(世界ランクシリーズ その5 2020年版)
(格差が大きい政治分野、小さい教育分野!)
3.分野別のランクとスコア
(表http://rank.maeda1.jp/5-T02.pdf 参照)
男女格差指数は(1)経済参画分野、(2)教育分野、(3)健康・寿命分野及び(4)政治参画分野の4つの分野について公表されたデータに基づいて詳細な比較検討が行われている(本稿第1章参照)。本章では第2章で取り上げた国々、すなわち世界の上位5か国及び日本を含む主要各国並びに中東主要国について4分野のスコアと世界ランクを概観する。
(1) 経済参画分野の男女格差
総合世界1位のアイスランドはこの分野でも世界2位(スコア0.839)と高い地位を占めている。またノルウェー、フィンランド、スウェーデンの北欧3か国もスコアは0.790前後で世界10位台にランクされている。
米国は26位、英国は58位であるが、日中韓印のアジア4か国は、中国の91位が最も高く、日本は115位、韓国127位、インド149位である。後述するように4分野におけるスコアの格差は政治分野が最も大きく、次いで経済分野となっており、教育分野或いは健康・寿命分野の国別格差は小さい。
(2)教育分野の男女格差
WEFが各国の統計値をもとに判断した教育分野の男女格差は極めて小さい。即ちノルウェー、フィンランド、米国のスコアは1.000であり男女格差が無いとされる。格差指数は1.000が上限であり、国によっては1を超える(即ち男女の逆格差)ケースもあり、格差指数1.000は153か国中35か国に達する。
日本のスコアは0.983とされておりトップとの格差は0.017にとどまるが世界ランクは91位である。同様に中国と韓国はスコア0.973で共に世界100位である。中東諸国ではイスラエルがスコア1.000で世界1位グループに入っている。その他UAEは世界89位(スコア0.987)、サウジアラビア91位(同0.983)であり、エジプト、トルコ、イランは世界100位以下である。但し世界117位のイランのスコアは0.953でトップグループのイスラエル或いはUAEと比べスコア格差はさほど大きくない。
(3)健康・寿命分野の男女格差
韓国及びニカラグアはスコア0.980で世界1位であるが、同スコアは39か国ある。このためスコアがわずか0.001しか違わない0.979の日本は世界順位が40位とされている。この分野の世界最下位は中国であり同国のスコアは0.926である。トップとのスコアの差は0.054で、この格差の中に153か国がひしめいており、わずかなスコアの差がランク上の大きな差となって表れている。
(4)政治参画分野の男女格差
この分野の世界1位はアイスランドで同国のスコアは0.701である。これに続く世界2位はノルウェーであるが、同国のスコアは0.598でありアイスランドと大きな開きがある。日本はスコア0.049、世界順位144位であり、インド(世界18位)にはるかに及ばず、韓国、中国或いはUAE各国とも大きな格差があり、先進国の中では際立って低い。
この分野トップのアイスランドのスコアと日本のスコアの差は0.652と極めて大きい。因みにこの分野の最下位はパプアニューギニアの0.000(即ち男女格差は無限大)であり、4つの分野の中では国別格差が最も大きい。
政治の男女格差は女性国会議員数、閣僚数、或いは過去50年間の女性元首(首相等)の在任期間でランク付けされているため全体的に各国ともスコアが低く、また同じ先進国でもヨーロッパに比べ日米のランクが低い結果となっている。
(続く)
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