(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してお読みいただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0463MenaRank10.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その10)
中東北アフリカ諸国は英語のMiddle East & North Africaの頭文字をとってMENAと呼ばれています。MENA各国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。なおMENAの対象国は文献によって多少異なりますが、本シリーズでは下記の19の国と1機関(パレスチナ)を取り扱います。(アルファベット順)
アルジェリア、バハレーン、エジプト、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェイト、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、 トルコ、UAE(アラブ首長国連邦)、イエメン、
これら19カ国・1機関をおおまかに分類すると、宗教的にはイスラエル(ユダヤ教)を除き、他は全てイスラム教国家でありOIC(イスラム諸国会議機構)加盟国です。なおその中でイラン、イラクはシーア派が政権政党ですが、その他の多くはスンニ派の政権国家です。また民族的にはイスラエル(ユダヤ人)、イラン(ペルシャ人)、トルコ(トルコ人)以外の国々はアラブ人の国家であり、それらの国々はアラブ連盟(Arab League)に加盟しています。つまりMENAはイスラム教スンニ派でアラブ民族の国家が多数を占める国家群と言えます。
第10回のランキングは、財務省ホームページの貿易統計により2018年の各国と日本の輸出入を比較しました。
*財務省ホームページ:http://www.customs.go.jp/toukei/info/tsdl.htm
1.総論:2018年の日本の貿易額
(日本全体の貿易収支は3年ぶりに赤字)
(1)全世界、MENA、GCCとの輸出入および貿易バランス
(表http://menarank.maeda1.jp/10-T01.pdf 参照)
2018年の日本の輸出額は81.5兆円、輸入は82.7兆円で輸出入合計(以下貿易)額は164兆円に達した。輸出入のバランスは3年ぶりに1.2兆円の赤字に転落した。
MENAと日本の貿易額は輸出3兆円、輸入10.5兆円で差し引き7.5兆円の大幅赤字である。日本の輸出全体に占めるMENA向け輸出は3.6%であるのに対し、輸入は全体の12.7%を占めている。これは言うまでもなく日本がMENA地域から大量の石油及びガスを輸入していることにある。特にMENAの主要貿易相手国であるGCCは輸出2兆円に対して輸入は9.7兆円、貿易赤字が7.7兆円となっており、MENA20カ国の貿易赤字はそのままGCC6カ国の貿易赤字ということになる。
(2)GCC, MENA、中国および米国との輸出入
(図http://menarank.maeda1.jp/10-G01.pdf 参照)
MENA及びGCCの貿易額を中国及び米国と比較すると、中国の貿易額は35兆円、米国は24兆円である。MENAの貿易額13兆円は米国の半分、中国の3分の1である。しかしその内訳をみるとMENAは輸入と輸出の比率がほぼ3対1であり貿易バランスは7.5兆円の赤字である。中国の貿易赤字は3.3兆円であり、米国の場合は輸出15兆円、輸入9兆円であり、MENAあるいは中国とは逆に6兆円の貿易黒字である。
(続く)
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