(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0442OilMajor&Jxtg.pdf
2018.6.5
前田 高行
売上高 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-30.pdf 参照)
JXTGホールディングス(以下JXTG)の2017年4月-2018年3月(以下2017年度)の売上高は10兆3千億円である。これを1ドル=111円で換算すると928億ドルとなる。
これに対して国際石油企業(以下メジャー)5社の2017年1-12月(以下2017年)の売上高は最も多いShellが3,052億ドル、ついでExxonMobil2,444億ドル、BP2,402億ドル、Total1,715億ドル、Chevron1,417億ドルであり、JXTGは5社のいずれよりも少ない。Shellの売上高と比較した場合、ExxonMobil及びBPは約8割、Totalが6割弱、Chevronが半分弱に対しJXTGはShellの3割、Totalの2分のⅠにとどまっている。売り上げ規模ではJXTGはメジャーにまだまだ及ばないようである。
総合利益 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-31.pdf 参照)
JXTG)の2017年度の総合利益は4,674億円(42億ドル)であった。一方メジャーの2017年の利益額はExxonMobilの197億ドルを筆頭に、以下Shell130億ドル、Chevron92億ドル、Total86億ドルで最も少ないのはBPの34億ドルである。メジャー5社の中ではExxonMobilの利益額が飛び抜けておりShellが7割弱、Chevron及びTotalは2分のⅠ弱にとどまっている。JXTGの利益はExxonMobilの5分のⅠ程度であるが、メジャーの一角であるBP(34億ドル)を上回っている。
売上高利益率 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-32.pdf 参照)
JXTGとメジャーの売上高利益率を比べてみると、利益率が最も高いのはExxonMobilの8.1%であり、これに次ぐのがChevron6.5%、さらにTotal5.0%、JXTG4.5%、Shell4.3%と続き、利益率が最も低いのはBPの1.4%である。
売上高利益率で見る限りJXTGはメジャーに比肩する水準である。
上流部門と下流部門の利益 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-33.pdf 参照)
旧日本鉱業の事業を継承しているJXTGは非鉄金属事業が全社の売上の1割弱を占めている。ここではJXTGの決算書が示すセグメント別業績の内、エネルギー事業(いわゆる石油下流部門)と石油・天然ガス開発事業(いわゆる上流部門)の営業利益を取り上げてメジャー5社と比較する。
まず上流部門の利益を見るとJXTGの利益は38億ドル(4,166億円)であった。これに対してメジャー5社の上流部門の利益はExxonMobilが最も多く(134億ドル)、次いでChevron(82億ドル)、Total(60億ドル)、BP(52億ドル)、Shell(16億ドル)と続いている。JXTGの利益はChevronとBPの中間にあり、トップのExxonMobilの3割弱である。
一方JXTGの下流部門の利益は3億ドル(376億円)である。メジャー各社の下流部門の利益はShellの83億ドルを筆頭にBPが70億ドル台、ExxonMobil及びChevronが50億ドル台であり、最も少ないTotalが38億ドルである。JXTGの利益はShellの20分のⅠ以下、メジャーで最も少ないTotalの10分のⅠ以下であり、下流部門の利益の低さが目立つ。
同社の決算資料では国内燃料油のシェアは50%と圧倒的であるが、十分な利益が確保できないようである。国内市場が慢性的な過当競争であることが利益低迷の最大の要因であろうが、原油価格を小売価格に転嫁できる現行システムは、下流部門で大幅な損失を免れる反面、大きな利益を確保することが難しいジレンマがある。メジャー各社が原油市況により上流部門の利益と下流部門の利益が大幅に変動する構造であるのと対照的である。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp