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第4章:中東の戦争と平和(22)
108 イラン・イスラム革命(3/3)
同じころ東隣のアフガニスタンでは共産主義政権が生まれ、アフガニスタン戦争が始まる。アフガニスタン戦争はイデオロギー(智)と宗教(信仰=心)の二つの側面を持っていた。だからこそ水と油の関係の米国とアラブ・イスラーム諸国が呉越同舟でソ連に対抗したのである。即ち自由主義・資本主義のイデオロギーを奉じる米国はアフガニスタン戦争をソ連とのイデオロギー最終戦争と位置づけ、一方のアラブ・イスラーム諸国は社会主義・共産主義の無神論が侵入するのを阻止するための宗教戦争と位置付けたのである。
これに対してイラン・イスラーム革命は宗教という信仰の体制がシャー(皇帝)による自由主義・資本主義イデオロギーという「智」の体制に取って代わったのである。ソ連も米国もイランの体制の変化に当惑した。中でもシャーという中東で唯一無二の味方を失った米国の衝撃は大きかった。米国は人道的配慮を理由にシャーを亡命者として庇護した。これがイランの学生の反米感情に火をつけ、テヘランの米国大使館占拠事件に発展する。占拠は一年もの間続いた結果、今度は米国に強烈な反イラン感情が生まれそれは今に至っても収まる気配はない。イランと米国の不幸な関係の始まりである。
(続く)
荒葉 一也
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