1.純利益 (続き)
(コロナ禍からの回復目覚ましいメジャー4社、低位安定のENEOS、出光!)
(2)2018年(度)~22年(度)年間純利益の推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-11.pdf 参照)
2018年(度)から2022年(度)までの5年間の年間純利益の推移を見ると、2018年(度)のENEOSの利益は30億ドル(3,223億円、109円/ドル)、出光は7億ドル(815億円、110.8円/ドル)であった。この時メジャーのうちShellは234億ドル、ExxonMobilは208億ドルと200億ドル超の利益を達成し、Chevronの利益は148億ドルであった。これに続きTotalEnergiesとbpが100億ドル前後の利益を計上しており、ExxonMobil/ShellとENEOS/出光との間ではほぼ200億ドルの大きな格差があった。
2019年(度)は邦系2社が赤字に陥り(ENEOS▲17億ドル、出光▲2億ドル)、メジャー5社は前年度を下回ったものの黒字を確保した。ところが2020年(度)になると状況が一変、メジャーズ各社はコロナ禍と油価の下落により業績が急落、全社一斉に赤字欠損となった。特にExxonMobil、Shell、bpの3社は▲200億ドル超の赤字を記録、TotalEnergiesとChevronも▲60~70億ドルのマイナスとなった。このような中でENEOSと出光はそれぞれ11億ドル及び3億ドルの利益を出し、メジャーズを上回る決算となった。
2021年(度)は景気回復の兆候が見え、同時にOPEC+の生産調整措置により原油価格が上昇したことによりメジャーズ各社は(bpを除き)160億ドルから230億ドル程度の利益を獲得した。またENEOS(48億ドル)、出光(25億ドル)も黒字決算となり、メジャーズと邦系2社の利益は2018年(度)と同等またはそれ以上の水準に達している。
2022年(度)はこの傾向がさらに広がり、特別損失を計上したbpを除き、メジャー4社はExxonMobilの557億ドルを筆頭に、Shell423億ドル、Chevron355億ドル、TotalEnergies205億ドルと各社いずれも巨額の利益を計上している。これに対し、ENEOSと出光2社は損益の変動幅が小さい。これは2社の事業規模が小さいことに加え、下流部門(石油精製)が事業の中心であるため生産コストの大半を占める原油価格の高騰で採算性が低下したためである。なお両社の場合、原油輸入価格が上昇しても、それを自動的に製品価格に反映させる政府のエネルギー政策のおかげで少ないながらも利益を確保したものと見られ、政府の支えが無ければ大幅な赤字になっていたものと思われる。
(続く)
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