石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

五大国際石油企業2017年度業績速報シリーズ(1)

2018-02-22 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本シリーズは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0435OilMajor2017.pdf

 

 国際石油企業(International Oil Companies, IOCs)の2017年第4四半期(10-12月)及び年間(1-12月)の決算が発表された。本稿ではExxonMobil(米)、Shell(英蘭), BP(英), Total(仏)及びChevron(米)の主要5社を取り上げ、各社の売上高、利益、投資額、石油・ガス生産量等を概観し、さらに5社の業績比較を行う。

 I. 各社の業績概要

(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20.pdf 参照)

 1. ExxonMobilの2017年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)の業績

*同社ホームページ:

http://news.exxonmobil.com/press-release/exxonmobil-earns-197-billion-2017-84-billion-fourth-quarter

(1)売上高

 ExxonMobilの2017年10-12月の売上高は665億ドルであり、また通年売上高は2,444億ドルであった。前年同期比ではそれぞれ+17.9%の及び+17.4%の増収である。増収の要因は対応する期間の原油価格がアップしたためであり、例えば代表的な指標油種である北海Brent原油の2016年の平均価格は43.73ドル/バレルであり、これに対して2017年のそれは54.19ドルドルであり、また第4四半期の平均価格も2016年の49.33ドルに対して2017年は61.26ドルに上昇している[1]。後述する通り2017年の生産量は2016年を下回っていることからも増収要因が原油価格の上昇であったことが解る。

 

(2)利益

 10-12月期及び通年の利益はそれぞれ84億ドル及び197億ドルであり、前年同期と比較すると10-12月期は約5倍、通年では2.5倍といずれも前年比大幅な増益であった。通年利益のうち上流部門の利益は2016年の2億ドルに対して2017年は134億ドルの大幅増であった。また下流部門も2016年の42億ドルに対して2017年は56億ドルで33%増であった。(注、最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない。)

 

上流部門の利益と下流部門の利益を比較すると、2016年は上流部門の利益が下流部門を大幅に下回り、2017年は逆に上流部門が好調で下流部門の利益を上回っている。これは原油の市場価格が2016年は低迷し、2017年は高めに推移したためである。即ち原油価格が低迷すると上流部門の利益が圧迫され、逆に安価な原油価格に支えられて下流部門で利益が発生したのが2016年であり、2017年は原油価格が上昇したため上流部門で利益が出る一方、下流部門は利益が圧迫されたのである。この傾向は他の4社もほぼ同様傾向である。

 

(3)売上高利益率

 通年ベースの売上高利益率は8.1%であり、前年の3.8%に比べて大幅に改善されている。

 

(4)設備・探鉱投資

 

2017年の年間の設備・探鉱投資額は231億ドルであり、これは2016年の193億ドルに比べ20%増である。

 

(5)石油・ガス生産量

 昨年のExxonMobilの石油生産量は日量平均2,283千バレル(以下B/D)であり、前年(2016年)の2,365千B/Dを3.5%下回っている。天然ガスは日量平均10,211百万立法フィート(以下mmcfd)であり前年とほぼ同量である。石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で3,985千B/Dとなり、2016年比1.7%減となった。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行

 〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

        Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

        E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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