(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0342ImfWeoApr2015.pdf
(6か月前より下方修正された今年と来年の成長率!)
2.前回(2014年10月)と今回(2015年4月)の比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-B-2-08.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-B-2-01.pdf参照)
(1) 世界および主要地域・国
上述のとおり今回(WEO2015Apr)の成長率の見通しは今年(2015年)が3.5%であり、来年(2016年)は3.8%である。これに対して前回(WEO2014Oct)の見通しでは2015年が3.8%、2016年は4.0%であり今回成長率はいずれも下方修正されている。つまり2015年から2016年にかけて成長が高まるとの見通しに変わりはないが、加速の度合いが鈍っている。IMFは世界経済の回復が遅れると予測しているようである。
国別にみると明暗が分かれ、日本の場合今年、来年ともに成長率は上方修正されている(今年:0.8%→1.0%、来年:0.8%→1.2%)。同様にインドも今年は6.4%→7.5%に、来年も6.5%→7.5%と1ポイント以上高くなっている。これに対して米国は前回見通し通りで変化はないが、中国および韓国の場合は今年、来年ともに0.5ポイント前後下方修正されている。特にロシアは前回予測では今年、来年ともにわずかではあるがプラス成長とされていたものが、今回は今年マイナス3.8%、来年もマイナス1.1%と2年連続のマイナス成長である。
(2)MENA諸国
MENA地域の成長率は2015年が前回の3.8%から2.7%に、また2016年も4.5%から3.7%へと大幅に下方修正されている。MENA諸国の中で成長率が前回に比べて上方修正されたのはイスラエルとエジプトの2か国だけであり、その他の国々はすべて横ばいか下方修正されている。産油国についてもたとえばサウジアラビアは今年1.5ポイント、来年も1.7ポイント下がっており、UAEは両年ともに1.3ポイント下方修正されている。特に今年の修正幅が大きいのはリビアおよびイエメンであり、リビアは前回の15.0%から今回4.6%に、イエメンはおなじく4.6%からマイナス2.2%に見直しされている。両国とも昨年後半から内戦状態であることが下方修正の理由であろう。なお「イスラム国」を含めた反政府組織が跋扈し無政府状態に陥っているシリアは前回も今回もIMFはデータを発表していない。
(続く)
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