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(目次)
第6章:現代イスラームテロの系譜(5)
150やすやすと国境を越えるイスラーム・テロ(1/4)
テロリズム(以下テロと略す)の定義である「政治目的のために、暴力或いはその脅威に訴える傾向」(広辞苑)に従えば、イスラーム・テロという宗教に依拠したテロにも政治目的があることになる。イスラーム・テロの政治目的とは何であろうか。イスラーム・テロの標的の多くは彼らが背教者とみなす世俗政権であり、その政権を転覆することが目的となる。
1979年のイラン・イスラーム革命がそれである。典型的な世俗強権政権であったシャー・パハレビー国王体制に歯向かったシーア派のイスラーム革命で多くのテロ活動を経てホメイニ政権が成立した。ホメイニ師は「ベラヤット・ファギー」と呼ばれる法学者による宗教と政治を一体化した体制を樹立した。政権を握ったホメイニ師は次にアラブ世界に住むシーア派ムスリムたちに蜂起を呼びかけた。「ベラヤット・ファギー」とはマフディ(救世主)がこの世に現れるまでは法学者がイスラームの体制を指導するというものである。
(続く)
荒葉 一也
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