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第6章:現代イスラームテロの系譜(2)
147イスラームテロの萌芽(2/4)
これら民族或いはイデオロギーによるテロに対して宗教に起因するテロは宗教そのものが民族の境界或いは国境を越えて浸透する特性を持っているため、民族テロよりは地域的な広がりを持つ。古く西欧の帝国主義、植民地主義の時代、キリスト教の宣教師はある意味侵略の先兵となって布教活動を行っている。宣教師たちに侵略者の意識は無かったであろうが、「神」或いは「キリスト」の名のもとに現地に根付いた宗教をキリスト教より劣ったものと扱った。それに対して地域古来の宗教が報復のテロで応じた例も少なくない。
宗教テロには対立する相手により三つの形態が考えられる。一つは異教徒との対立であり、二つ目は智のイデオロギーとの対立、そして三つめは同じ宗教の中の宗派対立によるものである。イスラームを一方の当事者として見ると、異教徒との対立は同じ一神教のユダヤ教、キリスト教との対立として現れる。一神教が神は唯一であるとする以上、論理的に言えばユダヤ教の「エホバ」とキリスト教の「ゴッド」、そしてイスラームの「アッラー」は同一の存在ということになる。実際イスラームではアッラーもゴッドもエホバも同じものとみなしている。しかしイスラームより古いユダヤ教及びキリスト教は旧約聖書と新約聖書としてお互いを認めるが、イスラームのアッラーは受け入れない。こうしてユダヤ教・キリスト教連合対イスラームという形で何世紀にもわたる宗教間対立を続けてきた。
(続く)
荒葉 一也
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