石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

軒並み史上最高利益の五大国際石油企業:2022年度業績速報シリーズ(9)

2023-03-02 | 海外・国内石油企業の業績

III. 5カ年(2018-2022年) 業績推移の比較

 ここでは2018年から2022年までの過去5年間の5社の業績の推移を比較検討する。因みに各社業績と密接に関係している原油価格(Brent)の動きを見ると、2018年は年間平均価格が71ドルであった。2019年は64ドルに下落、2020年はコロナ禍に直撃され42ドルに急落した。そして2021年は71ドルと2018年の水準まで戻り、さらに2022年には大幅に上昇し101ドルに達している[1]。このように原油価格は過去5年間に激しく変動しており、これに引きずられて5社の売上高及び利益は以下に見る通り大きく上下している。

 

(原油価格と連動する売上高!)

1.売上高[2]

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-20.pdf参照)

 2018年の売上高トップはShellの3,884億ドルであり、次いでbpとExxonMobilがそれぞれ2,988億ドル及び2,902億ドルで並び、第4位はTotalEnergiesの2,094億ドルである。最も少ないChevronは1,589億ドルであり、トップのShellの4割にとどまっている。

 

2019年は各社とも前年より1割前後下回ったが、2020年の売上高は前年比3割乃至6割減に急落した。トップのExxonMobil、Shellの売上高は1,800億ドル強にとどまり、Shellは2年前の2018年の2分の1以下と言う有様であり、Chevronは1千億ドルを下回った。中でもbpの落ち込みは大きく対前年比6割減であった。

 

 しかし2021年、2022年は一転して売り上げは急回復している。2020年以降の各社の売上高の推移を見ると、ExxonMobilは1,815億ドル(2020年)→2,856億ドル(2021年)→4,137億ドル(2022年)であり、わずか3年で2.3倍に膨張している。その他の4社も以下の通りほぼ同様の傾向を示している。

Shell                    1,805億ドル(2020年)→2,615億ドル(2021年)→3,813億ドル(2022年)

TotalEnergies  1,407億ドル(2020年)→2,059億ドル(2021年)→2,810億ドル(2022年)

bp                         1,091億ドル(2020年)→1,642億ドル(2021年)→2,489億ドル(2022年)

Chevron                945億ドル(2020年)→1,556億ドル(2021年)→2,357億ドル(2022年)

売上高の変動は冒頭に触れた原油価格の動向と極めて近似していることがわかる。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行

 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

        Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

        E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp   

 

[1] 米EIA資料による。https://www.eia.gov/opendata/qb.php?sdid=PET.RBRTE.A

[2] 「売上高」は各社決算資料から下記項目を抽出している。

ExxonMobil:        Total revenues and other income

Shell:     Total revenue and other income

bp:         Total revenue and other income

TotalEnergies:     Sales

Chevron:             Sales and other operating revenues

 

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SF小説:「ナクバの東」(70)

2023-03-02 | 荒葉一也SF小説

(英語版)

(アラビア語版)

2023年3月

Part III:キメラ(Chimera)

 

70. 果てしなき時空間の旅(2)

キメラが次に目覚めるのはいつの日か生存に適した環境にもぐりこんだ時である。それがいつ、どこであるかは誰にも解らない。否、解っている唯一の存在が宇宙のどこかにいる。その唯一の存在がキメラの眠りを解き、次なる活動の場所に向けて送り出す。そしてキメラは宇宙のどこかで新たな活動を始めるのである。

 

そのプロセスはすべて唯一の存在が支配しており、唯一の存在以外の目には突然或いは偶然に起きた出来事としか思えない。その唯一の存在を地球のヒトは「神」、「ゴッド」、「アッラー」或いは「ヤハウェ」などと呼ぶ。しかし呼称は問題ではない。

地球を飛び出したキメラは、今、真の闇、絶対零度で無重力の宇宙空間をその唯一の存在のいる場所へ向かってまっしぐらに進んでいる。キメラの行方を地球から追跡することはできない。暗黒の空間で超微細なキメラを追うことは物理的、光学的に不可能であり、早晩その姿を見失う。

 

 

(続く)

 

 

荒葉一也

(From an ordinary citizen in the cloud)

前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html

 

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