率になるとの見通しである。
中国は2012~14年の成長率は7%台であったが、今年および来年は6%台に落ち込むと予想される。インドは中国とは逆に過去3カ年は5.1%→6.9%→7.2%と成長率を高めて中国に並び、今年および来年は中国を上回る7.5%の成長が見込まれる。これらの国に対してロシアは油価の下落に続いて西欧先進国の経済制裁の影響が今後ますます厳しくなる見通しであり、GDP成長率は過去3カ年で大幅に落ち込み、さらに今年はマイナス3.8%、来年もマイナス1.1%のマイナス成長が続くとIMFは予測している。
(2)MENA諸国
MENAで2015年の名目GDPが最大と目されるトルコは2012年の経済成長率が2.1%であったが、その後も4.1%(13年)→2.9%(14年)→3.1%(15年見込み)→3.6%(16年予想)と堅実な成長を続けている。世界最大の産油国でトルコに次ぐGDP大国であるサウジアラビアの5年間の成長率(実績・予想)は5.4%(12年)→2.7%(13年)→3.6%(14年)→3.0%(15年見込み)→2.7%(16年予想)であり、油価が急騰した2010年代前半のような大きな伸びは期待できないが、それでも安定した経済成長が見込まれている。
サウジアラビアを含むGCC6か国の平均成長率も5.3%(12年)→4.3%(13年)→3.7%(14年)→3.7%(15年見込み)→3.3%(16年予想)と3%以上の成長率が見込まれている。同じ産油国でもイランは2012年にマイナス6.6%の大幅なマイナス成長であった。2014年に3.0%のプラス成長を達成しているが、今年および来年は1%前後の低成長が続く見通しである。
(完)
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