(世界ランクシリーズ その7 2023年版)
国連などの国際機関あるいは世界の著名な研究機関により各国の経済・社会に関するランク付け調査が行われている。これらの調査について日米中など世界の主要国及びトルコ、エジプト、イランなど中東の主要国のランクを取り上げて解説するのが「世界ランクシリーズ」である。
第7回の世界ランクは、スウェーデンの「ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research Institute, 略称SIPRI)」のホームページに発表されたデータベースの中からSIPRI Military Expenditure Database及びSIPRI Arms Transfers Databaseを取り上げ、2022年の世界と中東主要国の軍事費、一人当たり支出、GDPに占める比率及び政府歳出に占める割合を比較する。また2013年から2022年までの10年間にわたる各国の武器輸出入累計額についても分析する。
*SIPRIホームページ:http://www.sipri.org/databases
(圧倒的な米国の軍事費、2位中国の3倍、日本の20倍弱!)
- 軍事費支出の比較
(図http://rank.maeda1.jp/7-G01.pdf、表http://rank.maeda1.jp/7-T01.pdf参照)
世界で軍事費が最も多いのは米国で2022年の支出額は8,769億ドルである。同年の世界全体の軍事費は2兆2,400億ドルであり、同国だけで世界の4割弱を占めている。これに次ぐのは中国の2,920億ドルであるが、米国の3分の1にとどまっている。それでも中国の軍事費が世界に占める割合は13%であり、米国と中国二カ国を合わせると世界の軍事費の5割を超える。
これら2カ国に続くのがロシア(864億ドル)であり、世界全体の4%を占めている。4位から10位までは、インド(814億ドル)、サウジアラビア(750億ドル)、英国(685億ドル)、ドイツ(558億ドル)、フランス(536億ドル)、韓国(464億ドル)及び日本(460億ドル)の各国である。因みに日本の軍事費を他国と比べると、米国は日本の19倍、中国も日本の6倍である。また韓国は日本をわずかに上回り、昨年と順位が逆転している。
因みに日本に次ぐ11位はウクライナ(440億ドル)である。同国の2021年の軍事費は世界36位の59億ドルであり、ロシアとの戦争のため軍事費は1年間で7.5倍に増加している。紛争の一方の当事国ロシアの2021年の軍事費は659億ドルであり、こちらも1.3倍に増加している。
中東の主要国を見ると、サウジアラビアが750億ドル(世界5位)、イスラエル234億ドル(同15位)、トルコ106億ドル(世界23位)、イラン68億ドル(同34位)である。エジプトは中東で人口が最も多く、軍が国家権力を握っているが、経済規模が小さいため、軍事費は46億ドルにとどまっている。これはサウジアラビアの16分の1、イスラエルの5分の1であり、世界46位の規模である。
(注)UAEの軍事費について:
SIPRIの統計ではUAEの軍事費は2014年以降明示されていないが、2014年以前の同国の軍事費はイスラエル、トルコ、イランを上回っており、世界10位前後に位置している。また、後述する通り2013年から2022年までの10年間の武器輸入額は世界7位の規模である。これらのことからUAEの軍事費は世界のトップテンに並ぶものとみて間違いないであろう。
(続く)
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