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(アラビア語版)
2023年3月
Part III:キメラ(Chimera)
72. NEOギャラクシーの誕生(1)
太陽系惑星地球から創造主のもとに生還したキメラは、かつて創造主が宇宙に送り出したギャラクシーとは似て非なるものであった。創造主は自らの作為以外で種が変化することなど予想していなかった。もちろん宇宙に送り出した種がいずれかの天体に定住した後、時間の経過とともに変異することは許容の範囲内であった。あるものは幾度かの突然変異を経て原種をはるかに上回る能力を獲得した。
創造主はそれらの変異を楽しんできた。彼が最も頼もしく思った種の一つが地球に生まれた「ヒト」であった。ヒトは他の生物をはるかに上回る驚くべきスピードで進化してきた。そして今や地球と言う天体に生息する生物の中で最強の生物になったのである。そこに行き着くまでの時間はおよそ五百万年である。
それは百数十億年と言う宇宙創成の始まりから見ればほんのわずかな時間である。また地球という天体が生まれてから50数億年が経過していることを見てもヒトの進化の期間は極めて短い。ただヒトの一個体の生存期間はわずか百年そこそこにすぎない。その中でヒトは種の保存と変異のために気の遠くなるような生殖活動を繰り返してきたという意味ではヒトの進化の五百万年は長い時間とも言える。
しかし創造主には時間の感覚は全く必要ないようである。彼にとっては時間軸も空間軸も一つのものである。彼は時間と空間さらにはヒトが経験したことが無い、或いは経験できないような感覚をすべて所有する全知全能の存在である。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html