II. 天然ガス
3.天然ガスの輸出入
(1)2023年の国別天然ガス輸出入量
(1-1) パイプライン
(EUが世界全体の四割を占めるパイプライン輸入量!)
a. 輸入量(表http://bpdatabase.maeda1.jp/5-T02a.pdf参照)
2023年のパイプラインによる貿易量は6,770億㎥であった。これを国・地域別に見ると、輸入量が最も多いのはEUの2,691億㎥であり、世界全体の40%を占めている。これに次いで輸入量が多いのは米国の790億㎥であるが、同国の場合、次項(パイプライン輸出量)に見る通り891億㎥がパイプラインで輸出されている。国境を接するカナダ及びメキシコとの間に数多くのガスパイプラインがあり、このうち米国・カナダの両国間では大量の天然ガスが輸出或いは輸入されている。輸出入を相殺すると米国全体としては輸出超過の状態である。
EU、米国に次ぐ輸入国は中国とメキシコが610億㎥で並んでいる。中国はロシアの他、ウズベキスタンなど中央アジア各国から天然ガスを輸入している。5位はカナダ(280億㎥)である。なおカナダについては790億㎥の天然ガスがパイプラインを通じて米国に輸出されており(次項参照)、差し引きすれば輸出超過である。
輸入量第6位のUAEは石油の有力な輸出国であるが、国内の発電・造水用にガス燃料が必要であり、不足分を隣国カタールからパイプラインで輸入している。
(1千億億㎥を超えるノルウェーの輸出量!)
b. 輸出量(表http://bpdatabase.maeda1.jp/5-T02b.pdf参照)
2023年にパイプラインにより最も多量の天然ガスを輸出したのはノルウェーの1,107億㎥で、全世界(6,770億㎥)の16%を占めている。2位のロシアの輸出量は954億㎥であった。3位米国は891億㎥の天然ガスを輸出しているが、同時に790億㎥を輸入しており、純輸出量は101億㎥となる。4位カナダの輸出量は790億㎥であるが、同時に280億㎥を輸出しており純輸出量は510億㎥である。
(注)米国、カナダのように輸出と輸入を同時に行う例はロシア、カザフスタンなどにも見られるがいずれも輸入量はさほど多くない。
5位以下10位までの輸出国とその量は以下の通りである。
トルクメニスタン(395億㎥)、アルジェリア(345億㎥)、アゼルバイジャン(239億㎥)、カタール(195億㎥)、オランダ(182億㎥)、イラン(143億㎥)
(続く)
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