Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(27)
第九章 ナタンズ爆撃(4) イラン領空外へ(2/2)
第九章 ナタンズ爆撃(4) イラン領空外へ(2/2)
イラン機が国籍不明機を発見したのは、既にイスラエルの3機がナタンズ爆撃は終わった後だった。イラン空軍にはAWACSのような優秀な早期警戒機もなければ、防空レーダー網も貧弱である。さらに彼らが保有している戦闘機は一時代前のもので性能も劣り俊敏でステルス性能を持ったF35に遠く及ばない。結果的にイラン機は緊急発進したものの、空爆を阻止できなかったばかりでなく、F35に追いつくこともできず、彼らをやすやすと領空外に逃亡させただけであった。
イランからイラク領空に戻った3機は往路のルートを逆にたどり基地に帰還するだけである。燃料計は既に四分の一以下になっており自力での帰還は難しいが、途中まで空中給油機が迎えに来る手はずになっており何も心配することは無い。------はずである。
しかし基地の指令は思わぬものであった。3機に対して進路を南に変更しペルシャ湾上空をホルムズ海峡に向かえ、と言うのである。3人のパイロットは我が耳を疑った。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)