石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油価格上昇で貿易赤字拡大―MENA(中東・北アフリカ)の対日貿易(2018年版)(5)

2019-04-09 | その他

(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してお読みいただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0463MenaRank10.pdf

 

 

(MENAなんでもランキング・シリーズ その10)

 

3.2014年~2018年の日本とMENA諸国の貿易

(4年前の水準に戻ったMENAの貿易額!)

(1)日本とMENA諸国の貿易額及び対中国、対米貿易との比較

(表http://menarank.maeda1.jp/10-T04.pdf 参照)

(図http://menarank.maeda1.jp/10-G03.pdf 参照)

 2014年から2018年までの5年間の日本とMENA19カ国1機関(パレスチナ自治政府)との貿易総額(輸出と輸入の合計額)は2014年に20兆円を記録したが、2015年には一転して13兆円に減少、さらに2016年には10兆円を割り9.7兆円と、わずか2年間で半減した。2018年は輸出、輸入共に増加して貿易額は13兆円になったが、それでも5年前の2014年の7割にとどまっている。日本の貿易総額に占める割合は2014年は12%強であったが、2015年は8.8%、2016年7.2%と2年連続で縮小、その後回復して2018年には8.2%に達したが未だ一桁台にとどまっている。米国及び中国と比較すると、MENAの貿易額は2014年はほぼ米国に肩を並べていたが、2015年はMENAが減少した反面米国は伸び、中国も微増であった。その後も同じような傾向が続き、2018年の全世界との貿易に占めるMENAの割合は米国の2分の1、中国の3分の1にとどまっている。

 

(日本の対MENA貿易は5年連続で赤字!)

(2)日本/MENA間の輸出と輸入

(図http://menarank.maeda1.jp/10-G04.pdf 参照)

 MENAの貿易額を輸入と輸出に分けて見ると、日本のMENAからの輸入額は2014年は16兆円であったが、2015年には一転して9.8兆円、更に2016年には6.7兆円に急減した。2018年は10.5兆円に回復したがそれでも5年前の6割にとどまっている。一方日本からの輸出額は3.5兆円(2014年)→3.7兆円(2015年)と増加した後、2016年以降は3兆円前後で推移している。

 

 2011年の福島原発事故以後LNGの輸入が急増し、油価の高騰と相まってサウジアラビア、カタールなどからの輸入額が急増した。しかし2014年年央にピークに達した油価はその後急落、さらに円安の影響もあって2015年に円建て輸入額は急減した。これに対してMENA産油国では2015年まで石油・天然ガスブームが続き自動車・プラントなど日本からの輸出が増加した。しかしその後の油価の下落は産油国自身の経済も委縮させ、また円高の影響もあり、日本からの輸出は停滞気味である。

 

 これらの要因により日本のMENA諸国に対する貿易収支は2014年は年間13兆円弱の赤字であったが、2015年は赤字幅が6兆円に縮小、更に2016年には貿易赤字は3.6兆円に減少した。2017年以後は赤字幅は再び拡大し2018年には7.5兆円に達している。5年間を通じて日本の対MENA貿易が大幅な赤字であることに変わりはない。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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