石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2018年版解説シリーズ:石油篇(5)

2018-06-21 | BP統計

 

2018.6.21

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0446BpOil2018.pdf

 

前田 高行

 

2.2017年の世界の石油生産量

(中東とロシア・中央アジアの両地域で世界の石油の半分を生産!)

(1)   地域別生産量

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-2-G01.pdf参照)

 2017年の世界の石油生産量は日量9,265万バレル(以下B/D)であった。これを地域別でみると中東が3,160万B/Dと最も多く全体の34%を占めている。その他の地域については北米2,011万B/D(22%)、ロシア・中央アジア1,429万B/D(15%)、アフリカ807万B/D(9%)、アジア・大洋州788万B/D(8%)、中南米718万B/D(8%)、欧州352万B/D(4%)である。中東とロシア・中央アジア両地域の生産量を合わせるとシェアは49%となり世界の石油生産の2分のⅠを占めている。

 

 各地域の生産量と埋蔵量(石油篇1参照)を比較すると、埋蔵量のシェアが生産量のシェアより高い地域は中東及び中南米であり、その他の地域(北米、ロシア・中央アジア、アフリカ、アジア・大洋州及び欧州)は生産量のシェアが埋蔵量のシェアよりも高い。例えば中東は埋蔵量では世界の48%を占めているが生産量は34%に過ぎない。中南米も埋蔵量シェア19%に対し生産量シェアは8%である。一方、北米の場合、埋蔵量シェア13%に対して生産量のシェアは22%である。同様にアジア・大洋州も生産量シェアが埋蔵量シェアを5ポイント上回り、ロシア・中央アジアは6ポイント、欧州は3ポイント上回っている。このことから地域別に見て将来の石油生産を維持又は拡大できるポテンシャルを持っているのは中東及び中南米であることが読み取れる。

 

(4年連続で米国が生産量世界一、サウジアラビアおよびロシアを加え3か国が断トツ!)

(2)   国別生産量

(表http://bpdatabase.maeda1.jp/1-2-T01.pdf参照)

 次に国別に見ると、最大の石油生産国は米国である。同国の2017年の生産量は1,306万B/Dであり、産油国の中で唯一1,300万B/Dを超えている。第2位はサウジアラビアの1,195万B/Dで米国との差は100万B/D強ある。第3位はロシア(1,126万B/D)でありサウジアラビアとの差は小さい。生産量が1千万B/Dを超えるのはこれら3カ国だけであり、3か国が世界に占めるシェアは4割強に達する。

 

4位から6位にはイラン(498万B/D)、カナダ(483万B/D)、イラク(452万B/D)が400万B/D台で並んでいる。イランは欧米の禁輸措置により輸出量が激減し、2011年の4位から2012年には6位、2013年から2015年までは7位と順位を落としたが、禁輸制裁が解除されて生産量が回復し4位に浮上している。さらに7位にはUAE(394万B/D)、8位は中国(385万B/D)、9位がクウェイト(303万B/D)と続き、10位以下は300万B/D以下である。

 

10位以下20位までの国とその生産量は以下の通りである。

ブラジル(273万B/D)、メキシコ(222万B/D)、ベネズエラ(211万B/D)、ナイジェリア(199万B/D)、ノルウェー(197万B/D)、カタール(192万B/D)、カザフスタン(184万B/D)、アンゴラ(167万B/D)、アルジェリア(154万B/D)、英国(100万B/D)、オマーン(97万B/D)。

 

(続く)

 

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