1. 五社の1-3月期業績比較 (続き)
(全社赤字決算、Shell、BPは150億ドル以上の欠損!)
(3)総合損益 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)
今期は大幅な売上高の落ち込みに加え五社すべての損益は赤字に転落した。前年同期は五社すべてが20乃至40億ドルの利益を計上しており、また前期(1-3月期)はBP及びExxonMobilが赤字でその他3社は黒字であった。これに比べ4-6月期は損益が急激に悪化したことがわかる。
各社ごとに比べると、ExxonMobilの今期の損失は▲11億ドル、Chevron及びTotalは共に▲80億ドル強、BP▲168億ドルであり、Shellは5社の中で最も悪い▲181億ドルの欠損であった。5社の中ではExxonMobilはマイナスを抑え比較的傷の浅い決算数値である。これに対してShellは前年同期あるいは前期から一転した巨額の赤字を計上している。またBPは前期の▲44億ドルの赤字に続き今期はさらに4倍近い168億ドルの損失を計上している。
Total及びChevronもそれぞれ▲84億ドル、▲83億ドルの欠損であり、Chevronの場合は前年同期、前期にそれぞれ43億ドル、36億ドルの利益を計上したのが一転して欠損となっている。
Shell、Totalなど4社が大幅な赤字を出した原因は不良資産を減損損失として今期の決算に反映したためであり、例えばShellの場合調整済みの純利益は6億ドルであり、またTotalの場合は減損損失額は81億ドルであると説明している。
(4)売上高利益率 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-53.pdf 参照)
今期の売上高利益率はExxonMobilが▲3.3%と、5社の中では最もマイナスが低かったのに対し、他の4社はTotalが▲39%に達し、Chevron、BP、Shellの3社は▲52%、▲53%、▲56%といずれも大幅に落ち込んでいる。いずれの企業も前期あるいは前年同期と比べ極端に沈み込んでいる。BPでは10年前のメキシコ湾原油流出事故以来の配当減額を決めている。このように国際石油企業各社は資産の再評価で減損損失を計上することにより財務体質を強化し、今期決算を犠牲にして今後の業績反転を狙っているが、コロナ禍の影響がいつまで続くか、またポスト・コロナ後の石油・天然ガス産業がどのように変化するのか不確定要素が多い。今期の業績が底となり、かつての高収益を取り戻すことができるか否かは未知数であると言わざるを得ないであろう。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp
(全社赤字決算、Shell、BPは150億ドル以上の欠損!)
(3)総合損益 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)
今期は大幅な売上高の落ち込みに加え五社すべての損益は赤字に転落した。前年同期は五社すべてが20乃至40億ドルの利益を計上しており、また前期(1-3月期)はBP及びExxonMobilが赤字でその他3社は黒字であった。これに比べ4-6月期は損益が急激に悪化したことがわかる。
各社ごとに比べると、ExxonMobilの今期の損失は▲11億ドル、Chevron及びTotalは共に▲80億ドル強、BP▲168億ドルであり、Shellは5社の中で最も悪い▲181億ドルの欠損であった。5社の中ではExxonMobilはマイナスを抑え比較的傷の浅い決算数値である。これに対してShellは前年同期あるいは前期から一転した巨額の赤字を計上している。またBPは前期の▲44億ドルの赤字に続き今期はさらに4倍近い168億ドルの損失を計上している。
Total及びChevronもそれぞれ▲84億ドル、▲83億ドルの欠損であり、Chevronの場合は前年同期、前期にそれぞれ43億ドル、36億ドルの利益を計上したのが一転して欠損となっている。
Shell、Totalなど4社が大幅な赤字を出した原因は不良資産を減損損失として今期の決算に反映したためであり、例えばShellの場合調整済みの純利益は6億ドルであり、またTotalの場合は減損損失額は81億ドルであると説明している。
(4)売上高利益率 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-53.pdf 参照)
今期の売上高利益率はExxonMobilが▲3.3%と、5社の中では最もマイナスが低かったのに対し、他の4社はTotalが▲39%に達し、Chevron、BP、Shellの3社は▲52%、▲53%、▲56%といずれも大幅に落ち込んでいる。いずれの企業も前期あるいは前年同期と比べ極端に沈み込んでいる。BPでは10年前のメキシコ湾原油流出事故以来の配当減額を決めている。このように国際石油企業各社は資産の再評価で減損損失を計上することにより財務体質を強化し、今期決算を犠牲にして今後の業績反転を狙っているが、コロナ禍の影響がいつまで続くか、またポスト・コロナ後の石油・天然ガス産業がどのように変化するのか不確定要素が多い。今期の業績が底となり、かつての高収益を取り戻すことができるか否かは未知数であると言わざるを得ないであろう。
(続く)
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