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http://mylibrary.maeda1.jp/0533IocVsAramco2021-1stQtr.pdf
1. 純利益 (続き)
(足並みを揃えて利益を確保したIOCs、断然他社を引き離すアラムコ!)
(2)2019年下期以降今期までの利益の推移
(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-62.pdf 参照)
ここではコロナ禍発生以前の2019年第3四半期から今期(2021年第1四半期)までの利益の推移を追ってみる。
IOC各社はかつて高い収益を誇ってきた。例えば2010年代前半のExxonMobilは年間400億ドル前後の利益を計上している。近年その収益力に陰りが見えてきたが、それでも2019年の第3四半期ではExxonMobil、ShellなどIOC4社は利益を確保し、bpのみが7億ドルの赤字であった。
ところが2020年に入り全世界にコロナ禍が広がると、IOC各社の収益は一気に悪化し、第1四半期にはExxonMobil及びbpの2社が赤字となった。さらに第2四半期には5社すべてが赤字に転落、なかでもShell、bp2社は170億ドル前後の巨額の赤字を余儀なくされた。続く第3、第4四半期も5社中3社が赤字状態になっている。因みに1-12月の年間決算ではExxonMobil、Shell、bp3社の赤字幅は200億ドル強、Total、Chevronも50億ドル以上の赤字であり、かつてなかった惨状であった[1]。
しかし今年に入り米国および中国に景気回復の兆しが見られIOC各社の業績も急回復、5社全てが黒字に転換している。最も大きな黒字を計上したのはShellの57億ドルであり、Chevronが14億ドルで最も少なかった。各社の黒字幅はかつての高収益時代には及ぶべくもないが、2019年下期の水準に戻っている。
この間アラムコは5社を大幅に上回る利益を確保しており、2019年第3四半期の利益は213億ドルであった。2020年はコロナ禍の影響で利益額は急落、第2四半期には約4分の1の66億ドルまで落ち込んだが、Shellが181億ドルの巨額の赤字を計上するなどIOC5社が赤字に陥ったことに比べればアラムコの傷は浅かったと言えよう。アラムコはその後、再び増益傾向となり、今期(2021年1-3月期)は217億ドルの利益を計上、コロナ禍以前の水準に戻っている。
(続く)
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[1] 詳細は「サウジアラムコと五大国際石油企業の 2020 年業績比較」参照。