(英語版)
(アラビア語版)
2023年3月
Part III:キメラ(Chimera)
71. 果てしなき時空間の旅(3)
キメラの姿は視界から突然消え去る。遠く離れてしまったからか、それとも宇宙に充満するダークマターにからめとられたのか。しかし宇宙の唯一の存在にとってそれは問題ではない。ともかく唯一の存在は無限の世界のどこかにいるか、さもなくば遍くどこにでもいるからである。
唯一の存在は見ている。今、地球と言う星からそこで突然変異を強いられたキメラが戻ってくるのを見ている。ヒトの手によって無残にも変異させられたキメラが戻ってくるのを宇宙のどこかから(或いはどこからでも)見ている。変異をつかさどることができるのは唯一の存在だけであると言う宇宙の法則を破ったヒトに対して彼は強い怒りと落胆を覚えた。
創造主のみに許された遺伝子の切断と接続をヒトが行い、神聖な遺伝子情報に手を付けたことに創造主は怒りを覚えた。そして遺伝子操作の結果、ヒトは自らの生殖機能に自滅的な結果をもたらした。その第一歩を踏み出したヒトの愚かしさに対して創造主は落胆したのであった。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html