(注)本レポート(上、中、下)は「マイライブラリー(前田高行論考集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0341OilMajors2015-1stQtr.pdf
スーパーメジャーと呼ばれる五大国際石油企業(ExxonMobil、Shell、BP、Total及びChevron)の1-3月期決算が相次いで発表された。ここでは売上高、利益、売上高利益率、石油・天然ガス合計生産量及び設備投資の五項目について各社の業績を横並びで比較するとともに各社の前年同期との増減を検証する。
決算の詳細は以下の各社のホームページを参照されたい。
ExxonMobil:
http://news.exxonmobil.com/press-release/exxonmobil-earns-49-billion-first-quarter-2015
Shell:
http://www.shell.com/global/aboutshell/investor/financial-information/quarterlyresults/archive/2015/q1-2015.html
BP:
http://www.bp.com/en/global/corporate/press/press-releases/first-quarter-2015-results.html
Total:http://www.total.com/en/media/news/press-releases/first-quarter-2015-results
Chevron:
http://www.chevron.com/chevron/pressreleases/article/05012015_chevronreportsfirstquarternetincomeof26billion.news
なお2008年から2014年までの通年の業績比較はレポート「五大国際石油企業2014年度業績速報シリーズ」を参照されたい。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0337OilMajors2014.pdf
1.五社の1-3月期業績比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-22.pdf参照)
五社を横並びで比較すると売上高ではShellがトップ、利益、生産量の2部門でExxonMobilがトップである。また利益率および設備投資はChevronがトップである。ExxonMobilは売上、利益率および設備投資額ではNo.2であり安定した決算は横綱の貫禄がある。またChevronは売上が五社中で最も少ないが利益、利益率等は他社とそん色がなく堅実性が光っている。これに対してBPは売上高こそShell、ExxonMobilに次いで3番目に多いものの、利益率が低く、石油・ガスの生産量および設備投資額が五社の中では最も少ないなど他の四社に比較してかなり見劣りのする決算業績となっている。
(1) 売上高
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-25.pdf参照)
2015年1-3月の売上高は5社ともに前年同期に比べ3~4割の大幅な減少であった。これは言うまでもなく原油価格が暴落したためである。因みにShellでは昨年1-3月に97ドルであった原油の平均価格が今年1-3月は46ドルになったとしている。
この結果、Shellの売上高は688億ドル(前期比-39%)、ExxonMobil676億ドル(同-36%)、BP 542億ドル(同-41%)、Total 423億ドル(同-30%)、Chevron 346億ドル(同-35%)であった。
(2) 利益
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-26.pdf参照)
ExxonMobilの期間利益は49億ドル、前年同期の約2分の1であった。またChevronも前年同期の45億ドルから26億ドルにほぼ半減している。BPおよびTotalはともに前年同期比27%減のそれぞれ26億ドルおよび25億ドルと並んでいる。これに対してShellは2%減の44億ドルにとどまっている。
前期はExxonMobilが利益額で他の4社を大きく引き離していたが、今期はExxonMobilとShellが40億ドル台で並び、BP、Total、Chevronの3社が25億ドル前後で横並びとなっている。国際石油企業はいずれも利益の大半を上流部門で稼いでいるが、今期は原油価格が低迷したため利益も伸び悩んだようである。そのような中でShellが前年同期並みの利益を確保したことは、同社が上流部門の落ち込みを石油製品や石油化学製品あるいは天然ガスの販売でカバーしたものと考えられる。
(3) 売上高利益率
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-24c.pdf参照)
売上高利益率はChevronが7.4%と最も高く、これにExxonMobilが7.3%で続いている。その他3社はShellが6.4%、Total5.9%、BP4.8%であり、5社の間に際立った格差は見られない。
(続く)
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